有限会社山村乳業のプレスリリース
誕生から100年以上が過ぎた瓶牛乳。令和4年発表の農林水産省「牛乳乳製品統計調査」では、10年前と比較して生産量※2は約3分の1に減少、製造工場数※3も半数ほどになるなど、瓶牛乳の存在感は年々低下しています。もはや必要とされていないのでしょうか?確かに前述の統計はそのように解釈もできますが、SNS上では瓶牛乳を支持する声も多数存在します。そこで本調査では、マクロな視点では見過ごされてしまう瓶牛乳の価値と今後の展望を、紙パック牛乳との比較を通じて明らかにします。
※1自社調べ(2022年12月時点)
※2ガラスビン500ml未満の牛乳の生産量
※3ガラスビン500ml未満の牛乳を製造する工場
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総括
生産量と製造工場数が大幅に減少している瓶牛乳の背景には、製造メーカーにおける供給コスト高による撤退に加え、日常生活での消費が紙パック牛乳に移行したことが一因と考えられます。その一方で、ノスタルジックな雰囲気やプレミアム感、地域性、何よりおいしいイメージを持つ瓶牛乳は、温泉や銭湯、旅行先など非日常的な機会で重宝され、昭和の栄養源は嗜好品へと役割を変え、根強い需要に下支えされていることがわかりました。さらに、若年層ほど瓶牛乳に「かわいい」イメージを持っていることは、時代に合わせて新しい価値が見出されていることを意味するとともに、続々登場する瓶牛乳をモチーフとしたグッズ人気の訳を説明しています。その他、購入する際に価格を重視する傾向は、瓶牛乳の方が紙パック牛乳より23ポイントも低いことから、瓶牛乳ならではの価値をさらに啓蒙しつつ適切な場所やシーンで販売することで、持続可能なビジネスモデルへと転換できる可能性があります。
以上より、存在が危ぶまれる瓶牛乳には紙パック牛乳とは異なる多面的な価値が存在し、ニーズやサイズ、プレイヤーが異なる市場の中で棲み分けしつつ共存していくものと考えます。
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調査結果サマリー
1)定期的に飲む割合、瓶牛乳は9%、紙パック牛乳は59%
2)飲用場所、紙パック牛乳は自宅が圧倒的、瓶牛乳は温泉や銭湯、旅行先など非日常で
3)抱くイメージ、紙パック牛乳は便利で馴染み深い、瓶牛乳はノスタルジックでおいしい
4)瓶牛乳が「かわいい」20代の3人に1人以上、若年層ほど高い傾向
5)購入の決め手、両者「おいしさ・品質」がトップ、紙パック牛乳は「価格」が重視される傾向
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調査詳細
1)定期的に飲む割合、瓶牛乳は9%、紙パック牛乳は59%
まず、瓶牛乳と紙パック牛乳それぞれの飲用頻度について尋ねたところ、「ほぼ毎日」または「1週間に数回」と答えた「定期的に飲む」方の割合は、瓶牛乳で9%、紙パック牛乳で59%でした。定期的に飲まれることが少ない瓶牛乳ですが、「1ヶ月に数回」・「1年間に数回」飲む方の割合は約50%を占めることから、日常とは異なる機会で飲まれていることが推察されます。
2)飲用場所、紙パック牛乳は自宅が大多数、瓶牛乳は温泉や銭湯、旅行先など非日常で
次に、飲用場所について尋ねたところ、紙パック牛乳は「自宅」の割合が83%と非常に高く、その次に多い「学校(給食)」を除くと、他の回答は1割程度であったことより、主に日常生活の中で飲まれていることがわかりました。一方瓶牛乳の「自宅」での飲用は28%にとどまり、主に「温泉・宿泊施設の浴場」や「銭湯」、「牧場」、「旅行先や遠方の飲食店」、「ご当地フェア・イベント」など、非日常的な場面での飲用が目立ちました。これは、前問で明らかになった飲用頻度の対照的な結果を飲用シーンの側面から裏付けるものであり、それぞれの牛乳に対する異なる価値観が存在することを示唆しています。
3)抱くイメージ、紙パック牛乳は便利で馴染み深い、瓶牛乳はノスタルジックでおいしい
