味の素㈱、鹿児島県と肉用牛・乳用牛飼養における温室効果ガス削減と産業振興に向けた連携協定を締結

~肉用牛・乳用牛起因の温室効果ガス削減を地方自治体のGX戦略として展開~

味の素株式会社のプレスリリース

 味の素株式会社(社長:藤江 太郎 本社:東京都中央区)は、鹿児島県(知事:塩田 康一  県庁所在地:鹿児島県鹿児島市)及び県内の畜産関係団体等と、肉用牛・乳用牛飼養における温室効果ガス(以下GHG(※1))削減と産業振興を図るため、この度連携協定を締結しました。
 鹿児島県は、当社の牛用アミノ酸リジン製剤「AjiPro®-L」を活用したGHG削減ソリューションを採用して、県内の複数の畜産関係団体・畜産事業者・大学・金融機関等と連携して取組みを実施することでGX(グリーントランスフォーメーション(※2))を推進します。県内の産学官金が参加を表明しており、本取組みによって牛由来のGHG削減への取組みが大規模かつ迅速に県全体へ拡大することが期待されます。

 近年、世界的な人口増に伴いたんぱく質の需要が増加する中で、たんぱく源としての牛肉・生乳の生産が注目されています。一方で、牛の糞尿やげっぷに含まれるメタン・一酸化二窒素など、牛の生育に関わるGHG排出量は全世界の排出量の約9.5%(※3)を占め、地球温暖化の原因の一つとして喫緊の課題になっています。

 鹿児島県は肉用牛(肉用種)の飼養頭数約34.3万頭(※4)で全国1位(全国シェア18.2%)(※5)を誇る日本有数の畜産県である一方、県のGHG排出量の約2割が畜産由来、そのうちの約6割が牛由来と大きく(※5)、また、昨今の飼料高騰等によって県の基幹産業である畜産業の収益性が悪化しており早急な対応が求められていることから、県内畜産業の振興を図るためGHG排出削減と産業競争力の両立を図るGXを推進することとしています。

 このような環境において、当社は科学的知見に裏付けされた性能を持ち、業界ナンバーワンのシェア(当社調べ)を持つ当社製品「AjiPro®-L」を活用したソリューションを鹿児島県・県内の畜産関係団体・畜産事業者等と連携して県内に普及し、肉用牛・乳用牛起因のGHG排出削減と畜産事業者の収益改善を図ります。乳用牛においては、本製品を使用することで高コストで余分なアミノ酸も多く含む大豆粕などの飼料を減らしながら、不足するアミノ酸を補って飼料中のアミノ酸バランスを整えることができます。その結果、乳量を維持しながら飼料コストを削減すると同時に、糞尿中の余剰な窒素を減らし、一酸化二窒素を削減することが可能となります。肉用牛においては、上記の方法に加えて、肥育段階で「AjiPro®-L」を飼料に加え、飼料中で最も不足しやすいアミノ酸の一つであるリジンを補うことで、体内で利用されるアミノ酸の量を増加させ、肉用牛の生産性を高めることが可能となります。結果、肥育日数の短縮、もしくは枝肉(※6)重量の増加により、単位重量当たりのメタンと一酸化二窒素両方の削減、そして生産コストの削減が可能となります。

 また、当社のソリューションの核となるアミノ酸を活用したGHGの削減は、J-クレジット制度(※7)の方法論(※8)として登録済で、GHG削減量をクレジットに転換可能です。その中でも、アミノ酸を活用した肉用牛の生産性向上によるGHGの削減は、糞尿中のGHGに加えて、げっぷ中のメタンを削減できる唯一の方法論となります。

※1)Greenhouse Gasの略

※2)カーボンニュートラル(GHGの排出を全体としてゼロにすること)と経済成長の両立を目指しながら産業構造の転換を図る取組み

※3)出典:FAO Livestock solutions for climate change

https://www.fao.org/3/I8098EN/i8098en.pdf

※4)2023年2月1日現在

※5)出典:鹿児島県「鹿児島県地球温暖化対策実行計画 第3章 温室効果ガス排出量及び吸収量の現況と将来推計」

https://www.pref.kagoshima.jp/ad02/kurashi-kankyo/kankyo/ondanka/zero-carbon/documents/1976_20230324140411-1.pdf

※6)牛1頭から内臓等が取り除かれた骨付きの肉のこと

※7)CO2等のGHG排出削減量や吸収量を売買可能な「クレジット」として国が認証する制度

※8)GHGの排出削減・吸収に資する技術ごとに、適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法及びモニタリング方法等を規定したもの

 今後は、県と当社が取組みに参加する団体・事業者・大学・金融機関等と連携し、J-クレジット制度を通じたカーボンクレジットの活用等、畜産事業者へのインセンティブの仕組みや、県産牛肉や生乳の付加価値向上に向けた取組みを検討します。また、日本国内のみならず海外のパートナー企業と連携して当社のソリューションを世界規模で展開し、地球環境の負荷軽減と経済価値の創出を両立しながら、サステナブルな食システムの構築に貢献します。

 当社は、ネガティブインパクトの低減を着実に推進しながら、アミノサイエンス®をベースとした戦略・取組みの強化を通じてポジティブインパクトの創出拡大を目指し、飛躍的・継続的な企業価値向上に挑戦し続けていきます。

【本取組みの概略図】

【参加表明 畜産関係団体・畜産事業者(五十音順)】

・  鹿児島県農業協同組合中央会

・  鹿児島県経済農業協同組合連合会

・  鹿児島県酪農業協同組合

・  株式会社カミチクファーム

・  株式会社ナンチク

・  株式会社水迫ファーム

・  株式会社森ファーム

・  有限会社うしの中山

【参加表明 大学】 

・  鹿児島大学共同獣医学部

【参加表明 金融機関(五十音順)】

・  鹿児島県信用農業協同組合連合会

・  株式会社鹿児島銀行

【 当社が想定するJ-クレジット制度を活用したビジネスモデル】

【参考】

2023年3月27日付プレスリリース

味の素㈱と明治グループ、持続可能な酪農業の実現に向けた協業を開始

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2023_03_27.html

■「AjiPro®-L」について

当社が2011年より販売している牛用リジン製剤です。通常、牛の第一胃で必須アミノ酸のひとつであるリジンは分解されてしまい栄養として活用することが難しいところ、当社独自の製造技術によってリジンを栄養として利用可能な小腸まで効率良く届けることができます。確かな科学的知見に裏付けられた生産性の向上と飼料効率の改善をもたらす本製品は、牛用リジン製剤ナンバーワンシェア(当社調べ)を持ち世界中で使用されています。

「AjiPro®-L」製品紹介:http://www.ahs.ajinomoto.com/products/feed/ajipro-L.html

 味の素グループは、“Eat Well, Live Well.”をコーポレートスローガンに、アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献し、さらなる成長を実現してまいります。  

 味の素グループの2022年度の売上高は1兆3,591億円。世界36の国・地域に拠点を置き、商品を販売している国・地域は130以上にのぼります(2023年現在)。詳しくは、https://www.ajinomoto.co.jp/をご覧ください。

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