クヤシイが原動力。面倒だから誰もやってこなかったこと。えんどう畜産 生産者に加えて【牛の顔】も見える化、動画で公開。SDGs・食料廃棄問題に新たな一手。

えんどう畜産のプレスリリース

スーパーで手に取るお肉、どのようにつくられるのかご存知ですか?そのお肉となる、一頭の牛。その個体が産まれてからお肉になるまでのドキュメンタリー映像を編集し、【愛され和牛】としてお肉と共に、ストーリーを届けるサービスを、2023年11月1日より開始する。生産者だけではなくお肉となる牛一頭にフォーカスを当て、お肉(商品)と牛の顔(動画)を一致させることで見える化を促進。従来のトレーサビリティシステム以上の情報を公開。よりレベルの高い「食の安心・安全」と「いのちをいただく」ことの意味について学ぶ「食育の機会」を提供する。食品ロスの削減を目指し、獣医師の目線からSDGsやアニマルウェルフェアに向けた取り組みを紹介する。

えんどう畜産は獣医師が牛飼いをする牧場だ。通常外部委託で行う作業も自らで行うため、ほとんど外部機関に頼らない。そのため、牛との距離感が近いのが特色だ。自分でつくり、救った生命は、そのまま思い入れとして個体に注がれる。それを【愛され和牛】とし、事あるごとに撮りためた個体オリジナル映像と共に消費者に届ける。

 2023年11月1日より、応援購入サービス「Makuake」にて販売開始。

           https://www.makuake.com/project/aisare-wagyu/

2023年11月1日より予約販売される、まさにそのお肉となる予定の黒毛和牛「蓮秋21」(名前)くん。

まだ現存しており、オンラインツアーでは、現場の蓮秋21と実際に繋がることもできる

えんどう畜産では食育活動に力を入れており、地域の子供たちと共に、牛に実際に触れ、「いのち」について考える。

自分が食べているお肉と生きたをリンクさせることは容易ではない。大人でもついつい忘れがちだ。

今回商品化に踏み切ったのには理由がある。作り手の想いや、その牛が生きた軌跡を目で見て、こころで感じてから「いのちをいただく」、食育体験のできる商品を作りたかったからだ。えんどう畜産の遠藤恭子(獣医師)は広島県出身。祖父母は広島原爆の経験者だ。物がない時代を聞いて育ったため、現代の大量生産大量消費にはついつい「もったいない」と思ってしまう。モノがあふれる時代に生きる子供たちに自分は何が伝えられるだろうか自問自答した。「食肉」は、「殺すこと」無しには成り立たない。消費者自身がこれから食べるお肉をみて、自分事として「生」を考えることで食料廃棄食品ロス軽減にも貢献したいと考えている。

昨今の子牛価格の暴落と餌代の高騰は牧場経営に暗い影を落としている。

未熟で産まれたせいで成長が芳しくない牛や、傷跡が残るなど、健康だが高い市場価値が見込めない牛は、容易に早期販売や淘汰の対象になり得る状況だ。かといって、無感情に手放せるわけではない。そのような牛こそ、触れ合う機会が多く、思い入れが強いからだ。【愛され和牛】は、市場価値は薄くても消費者への価値が高い牛として、新たな活路を見出す考えだ。

今回お肉になる黒毛和牛「蓮秋21」が傷を治療していた時の写真

現在は傷跡こそ残るが治癒し、元気に大きくなっている

また、SDGsに向けた取り組みとしても熱意を燃やす。畜産業は、世界規模でみると地球温暖化への影響が大きい。世界各地の大規模な畜産「工業的畜産(industrial livestock production)」は森林伐採アニマルウェルフェア(動物福祉)など様々な問題をはらんでいる。そのような大量生産型の飼養形態は、高密度飼育になりがちで、労働人口の減少する今、飼育者の目も行き届かず、牛に充分なケアが行えない。このような観点から、一頭一頭にきちんと手をかける【愛され和牛】のような存在が広く認知されることは、畜産業そのものを持続可能たらしめる第一歩であると考える。

さらに、一次産業従事者の減少にも警鐘をならす。労働者人口の減少と昨今の社会情勢の影響による収入の乱高下により、酪畜業の魅力は下がる一方だ。実際、担い手不足で外国人労働者に頼る牧場も多い。利益至上主義のなかでは陽の目をみなかった個体をとり上げ、違う視点から付加価値を提供できる商品にすることは、生産者の心的負荷を軽減させると考えている。手塩にかけて育てた家畜である。利益が出ないという理由で無下に扱わざるおえない現状は従事者にとってつらい現実だ。手をかけた個体が社会的に無価値であることは、「やりがい」を削ぐ原因の一つであることは間違いない。この取り組みを通して生産者が消費者の新たなニーズ(食べるだけでなく、学びの提供)に応えることができ、「つくる責任と使う責任」が上手く循環していく社会に貢献する充実感は、仕事にやりがいを感じる一手となり、酪畜業の魅力向上につながることを願っている。

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