フジッコ株式会社のプレスリリース
■研究背景
eスポーツは国内・世界ともに若者を中心に盛り上がりを見せており、2023年9月に開催される第19回アジア競技大会(中国・杭州)では、eスポーツが正式種目として採択されています。競技スポーツとしての認知度が向上し、ますます市場が拡大すると予想される中で、eスポーツプレイヤーの健康やパフォーマンスを高める食品・素材も期待されています。
フジッコでは、黒大豆種皮から抽出・精製した機能性素材である、黒大豆ポリフェノール「クロノケア®」を開発し、これまでにディスプレイ作業による一過性の疲労感を軽減し、疲労に伴い低下する認知機能の一部(見当識)を改善する機能性があることを確認しております。これらの効果をもつ「クロノケア®」は、eスポーツプレイヤーの体調維持やパフォーマンスを高めるのに適していると考えました。
そこで、eスポーツチーム「FOR7」(所属:株式会社愛しとーと、旧所属:株式会社CS entertainment)、「LAPLACE」(所属:株式会社AZ)、「Lag Gaming」(所属:株式会社Cosmo World)の3チームと協力して、eスポーツプレイヤーにおける「クロノケア®」の摂取効果を検証しました。
■研究内容
eスポーツプレイヤー15名(18~35歳の男性)を対象に、「クロノケア®」(300mg/日)を含むカプセルまたはプラセボカプセルのどちらかを2週間継続摂取してもらいました。その結果、「クロノケア®」摂取により認知機能の一部である短期記憶力が向上することが確認できました(図1)。
図1 「クロノケア®」摂取による短期記憶力の変化
認知機能は、eスポーツプレイヤーのパフォーマンスの要因の一つだと言われています〔1〕。今回の結果から「クロノケア®」はeスポーツプレイヤーのパフォーマンス向上に有用である可能性が示唆されました。
一方、本研究では、「クロノケア®」摂取により疲労感への改善効果は認められませんでした。本研究はeスポーツプレイヤーを対象とした初めての研究であり、予備的な検討段階のものであったため、一部のエビデンスに留まりましたが、今回の結果を活かし、今後は「クロノケア®」のeスポーツ分野でのエビデンス獲得に向け本格的な検討にも繋げていく予定です。
■まとめ
本研究の結果から、「クロノケア®」はeスポーツプレイヤーに対して認知機能の一部を向上し、パフォーマンス向上をサポートする可能性があると考えられます。
「クロノケア®」はこれまでに「ディスプレイ作業に伴う一過性の疲労感」や「日中の一時的な眠気」を軽減する機能について機能性表示食品の届出が受理されており、これらの機能性表示と併せて、「クロノケア®」はeスポーツプレイヤー用の機能性食品原料としての活用が期待されます。今後も、「クロノケア®」を配合した自社の新たな食品の開発や、機能性食品原料として、サプリメント等の素材販売を進めていく予定です。
〔1〕Nagorsky, E., & Wiemeyer, J. (2020). The structure of performance and training in esports. PLOS ONE, 15(8), e0237584.
■ 日本スポーツ栄養学会第9回大会 概要(https://www.plus-s-ac.com/9jsna)
【開催日時】 2023年9月9日(土)~10日(日)
【会 場】 龍谷大学 瀬田キャンパス8・6・2号館
【発表演題】 黒大豆ポリフェノール「クロノケア」の摂取が
eスポーツプレイヤーのパフォーマンスに与える影響の検証
【演題番号】 1-O-1-2(口演発表)
【発表日時】 2023年9月9日(土) 9:50~10:50(内10分)
【発表要旨】
《目的》eスポーツとは、コンピューターゲームなどの電子機器を用いた対戦競技であり、近年競技人口が増加している。しかし、プレイヤーの体調管理やパフォーマンス維持に対する食品の生体調節機能面での知見は少ない。黒大豆種皮から抽出した機能性食品素材 「クロノケア®」(以下BE)は、ポリフェノールを58%以上(主成分は低分子プロシアニジン)含み、高い抗酸化作用を有する。これまでに、BEは酸化ストレスを低減することで、ディスプレイ作業により生じる疲労感や、疲労に伴い低下する認知機能の一部を改善することが報告されている。そこで本研究では、BEの摂取がeスポーツプレイヤーの疲労感、認知機能やパフォーマンスに与える影響を検証した。
《方法》日常的にeスポーツを行っている男性15名(18歳以上35歳以下)を対象に、プラセボ対照単盲検クロスオーバー比較試験を実施した。BE含有カプセル(300mg/日)またはプラセボカプセルを摂取させ、摂取前、摂取1日目、摂取14日目に検査を実施した。検査日には、疲労を与える作業負荷として、対象者が日常的に行っているコンピューターゲームを3時間行わせた。負荷前後に主観的疲労感(VAS法)、認知機能(のうKNOW®、エーザイ株式会社)、eスポーツパフォーマンス(シューティングゲームのスコア)を評価した。
《結果》負荷直後のVAS検査において想定したほどの疲労や眼精疲労が認められず、BE摂取の効果も認められなかった。一方で、負荷前に着目すると、BE摂取群では摂取前と比べて摂取14日目で短期記憶力が向上し、プラセボ摂取群と比較して有意な効果が見られた。しかし、eスポーツパフォーマンスに対してはBEの効果は認められなかった。
《結論》BE摂取によりeスポーツプレイヤーの短期記憶力が向上した。一方、疲労感やその他のパフォーマンスに与える影響に関しては、より詳細な検討が必要である。
■本研究の協力チーム(順不同)
・FOR7(所属:株式会社愛しとーと)
株式会社愛しとーと ホームページアドレス:https://aishitoto.co.jp
・LAPLACE(所属:株式会社AZ)
LAPLACE運営株式会社AZホームページアドレス:https://azkk.co.jp
・Lag Gaming(所属:株式会社Cosmo World)
Lag Gaming ホームページアドレス: https://laggaming.net