続いて、前問で示唆された価値観の違いを具体化するため、それぞれの牛乳に対するイメージを尋ねました。その結果、紙パック牛乳については52%が「馴染み深い」とし、50%が「便利」と回答しました。これは紙パック牛乳が日常生活において利便性が高い商品として認識されていることを示しています。一方で、瓶牛乳は、「懐かしい」や「レトロ」といったノスタルジックなイメージが多く、「特別・プレミアム」といった高品質なイメージも持たれていることがわかりました。これは、日常的な利便性よりも特別な感情を喚起する商品としての位置付けを示しています。また、「かわいい」や「ご当地」といったイメージを持つ層も存在し、多面的な価値観が形成されていることが見て取れます。さらに、「おいしい」というイメージについては、瓶牛乳が紙パック牛乳を17ポイント上回り、このことは非日常体験の中で重宝される一因であると考えます。
4)瓶牛乳が「かわいい」20代の3人に1人以上、若年層ほど高い傾向
また、前問における「かわいい」との回答を年代別に再集計した結果、瓶牛乳に対しては若年層ほど「かわいい」と答えた割合が高く、特に20代では37%に達しました。若年層の間で「かわいい」というイメージが強いことは、瓶牛乳を古い時代のものとして拒絶するのではなく、積極的に受け入れており、それが時代に合わせた新たな価値を瓶牛乳にもたらしていることを示唆しています。
5)購入の決め手、両者「おいしさ・品質」がトップ、紙パック牛乳は「価格」が重視される傾向
最後に、購入時に重視するポイントを尋ねたところ、瓶牛乳と紙パック牛乳で類似した回答が得られ、どちらも「おいしさ・品質」が最多となりました。ただし「価格」に関しては、紙パック牛乳の方が瓶牛乳よりも23ポイント高く、紙パック牛乳を選ぶ際に価格をより重視することが明らかになりました。また、「パッケージデザイン」については、瓶牛乳が紙パック牛乳よりも12ポイント高く、商品の外観に基づいて購入を決定する消費者(パケ買い層)が一定数いることが示唆されました。
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調査概要
調査タイトル:瓶牛乳の価値についての調査
調査対象:瓶牛乳と紙パック牛乳両方飲んだことがある全国の20代~60代男女
調査期間:2023年12月1日~12月10日
調査方法:インターネット上でのアンケート調査
有効回答数:1,437名
調査主体:有限会社山村乳業
注意点:小数点以下の値の関係で調査結果の合計が100%にならないものがあります
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山村乳業とは
山村乳業は、1919年(大正8年)に三重県宇治山田市(現伊勢市)で創業した乳製品メーカーです。2019年に100周年を迎え、現代表の山村豊裕は三代目です。今では珍しくなった瓶容器での製造を創業以来大切に守り抜き、看板商品の「山村牛乳」をはじめ、「山村コーヒー」、「山村フルーツ」、「山村ヨーグルト」、「山村ぷりん」に加えアイス、菓子などお客様の声にひたむきに向き合う中で、18品目60種類の商品を製造・販売、その中で瓶入り乳製品は14品目47種類を数え、日本最多の商品ラインナップを展開しています。
長きにわたり大切にしているのが牛乳の味わいと風味を左右する殺菌方法で、弊社はパスチャライズ殺菌を採用しています。パスチャライズ殺菌は人体に有害な菌を死滅させつつも、牛乳中のタンパク質はほとんど熱変性しないため、カルシウムと共に体内でゆっくり消化吸収されます。加えて、牛乳本来の味わいと風味が保たれます。例えるなら“お米を鉄釜で炊くか、アルミ鍋で炊くか”の違いと言えます。高温・短時間のアルミ鍋と比較し、低温・長時間の鉄釜のお米がおいしいように、牛乳も同じことが言えます。85℃15分間のパスチャライズ殺菌が山村牛乳のおいしさの秘密です。なお、山村牛乳と山村ヨーグルトは特徴ある優れた産品を三重県と食に精通した有識者などが選ぶ、みえの食セレクション選定品です。
販路に関しては、伊勢市内およびその近郊への宅配に加え、山村乳業の直売店である「山村みるくがっこう 外宮前店・内宮前店」、「山村乳業アイス工房直売店」のほか、スーパーマーケット、百貨店、三重県のアンテナショップ「三重テラス」、伊勢志摩地方のホテル・旅館、公式通販など幅広く展開しています。
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会社概要
商号:有限会社山村乳業
代表者:山村豊裕
所在地:〒516-0079 三重県伊勢市大世古3丁目 5-8
創業:1919年
事業内容:乳製品の製造・加工販売、店舗経営
資本金:300万円
URL:https://yamamuramilk.co.jp/