オンラインプラットフォームのアップデートに先立ち発足したTYPICAのコーヒーエキスパートチームは、限定パートナープログラムなどを通じ、企業のコーヒー生豆調達のSXを伴走型でサポートします。
TYPICA Holdings株式会社のプレスリリース
TYPICA(読み:ティピカ)は、民間発でコーヒー産業を革新する「新国際コーヒー市場づくり」を主題に2019年に創業したグローバルベンチャー企業です。現在は日本、韓国、台湾、オランダ、米国の世界5拠点・75カ国・地域で事業を展開。11万軒以上の生産者と5,500軒を超えるロースターのネットワークへと至り、57カ国・地域の生産者のコーヒーがプラットフォームを通じて流通しています。
従来、コーヒー生豆の取引価格は、先物市場の国際価格をベースに決定されてきました。それゆえに、ブラジルやベトナムのような大量生産品を中心とする地域で豊作が見込まれると取引相場が下落。これはすなわち、世界に1,200万軒近く存在するとされる中小規模生産者の収入の減少を意味します。場合によっては、生産コストを下回る価格での販売を余儀なくされることも少なくありません。さらに、この国際価格は先物市場に流れ込む投機の影響で激しく変動するため、約550万軒のコーヒー生産者が今も貧困状態にあると言われています。
こうした構造的な問題によって、コーヒーは儲からない高リスク作物だと捉える生産者も多く、コーヒー生産から離れる事例も増加傾向に。こういった実態に気候変動や労働力不足も加わり、2050年までにコーヒー生産量全体の60%を占める高品質なアラビカ種が半減してしまうことが懸念されています。
このようなコーヒー産業の根本的な革新を目指すTYPICAのオンラインプラットフォームでは、生産者とのダイレクトトレードによって、先物市場に依存しない価格決定が実現します。世界中のコーヒー生豆の買い手が国際価格に振り回されることなく、品質と生産コストに応じた適正な価格で安定的にコーヒー生豆の調達を行うことが可能となるだけでなく、小規模生産者の収入の向上と安定化にもつながるため、コーヒーのサステナビリティに直結します。
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コーヒーエキスパートチーム立ち上げの背景
近日ローンチを予定されているニューモデルへのアップデートを皮切りに、コーヒー業界のサステナブルな発展をともに牽引していく企業に向けた特別なコミュニティプログラムが始まります。
このプログラムは、世界中のコーヒーロースターや飲料メーカー、カフェチェーン、商社の中から、ニューモデルの価値を最大限にご活用いただける企業に限定して提供するパートナープログラムです。パートナー企業のコーヒー生豆調達における安定性と発展性、そして収益性を劇的に高めるための様々な機能が活用できる充実の内容で、「美味しいコーヒーのサステナビリティを高める」というTYPICAのビジョンを実現するためのグローバルコミュニティづくりの中核を担います。
今回発足したコーヒーエキスパートチームは、マイクロロースターから世界に名だたる大企業まで、TYPICAとビジョンを共有する全てのお客さまとともにダイレクトトレードの主流化を推し進めるべく集められた専門チームです。間もなく始まる限定プログラムでは、参加するパートナー企業の皆さまがそれぞれの理想のコーヒー生豆と出会えるよう、お客さまと一体となってきめ細やかなサポートを行い、ともにコーヒー生豆調達のDXやSXを推進します。
TYPICAのコーヒーエキスパートチームは、コーヒーやコーヒー調達に関する豊富な知見を持つ多様な人材と一部の経営メンバーで構成されます。
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戦略パートナー 松下翔太 (東京オフィス)
2008年に立命館大学を卒業し、飲料・食品専門商社の石光商事株式会社に入社。
入社後4年間コーヒー生豆の品質管理業務に従事。
2012年中国現地子会社・石光商貿(上海)有限公司に出向・駐在し生豆流通ビジネスモデルを構築。2015年に帰任し、以降4年間日本で国内顧客へのコーヒー生豆の営業を担当。その間同時にアジア地域やブラジルといった生産国サイドとの買付・商品開発業務を歴任。2019年からは焙煎加工後のコーヒー製品の新規営業・マーケティングを担当。
