エア・ウォーター株式会社のプレスリリース
本検証は、2023年2月に発表しました当社と㈱ベジテックとの資本業務提携ならびに、デリカフーズホールディングス㈱の第三者割当増資引受に伴う3社協業の一環として取り組むものです。生産者と消費者の視点に立った農業の成長産業化への貢献を目指す3社が連携することで、生産者や物流、卸売、小売など多くの流通関係者が関わる青果物サプライチェーンでの検証が可能となります。
青果物流通業界においては、人手不足が深刻になる中、データ入力などの作業負担を軽減するとともに、「物流2024年問題」への対応として、ドライバーが行う納品や検品などにかかる時間の削減等が課題となっています。
本検証では現在、紙やExcelデータを用いた手作業で行われている、産地や各入出荷拠点での検品やデータ作成業務について、産地で出荷用の段ボール箱や鉄コンテナに日時、場所、品目などが記録されたRFID※2タグを取り付け、その後の各入出荷拠点においてもRFIDを活用することで、これまで手作業で行っていたデータ入力作業の大幅な効率化、省人化を図っていきます。また、サプライチェーンのトレーサビリティを可能とし、迅速に出荷量、生産地などの情報を消費者に対して開示できる環境を整備するとともに、万一の事故品発生時にも迅速な回収、原因究明や改善につなげることで、消費者の不安や健康被害の拡大を抑制していきます。
※1:物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態
※2:Radio Frequency Identification(無線周波数識別)。電波(電磁波)を用いて無線でデータの読み取りを行い、モノの識別や管理を行うシステム
1.背景
青果物流通では、新たな情報システム導入における初期コスト負担の大きさから、他の業界と比較してデジタル化が遅れ、作業効率化への対応が課題となっています。また、青果物のサプライチェーンには、生産者や物流、卸売、小売など多くの流通関係者が関わっているため、全体最適化を図るには情報システムの標準化など様々な課題があります。加えて、万が一食中毒などの事故が発生した際の原因究明には、多段階の流通経路・事業者を辿って確認する必要があり、多くの時間を要することから、その間に被害が発生・拡大してしまう恐れがあります。
2.実施概要
実施場所:北海道旭川市、千歳市、東京都足立区、神奈川県川崎市
実施期間:2023年11月~2024年3月(RFID関連設備の導入、効果検証、結果とりまとめまで)
対象商品:玉ねぎ、ジャガイモ、カボチャなどの青果物
実施主体:青果物流通における DX 導入推進協議会
(㈱ベジテック、エア・ウォーター㈱、北海道エア・ウォーター・アグリ㈱、エア・ウォーター物流㈱、デリカフーズ㈱で構成)
3.検証内容
青果物の産地である北海道旭川市で、北海道エア・ウォーター・アグリが青果物の出荷データ(ロット番号、出荷日時、場所、品目等)をRFIDタグに書き込むとともに、これらの情報を専用共有クラウドに保管し、RFIDタグを出荷物(段ボールや鉄コンテナ)へ貼り付け、首都圏に向けて輸送されます。また一部の青果物は、北海道千歳市にあるエア・ウォーター物流の集出荷拠点を経由し、新たな青果物を追加で積み込み、首都圏に配送されますが、この集出荷拠点においても入出荷時にRFIDタグを読み込み、集出荷データを専用共有クラウドに保管します。最終的には、ベジテック(神奈川県川崎市)、デリカフーズ(東京都足立区)の集出荷拠点で同様の処理を行い、青果物の集出荷などのデータの連携を図ります。
これらデータ連携により入出荷などのデータ活用が可能となり、これまで各集出荷拠点において手作業で行っていた検品作業もRFIDハンディリーダーによる情報読み取りといった検品処理の効率化が見込まれています。最終的には、作業時間削減による30%以上の経費削減を目標に取り組んでいきます。また、トレーサビリティが確保されることにより、万が一の商品回収時の回収作業(事故品の特定と出荷停止、回収)にかかる時間も30%以上削減を目標とします。
【入出荷検品におけるDX導入効果】
入荷データ、出荷データの一括デジタル化
データ照合作業にかかる人数、時間が減少
エラー判定時にその後の対応にかかる時間が減少
例:納品書のリストと実際に届いた荷物が合わないときに、該当商品を容易に特定可能
当社ホームページにも掲載しております。
https://www.awi.co.jp/ja/business/news/news-32202410361158334630.html