スピリッツ市場の正常化が進む中、業績は堅調
ペルノ・リカール・ジャパン株式会社のプレスリリース
売上高の有機的成長率は1%減(決算発表ベースでは4%減)
継続事業からの営業利益(PRO)の有機的成長率は1.5%増(決算発表ベースでは7%減)
ペルノ・リカール・グループ会長兼最高経営責任者(CEO)のアレクサンドル・リカールは次のように述べています。
「経済的・地政学的に不安定であり、また、パンデミック明けの2年間に著しい成長を遂げた後でスピ
リッツ市場の正常化が進む中、ペルノ・リカールの2024年6月期の業績は堅調でした。私たちの世界的な規模、迅速な対応とブランド・ポートフォリオ、業界随一の幅広いラインアップに加えて、お客様の要求と期待を理解し、そのために投資を行う能力が相まって、当社グループはこうした厳しい環境下でも優位性を維持することができました。ペルノ・リカールが長期的に持続可能で収益性の高い成長への道を歩めるよう、素早く対応し、絶え間ない努力を続けている私たちのチームに感謝いたします」
エグゼクティブ・サマリー
2024年6月期の主なハイライト
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売上高は概ね横ばいで推移し、ロシアを除き約1%の有機的成長率を達成しました。多くの成熟および新興市場での堅調な業績が、いまだ正常化が続く米国と軟調な中国市場の低迷を主に相殺しました。
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下期を通じて、大半の市場で引き続き数量が回復しました。
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価格設定、業務効率性、コスト規律が奏功し、有機的な売上総利益率と営業利益率はそれぞれ108bps、80bps拡大しました。
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積極的な広告・販促費方針と戦略的投資の加速により、ブランド訴求力と持続可能な長期成長への投資を実施しました。
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一部の戦略的ローカルブランドの売却や、戦略的ワインブランドの売却発表など、積極的なポートフォリオマネジメントを継続しました。[1]
[1] 規制当局の承認(2025年度下期中を予想)など取引完了要件の履行を条件とする。
売上
2024年6月期の売上高は115億9,800万ユーロとなり、有機的成長率は1%減(決算発表ベースでは4%減)でした。周辺のプラス効果(3億9,500万ユーロ)があったものの、主にアルゼンチン・ペソ、トルコ・リラ、米ドル、人民元、インド・ルピー関連のマイナスの為替インパクト(7億8,400万ユーロ)が逆風となりました。
地域別:
◾️ 北米・南米地域:5%減、価格/商品は1桁前半の伸び。
○ 米国:9%減、価格/商品は1桁前半の低下。
– スピリッツ市場の正常化が継続しています。
– 配荷は約7%、セルアウトは約4%(ともに価値ベース)減少しました。
– 成長を遂げているブランド、ジェファーソンズとコディゴを買収し、5月にスクリューボールのマーケティング活動を開始しました。
– ジェムソンの持分を取得しました。
– 2024年度は一貫して小売業者と流通業者の在庫調整が続きました。
– 金利が高止まりする環境下で2025年度も在庫調整が続き、7–9月期(第1四半期)の売上高は減少すると予想されます。
○ カナダ:概ね横ばいで推移。レディ・トゥ・ドリンク(RTD)の伸びが好調でシェアを拡大しました。
○ ブラジル:わずかに増加。下期は前年と比べて好調で、消費者需要も回復し、シェアを伸ばしました。
○ メキシコ:わずかに増加。前年比では減少し観光シーズンも軟調でしたが、シェアは拡大しました。
◾️ アジアおよびその他地域:3%増、価格/商品は1桁前半の伸び。
○ 中国:10%減、価格/商品は横ばい。
– 厳しいマクロ経済環境と消費センチメントの低迷が続き、需要が悪影響を受けました。
– 強いブランド力が価格規律を支えています。
– 市場シェアは拡大しました。
– マーテル ノーブリッジの売上は安定しており、プレミアム・インターナショナル・ブランドのアブソルート、ジェムソン、オルメカ、ビーフィーターは好調でした。
– 2025年度のMAFを前に貿易ムードが抑えられることや、昨年の第1四半期の強い消費センチメントの反動もあり、第1四半期は大幅な減少が予想されます。ただし通年の動向は2024年度と同様と予想しています。
