キリンホールディングス株式会社のプレスリリース
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典)は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、国内株式の運用を委託している運用機関(以下、運用機関)13社に依頼した「優れたTCFD※1(気候関連財務情報開示タスクフォース)開示」の選定において、最も多い10機関から高い評価を得て選定されました。当社が選定されるのは2年連続です。
さらに、「4つの開示項目における優れた開示」(「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」)の個別評価においても、当社は全ての開示項目で選定されました。本年は、28社が「優れたTCFD開示」として選定され、当社をはじめとした4社が4機関以上の運用機関から高い評価を得ています。
※1: The Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略
■運用機関による選定理由 ・各項目の記載内容が、TCFD 提言・実施ガイダンスに沿ったものであり、かつ充実している。また、非常にわかりやすい。 ・リスクが発現する期間を短期、中期、長期でしっかり押さえた上で戦略に落とし込んでいる点に好感を覚える。特に気候変動に関する各課題に関してここまでやるかと思わせる徹底した深掘りは、他社の模範となる水準にあり高く評価。 ・TCFD で求められる4つの要素の全てにおいて完成度が高く、読み物としても面白い。同社ならではのグローバルな存在が地域別農産物の分析や各国の政策リスク、海外 M&A の方針などで伝わってくる。シナリオ分析では広範なリスク要因を網羅し、具現化された対応策・緩和策が紹介されていて臨場感がある。 ・全要素について、取り組み内容に加えて直近1年での進捗を記載しており、変化がとらえやすい。財務インパクトも詳細に記載されており、将来の企業価値への影響が評価しやすくなっている。また、生物多様性や自然資本との関係性も開示内容の中で検討しており、気候変動と自然資本の相互関係の考慮は他社ではあまり見られない。 ・全体を通じて質の高い開示である。概要から始まり、4項目がバランスよく開示されている。さらにTCFD と戦略への反映から財務インパクトまで詳細が記載されている点が評価できる。 ・原料農産物の収穫量を品目別と地域別のマトリクスで予想し、大麦に依存しない醸造技術開発など具体的な適応策を開示。水リスクでは自社拠点、大麦輸出港について評価し、調達先の分散化などリスク低減を説明。 ・自然資本への依存度が高い事業特性を背景として、気候関連情報のみならず、相互関連する環境課題への統合的アプローチから TNFD 開示を包含した環境報告書として内容を大幅に拡充した点が特に評価できる。また、TCFD 開示各項目における記述内容も分かりやすく充実している点も評価。 ・TCFD 提言の4項目それぞれにおいて開示内容が優れている。リスクと機会を短期・中期・長期に分けて整理しており、財務インパクトの説明では具体的な適応策と緩和策を記載する等、随所に工夫がみられる。 ・各リスクシナリオを検討の上、拠点や製品ごとのインパクトを開示するなど、きめ細かなリスク把握がなされている。対応戦略についても具体的な方策に落とし込みシミュレーションが行われており可視性が高い。SBT 認証(1.5℃目標)取得と対応した投資計画の開示も良い。また気候変動等の非財務指標も業績評価指標の一部として採用されており、コミットメントが明確である。 ・自然資本に関する独自のリスク分析に基づき、他社とは一線を画す深く広い内容。リスク管理の考え方、シナリオ分析結果と戦略への反映、各事業の GHG 削減目標・実績やスコープ3の排出削減の重点分野などを説明。 |
キリングループは、2017年6月にTCFD最終報告書の公表を受けて、2018年6月にいち早く提言に沿った開示を行い、12月に日本の食品業界で初めてTCFDに賛同しました。2022年7月に発行した「環境報告書」では、2021年10月に公開された「TCFD新ガイダンス」に準拠した開示(移行計画含む)を行うとともに、世界に先駆けてTNFD※2が提唱する「LEAPアプローチ」※3を踏まえた自然資本の試行的開示を行いました。2022年7月にはSBT※4イニシアチブ※5によるSBTネットゼロの認定を、世界の食品企業として初めて取得しました。
※2: Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略
※3: TNFDが提唱する、自然関連のリスクと機会を評価するためのプロセス
※4: Science Based Targets:科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標
※5: CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が
2015年に共同で設立した国際イニシアチブ
今後もキリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組み、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという思いをバリューチェーンに関わるすべての人々とともにつなぐべく、自然と人に「ポジティブインパクト」を与えるさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。
<参考>
・年金積立金管理運用独立行政法人
https://www.gpif.go.jp/esg-stw/202303_excellent_TCFD_disclosure_j.pdf
・キリングループ「環境報告書」2022
https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/env_report/