株式会社ロッテのプレスリリース
株式会社ロッテ(代表取締役社長執行役員:牛膓栄一 以下、ロッテ)は、ブロックチェーンを用いたガーナ産カカオ豆のトレーサビリティと児童労働リスク情報に関する実証実験(以下、本実証実験)を開始します。本実証実験では、ガーナ産カカオ豆のトレーサビリティ情報と児童労働リスク情報をブロックチェーンシステム上で統合する検証を行います。本実証実験には、カカオ豆のサプライヤーとして三井物産株式会社およびETC Group Limited、また、ブロックチェーン開発企業としてDLTラボス株式会社が参加します。
【本実証実験の概要】
ガーナ国内におけるカカオ豆のサプライチェーンは複雑な上、ほとんどが電子化されておらず、詳細なトレーサビリティ情報を取得するのが難しい状況です。そのため、ロッテはこれまでCLMRS(児童労働監視改善システム)*による支援を行ってきましたが、CLMRSによって得られる児童労働リスク情報と調達したカカオ豆のトレーサビリティ情報を紐づけることはできておらず、サプライチェーン上の児童労働リスクを詳細に把握することはできていませんでした。
そこで、調達したカカオ豆のサプライチェーン上の児童労働リスク情報を把握することを目的に本実証実験を行います。より詳細なトレーサビリティ情報を取得するため、ETC Group Limitedの協力を得て、専用倉庫を現地に確保し、農家コミュニティIDをもとにトレーサビリティ情報を取得し、ブロックチェーン上に記録します。ブロックチェーンを用いることで、サプライチェーン上の作業負担を最小限に留めながら、情報の真正性を担保した上でカカオ豆のトレーサビリティ情報を一括管理します。さらに、児童労働リスク情報とトレーサビリティ情報を、農家コミュニティIDを用いてブロックチェーン上で統合することで、サプライチェーン上の児童労働リスクの可視化が可能になります。本実証実験を通じて、上記のブロックチェーンを用いたトレーサビリティシステムの有用性の検証と、各ステークホルダーの作業負担および費用などの課題整理を行います。
【本実証実験の流れ】
●フェーズ1:2022/23クロップ(収穫年度)
現地専用倉庫での分別流通と農家コミュニティIDを取得するオペレーションの確認、
ブロックチェーンシステムの開発とデータ入力の検証
●フェーズ2:2023/24クロップ
現地専用倉庫でトレーサビリティ情報をブロックチェーンシステムへ入力するオペレーションの確認、
現地訪問しての実態調査
【将来展望】
今回検証を行うトレーサビリティシステムによって、サプライチェーン上の児童労働リスクの可視化できるようになるため、児童労働リスク低減に向けたより効果的な介入が可能になると期待しています。また、詳細なカカオ豆の農家コミュニティ情報を入手できるようになるため、将来的には消費者への農家の情報を公開することが可能になります。さらに、農家コミュニティの位置情報を衛星からの映像情報と統合して解析することで、サプライチェーン上の森林破壊やアグロフォレストリー化のモニタリングにも応用が可能です。
【課題認識とこれまでの取り組み】
カカオ豆の生産地では、農家の貧困や児童労働、森林破壊等、様々な課題が指摘されています。チョコレートが主力製品であるロッテにとって、カカオ豆の持続可能な調達は重要な課題であり、持続可能なカカオ産業の実現に貢献する独自の活動をフェアカカオプロジェクトと名付けて推進しています。また、経済産業省が2022年9月に発表した「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を踏まえ、サプライチェーンにおける人権尊重に取り組んでいます。
ロッテはカカオ豆のうちおよそ8割をガーナ共和国より調達しており、現地の重要な課題である児童労働の撤廃に向けた支援からフェアカカオプロジェクトをスタートしています。サプライヤーと協力し、ガーナ共和国内のカカオ豆を地域(郡**)指定購入し、その地域に対してCLMRSによる支援を実施しています。このように調達したカカオ豆をフェアカカオと名付けて、その調達割合の拡大をESG中期目標で掲げています。
*児童労働監視改善システム(Child Labor Monitoring and Remediation System)の略。カカオ産地で児童労働撤廃のための活動を推進するNPO団体のInternational Cocoa Initiative(ICI)が開発したシステム。農家コミュニティ(20~50程度の近接した農家が農家コミュニティを形成している)単位で児童労働リスクを把握し、改善を行う。
**ガーナ共和国の地方行政区画。16の州(Region)の下位区分として254の郡
(District)が設置されている。
株式会社ロッテ
https://www.lotte.co.jp/