フューチャーのプレスリリース
農業はイノベーションの宝庫
加藤 百合子 株式会社エムスクエア・ラボ/やさいバス株式会社 代表取締役
日本は比較的落ち着いて農業ができる環境にありますが、農業は人類にとってどうあるべきか、農業をどのように維持し発展させていくかを世界という視点で見ると、気候変動による洪水や干ばつに起因した飢餓の急増など、日本とは大きく状況が異なります。
社会は今後どうなっていくかをプラネット思考で捉えながら、日本で仕組みを育てて海外に展開していくことが日本の価値になると考え、「持続可能な社会を次世代へ」をミッションに事業を行っています。日本の農業は生産者が儲かる事業になっていないことや人手不足、チャレンジャー不足といった様々な課題があります。こうした課題に対するコミュニティベースでの打ち手として、農産物の配送コスト削減に貢献する地域内共同配送システムのパッケージ「やさいバス」や、ロボットをはじめとしたアグリテック事業、子どもたちへの農業経営体験などを手掛けています。地域・コミュニティの一員となって新しいことを始めるには、まずミッション、ビジョンを言葉にして共感してもらうことが大切です。私自身も構想を現実にする頑張りと踏ん張りをもって日本の農業を世界に展開していきたいと考えています。
加藤 百合子 プロフィール
1998年東京大学農学部卒。英国クランフィールド大学で修士号を取得後、NASAのプロジェクトに参画。帰国後はキヤノン株式会社を経て、静岡で産業用機械の研究開発に従事。2009年株式会社エムスクエア・ラボを設立し、地域事業や農業ロボットの開発に取り組む。2017 年やさいバス株式会社を創業。
海外展開とインバウンドの好循環が生みだす「フードビジネスの “ネオ・グローバル・モデル”」
北川 浩伸 日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO) 執行役
JFOODOは海外の一般消費者向けて日本の農林水産物や食品のプロモーションを行い、消費量を拡大することを目的にアウトバウンド、インバウンド一体で取り組んでいます。日本の食文化や食品の優位性をアピールするには、まずお菓子などの手軽なものからスタートして海外消費者の熟度を上げ、次に刺身や郷土料理といった海外ではなじみのないものへすそ野を広げていくという多段階の成長モデルを考えることが必要です。「食」とは何かを幅広く捉え、何をどのように組み合わせれば段階的な理解を得てファンになってもらえるかを、産官学が連携して様々なナレッジを出し合い、方策を考えることが重要と考えます。
海外販売に向けたECでの取組みでも、日本各地で数々の成功例が出ています。今後は「食」と他の産業競争力の強いコンテンツを組み合わせた「食×アニメーション」などの展開も予定しています。「食」のグローバル化には人材と物流が課題であると感じています。冷凍・冷蔵技術や物流手段でのイノベーションに加えて、「思い」がある人材が集まったONE TEAMでの仕組みづくりと推進が求められています。
北川 浩伸 プロフィール
1989年日本貿易振興会(現 日本貿易振興機構)入会。サービス産業のグローバル展開に向けて事業者の支援に取り組み、サービス産業部長、ハノイ事務所長を経て2019年理事に就任。2021年よりJFOODO執行役を兼務。政府の各種委員会の委員や慶應義塾大学産業研究所共同研究員も務める。
セッションを終えて
山岡 浩巳 フューチャー株式会社 取締役グループCSO
人類の歴史を見ると、産業革命前は農業のイノベーションが大きく歴史を形作ってきました。地球温暖化などの環境問題が起きている現在も、テクノロジーによる農業の新たなイノベーションが求められていると思います。お二方のお話を伺って、「食品」「食文化」への愛と、コンテンツに対する確固たる自信を感じました。農業や食への愛と優れたコンテンツ、そしてテクノロジーが掛け合わさることでイノベーションや戦略が生まれ、活性化していくことに期待します。
山岡 浩巳 プロフィール
日本銀行において、パリ事務所勤務、景気分析グループ長、参事役・大手銀行担当総括など政策分野に広く携わる。この間、バーゼル銀行監督委員会委員、国際決済銀行(BIS)市場委員会委員、同決済・市場インフラ委員会委員など国際機関の要職を歴任。経済・法律分野での著書・論文多数。米国ニューヨーク州弁護士。
開催概要
日時:2023年10月26日17:00~18:30
形式:オンライン
主催:フューチャー イノベーション フォーラム
FIFについて
FIFは、「イノベーションで人と社会を豊かに」という理念のもと、企業が互いに協力しながら広く社会の発展に貢献し、変革をもたらしていくことを目指して、2006年1月に設立した社会貢献団体です。設立以来、経営層や次世代リーダーの皆様が共通のビジネス課題を議論しイノベーションの活路を見出す場や、子どもたちが社会との接点をもち課題解決を実践する場と最新テクノロジーに触れるコンピューティング教育の場を提供しています。学校や企業をはじめあらゆる団体と協力・連携し、組織の枠組みを越えて広くつながるオープンイノベーション型の活動に継続して取り組んでおり、これまでに7,600名を超える方々に参画いただいています。