TYPICAでは、ソーシングDXストラテジックパートナーとして中大手の顧客とのコミュニケーションを担当している。J.C.Q.A.認定コーヒー鑑定士。
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戦略パートナー 品川亮太 (ニューヨークオフィス)
2013年に東京大学を卒業し、総合商社の丸紅株式会社に入社。
入社後10年間一貫してコーヒー生豆のトレーディング業務に従事し、買付、販売、ロジ最適化、在庫管理、マーケット分析、品質管理などトレーディングに関わる全ての業務を担当。2017年にはブラジルの現地子会社イグアスコーヒーに出向・駐在し、インスタントコーヒーの製造販売に携わる傍ら、ブラジル国内の生豆マーケットに関する情報収集と発信も行う。2019年からは丸紅ベトナム会社にマネージャーとして2年間駐在し、現地のコーヒーチームを監督すると同時に、新規事業としてインスタントコーヒー製造工場の立ち上げにも参画。2021年に帰任後、課長代理としてコーヒートレーディングに再び携わる。TYPICAでは、ソーシングDXストラテジックパートナーとして中大手顧客とのコミュニケーションを担当している。
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戦略パートナー 永井和人 (東京オフィス)
2007年にカルディコーヒーファームを運営するキャメル珈琲に入社。13年間一貫してコーヒー部門に在籍。
入社後は自社工場でのコーヒー生産管理、需給調整、サプライヤー管理業務に従事。2010年よりコーヒー生豆買付と品質管理を担当。2014年からは自社店舗のコーヒー販売サポートや教育業務を担当。2017年に再びコーヒー生豆買付、品質管理となり、翌年部門長に就任。生産地と消費者を結ぶコーヒーシリーズ等、新商品開発にも携わる。
その後、大手ディスカウントストアでの商品開発、コーヒーマシン営業を経験。TYPICAでは、コーヒーエキスパートとして品質管理と中大手顧客とのコミュニケーションを担当している。
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オリジンパートナー 山際 貴義 (アムステルダムオフィス)
米国バージニア州立工科大学を卒業後、同大学院で修士号及び博士号を取得。Qアラビカ・グレーダー鑑定士。世銀、国連開発計画、WHO等から各種調査研究業務の受注を経て、伊藤忠商事株式会社のエルサルバドル及びグアテマラのコーヒー現地子会社役員として会社運営助言、中米産コーヒー買付、品質管理などを担当。その後、エルサルバドル政府国営銀行の役員としてコーヒー生産関連の小中企業向け貸付及び技術協力に関わる助言を行う。さらに米州開発銀行エルサルバドル事務所でコーヒー気候変動借款案件の形成等に4年間従事。
2020年にオランダへ拠点を移して独立以降、コーヒー生産者のコンサルタントを務める。TYPICAでは、生産者ネットワーク開拓やGHG排出算定関連業務に従事している。
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ソーシャルインパクトオフィサー 船山静夏
早稲田大学卒業後、ODA専門商社での就業を経て在外公館での職務のためにナイジェリアに1年ほど駐在。
その後、英国オックスフォード大学での修士号取得を挟んで、人道支援などを行う国際NGOに合流。事業管理や事業形成の経験を積み、1年半に及ぶケニア駐在中は、日本政府資金および国連資金を使った難民支援事業の現地責任者として、事務所の運営も担った。
その後独立し、政府資金事業に関連する役割で複数のスタートアップに参画するかたわら、広報やマーケティング、総務領域にも職務の幅を広げた。
TYPICAでは、執行役員としてサステナブル調達領域の強化や政府連携事業の推進に従事。
コメント:
近年、民間企業にも社会へのポジティブなインパクトが求められるようになりました。私が長年過ごした非営利の世界、すなわち第三セクターと呼ばれてきた市民社会が、第一セクターである政府、そして第二セクターであり世界の大部分を占める営利企業の世界と、真に融合しようとしている機運を感じます。一方で、多くの企業がサステナブル調達や脱炭素化など新たな社会的責任を求められるなか、世界はまだ明確な指針を示せずにいるようにも見受けられます。TYPICAのニューモデルを通じて、企業や個人が調和のもとにより良い未来へと進んでいけるよう、コーヒー産業にかかわる皆さまとこれからの時代に求められる企業のあり方を模索し体現していけることを楽しみにしています。
