「焼肉店」の倒産動向(2024年1-6月)
株式会社帝国データバンクのプレスリリース
<調査結果(要旨)>
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「焼肉店」の倒産急増、過去最多ペース
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焼肉店の3割超が「赤字」 円安で牛肉高騰が打撃
集計期間:2024年6月30日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
※調査結果は下記ホームページにも掲載予定
https://www.tdb.co.jp/report/index.html
焼肉店の倒産ペースが加速している。2024年に発生した「焼肉店」経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、6月までに計20件発生した。23年の同期間に比べて約2.5倍となったほか、年間としてはこれまで最も多かった19年通年(26件)を大きく上回る勢いで推移し、過去最多を更新することになる。さらに、個人営業など小規模店の閉店や廃業などを含めれば、実際はより多くの焼肉店が市場から退出したとみられる。
コロナ禍でニーズが高まり出店が相次いだ焼肉店は、顧客の獲得競争が激化していることに加え、円安などを要因とした食肉価格の高騰が経営を直撃している。焼肉店を中心に展開する外食企業のうち、2023年度の業績が「赤字」となった企業の割合は34.8%を占めた。前年度から利益が減少した「減益」を合わせた「業績悪化」の割合は64.6%に上り、過去10年で2番目に高い水準だった。電気・ガス代や人件費など店舗運営コストの負担増に加え、米国産や豪州産などの輸入牛肉、さらには価格を抑えたメニューで採用される安価な豚肉でも円安で価格が高騰したことが重荷となった。
一方で、物価高騰による消費者の「値上げ疲れ」で客足が途絶えることへの懸念が強いことから大幅な値上げが難しく、小規模な焼肉店などでは厳しい価格競争に耐え切れなくなっていることも、近年、淘汰される中小焼肉店が増えた要因となった。
牛肉などの原材料価格・人件費・光熱費と二重・三重でコストが増加し、焼肉店でも値上げは避けられない情勢となってきている。新メニューの開発や店舗の雰囲気・サービスの向上など、値上げしても客足が途絶えない創意工夫を求められる局面を迎えている。