Inter Beaujolaisのプレスリリース
・ボジョレーワイン委員会が2022年ヴィンテージを発表
2022年のボジョレー・ヴィンテージは、1か月近く続いた収穫が終了する日まで、生産者にとり厳しいものであった。とりわけ春先から夏にかけての天候の変化は激しかった。2022年の収穫は、2003年に次いで最も早い年となったが、今年のヴィンテージは既にとても素晴らしい出来だと言える。ボジョレーワイン委員会(Inter Beaujolais)のダニエル・ブリア会長は、「収穫は、区画によりばらつきがある。収穫量は、過去5年平均に対し20 %減と予想されるが、品質は喜ばしいものである。2022年ヴィンテージは、偉大な年である2009年、2015年、2018年そして 2020年と似ているところがあり、特別なワインとなるであろう。このヴィンテージは、とても多彩な特徴を示す。豊満でしっかりとしたストラクチュアがあり、際立つ色で、熟成向きのワインもあれば、フレッシュで心地よく肉付きがあり、飲みやすいワインもある」と述べた。
【2022ヴィンテージの天候】
◆5月、すべての記録を塗り替えた月
第一四半期と4月が太陽に恵まれ (日照時間は23 %増)、乾燥(降水量は30%不足)していたが、かなり涼しく、発芽はかなり遅く4月12日に始まった。これは、1992年からの平均よりも5日遅い。
2022年5月は、長く記憶に刻まれるであろう。長引く暑さ(例年よりも3℃高く、1959年以来最も暑い5月となった)、乾燥(5月の例年の降雨量の半分より少ない)、そして日照量はとても多かった(1991年以降2番目に日照時間の長い5月となった)。開花はかなり早くに、好条件の中で始まった。しかしながら、気温の低下と5月23日ごろの突然の雨で、ぶどうの生育は平年並みとなった。開花の終わりの段階は、平均で5月28日であった。
◆夏の始めは、変わりやすい天候が特徴
6月の間、生産者は、急激に変化する異例の天候を目の当たりにした。とても暑く日照に恵まれることがあれば、雨が続き、局地的に激しい雷雨に見舞われることもあった。この天候条件が原因で、とても早い生育をコントロールするために、あらゆる瞬間で畑作業を必要とした(顆粒の肥大の段階は6月23日頃で、2022ヴィンテージは、最も早熟のヴィンテージの部類に入った)。新梢の誘引、固定など、早枝の調整に関する作業も多く要した。
◆7月、とても暑く日照に恵まれ、乾燥した月
7月の天気は、とても均一であった。長引く暑さ(例年よりも1.9℃高い)、とても長い日照時間(390時間で、例年よりも48%増)、そして乾燥(降水量は平均7.9mm。過去33年平均の68.1mmを大きく下回った)に特徴付けられる。
◆8月、1959年以来、2003年に次いで、最も暑い月
2003年の7月と8月の平均気温が24°Cであったのに対し、2022年は23.3°Cで、2018年と同じであった。最初の10日間はとても乾燥していたが(降水量平均1.2mm)、8月14日から20日の間に31mmの雨が降った。ただ、とてもばらつきがあり、局地的に雷雨となったところもあった。さらに8月26日に12mmまで雨が降り、これが生産者にとっては幸運であった。しかし8月は、水分がとても不足していたことで特徴付けられる。8月末の時点で、年初からの降水量の不足は109 mmで、これはほぼ2カ月分の雨の不足に相当していた。日照はとても多く、月平均に対して日照時間は20 %長かった。年初からの累計の日照時間は、圧倒的に最も長く1903時間で、2019年の1784時間を超えていた。(2022年9月19日付)
【2022ヴィンテージの最初のテイスティングの印象】
・ベルトラン・シャトレ、SICAREX Beaujolais(ボジョレーの栽培・醸造研究機関)取締役のコメント
「2022年は、“2021年に続く年だが、似ていない “ という表現がぴったりなくらい、2021年とは対照的な年である。全体的に、天候はより穏やかで、生産者は手を入れる必要が少なかったが、春から夏にかけての暑さと乾燥は、ぶどうにストレスを与えた。ぶどう樹は、暑く、乾燥して、日照に恵まれたこのヴィンテージに、例年より少ない収穫量で適応したといえるが、生産者もまた、歴史的に早い収穫時期で上手く対応をした。理想的な熟度で収穫されたぶどうは見事で、思い切りかじりたくなるほど! ワインはバランスがとれ、肉付きが良く、力強い。そしてアロマ豊かでフルーティーな表情に驚かされる。醸造の間、蔵に良い香りが漂う。醸造者は、そのノウハウ、テロワールそしてキュヴェのブレンドを通して、柔らかく果実味豊かな、カジュアルに楽しむボジョレーと、個性豊かで傑出した、熟成向きボジョレーの両方を生み出すことができる。暑さに見舞われた2022年ヴィンテージにおいて、白とロゼを醸造するのは容易くない。白とロゼは、ワインの味わいのバランスをとるために、爽やかさを維持することが必要だからだ。気候変動に関連した混乱は、それぞれの頭の中にあるが、今年のガメイ種から作られるワインの良い品質を目の前にして、安心している。今後、気候変動に対応する努力が繰り返さなければいけないにしても、素晴らしいヴィンテージを予想することができるだろう。」
❖ボジョレーワインについて
リヨンからブルゴーニュ南部の間に位置するボジョレーの産地は、14 500haに広がり、12のアペラシオンがあり、2 000軒以上のドメーヌ、9軒の協同組合、200軒のネゴシアンがこの土地で活動する。12のボジョレーのアペラシオンは、楽しめる、個性がある、傑出しているなど、そのワインの表情で輝いている。北部には100%赤のクリュがあり、ブルイィ/Brouilly、シェナ/Chénas、シルーブル/Chiroubles、コート・ド・ブルイィ/Côte de Brouilly、フルーリー/Fleurie、 ジュリエナ/Juliénas、モルゴン/Morgon、ムーラン・ナ・ヴァン/ Moulin-à-Vent、レニエ/Régnié、サン・タムール/ Saint-Amour である。そして南部には、ボジョレー/ Beaujolaisとボジョレー・ヴィラージュ/ Beaujolais Villagesがあり、この場所では、赤、白、ロゼとヌーヴォーのワインが造られている。