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代表取締役CQO(チーフクオリティオフィサー) 山田彩音
2012年関西最大規模の焙煎所の立上げ責任者を経験し、焙煎士としてのキャリアをスタート。2014年コーヒースタートアップHOOPの創業メンバーとして経営参画し、日本初のシェアロースターを立上げ。
2017年、新しいダイレクトトレードのかたちを志向し、コーヒー生産地キューバを訪れる。2019年 TYPICAを創業、現在アムステルダムを拠点に世界中のコーヒー生産地を訪れている。2020年よりTYPICA株式会社の取締役に就任。
2023年Forbes JAPANより日本の起業家ランキング2023 TOP20に選出。
コメント:
今回のニューモデルのリリースを機に、TYPICAのビジョン実現に向けて新たな一歩を踏み出せることを大変感慨深く感じております。ニューモデルにはコーヒー生豆の調達を次元転換するような機能が加わります。コーヒーエキスパートチームは、バイヤーの皆様とコーヒー生産者の架け橋となり、それぞれの経験と専門知識を活かし、双方がWin-Winになる成功事例を生み出します。このモデルの成果はビジネスの成功だけにとどまらず、コーヒーのサステナビリティを高めることに直結します。コーヒーエキスパートチームとともに育むこのモデルが、これからの業界標準になると私は確信しています。
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代表取締役CEO 後藤将
2003年19歳で起業。2009年ソーシャル・イノベーション事業開始。2012年ダボス会議を主催する世界経済フォーラムよりGlobal Shapersに選出される。2013年サンフランシスコでの駐在時に新たなコーヒーカルチャーと出会い、帰国後コーヒースタートアップの立上げに参画。2014年より関西学院大学非常勤講師に就任し「SDGs実践入門」の講義を担当中。2019年アメリカ元副大統領アルゴア氏が主催する気候変動対策に取り組む世界的なイニシアティブClimate Reality Leaderに承認される。2020年コーヒーと世界のサスティナビリティを高める1つの挑戦としてTYPICA株式会社を設立し代表取締役に就任。2021年 TYPICAがグッドデザイン賞BEST 100、経済産業省の特別賞グッドフォーカス賞を受賞。2023年Forbes JAPANより日本の起業家ランキング2023 TOP20に選出。同年、Japan Venture Awardsで中小企業長官賞を受賞。
コメント:
TYPICA創業以来、75カ国・地域の11万軒を超える生産者やロースターによって育まれてきた私たちの願望、経験、知識、ネットワークをフル活用し、新たな挑戦を開始できることにワクワクしています。コーヒー業界には、物価高騰、労働者不足、気候変動などによる収穫量の減少や品質のブレだけでなく、不安定で変動の激しい為替レートや先物相場といった問題があり、不確実で予測不可能なコーヒー取引を余儀なくされているケースが多くあります。しかし、これらの諸問題も視点を変えれば、より永続的発展的な産業の構造へと革新できる機会に満ち溢れていると受け取り直すことができます。コーヒーエキスパートチームは、これまで長年コーヒー業界やソーシャルインパクトの領域で活躍してきた一人ひとりが、グローバルなオンラインプラットフォームのダイナミズムと、志を共有するコミュニティの可能性を真に追求し、より経済性高く安定的なコーヒー取引を実現できる流通構造への革新を担っていく決意を新たにしております。皆さまのご参画を心から楽しみにしております。
本日から始動するTYPICAのコーヒーエキスパートチームは、それぞれの知識と経験を掛け合わせながら、マイクロロースターや大手ロースター、飲料メーカー、カフェチェーン、商社など、美味しいコーヒーのサステナビリティを志向する世界中のお客さまに寄り添い、コーヒー生豆の流通革命をともに推し進めていきます。
コーヒーエキスパートチームのメンバーは今後、グローバルで拡充していく予定です。