○ インド:6%増、価格/商品は1桁半ばの伸び。
– 旺盛な消費者需要に支えられ、広範にわたり好調な業績が加速しました。
– プレミアム商品の売上が増加しています。
– ジェムソン、アブソルート、ザ・グレンリベットを中心としたインターナショナルブランドが大きく伸びました。
– ロイヤル・スタッグやブレンダーズ・プライドなど高級ウイスキーがけん引し、シーグラムのウイスキー売上が増加しました。シングルモルトのロングチュード77の販売を無事開始しました。
○ 日本、台湾市場では極めて強い伸びを示し、シェアを拡大する一方、韓国では売上高とシェアともに低下しました。
○ アフリカおよび中東は非常に堅調で、特にシーバスリーガルが好調のトルコと、ナイジェリアが売上を牽引しました。
○ 厳しいマクロ経済情勢を背景に、南アフリカは横ばいでした。
◾️ 欧州:5%減、価格/商品は横ばい。
○ ロシアを除く欧州は好調(2%増)で、特にドイツとポーランドが堅調でした。
○ 一部主要市場でシェアを維持または拡大しました。
○ ジェムソン、バランタイン、アブソルート、バンブーといったブランドの売上が好調でした。
○ リレやアブソルートを中心にRTDが好調でした。
◾️ グローバル免税小売販売:2%増、価格/商品は1桁前半の減少。
○ 上期は交渉の長期化による影響を受けて軟調だったものの、下期は好調な伸びを示し通期の売上高は増加しました。
○ 中国人観光客数がまだ回復過程にあることを除き、旅行者数は完全に正常化しています。
○ 中国の弱いマクロ経済情勢による影響はあるものの、アジア地域の業績は好調でした。
○ ローヤルサルート、ザ・グレンリベット、バランタイン、ジェムソンなど、大半のウイスキーが強い伸びを示しました。
カテゴリー別:
ジェムソンは引き続き世界各地で販売が拡大しており、アブソルートはアジアおよびその他地域ならびに欧州で飛躍的に伸びています。スコッチの各ブランドは米国と中国の逆風を受けました。
◾️ 戦略的インターナショナルブランド:3%減
○ マーテルの売上高が、中国で急減しました。
○ ジェムソンは、米国およびロシアの影響を除けば好調な伸びを示しました。
○ アブソルートはロシアを除く欧州、アジア(特に中国とインド)で大きく増加しました。
○ スコッチの各ブランドは、アジア(中国を除く)、欧州(ロシアを除く)、中東およびアフリカで好調でした。
◾️ 戦略的ローカルブランド:5%増
○ インドでは、シーグラムのウイスキー、とりわけロイヤル・スタッグとブレンダーズ・プライドが力強い伸びを示しました。
○ 北米と西欧ではカルーアが大きく伸びました。
◾️ スペシャルティブランド:2%減
○ アジア、中東、アフリカ、中央ヨーロッパ、中南米全域で強い伸びがみられましたが、西欧と米国では弱含みました。
○ ブンブ、スクリューボール、アルトス、リレの売上が非常に好調でした。
ポートフォリオ全体では価格の伸び率が1桁半ばでしたが、数量は減少しており、価格/商品ミックスは悪化しました。
利益
2024年6月期のPROは31億1,600万ユーロで、有機的成長率は1.5%増(決算発表ベースでは7%減)でした。
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価格設定、業務効率化、厳格な費用管理が功を奏し、売上総利益率は有機ベースで108bps拡大しました。
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広告・販促費は19億ユーロ、売上高比率は約16%となりました。一般管理費は規律を保ちました。
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営業利益率は有機ベースで80bps改善し28.4%となりましたが、決算発表ベースでは26.9%に低下しました。
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決算発表ベースの営業利益率は、為替によるマイナス(4億2,500万ユーロ)と周辺のプラス(1億4,000万ユーロ)の影響を受けました。
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為替インパクトの大半は、トルコ・リラ、アルゼンチン・ペソ、米ドルおよび人民元によるものです。
グループに帰属する純PROは20億ユーロとなり、14.5%減少しました。金利上昇を受けて継続事業にかかる金融費用が増加し、負債コストは平均3.2%となりました。継続事業にかかる法人所得税もPROと同様に減少しました。
グループに帰属する純利益は14億7,600万ユーロとなり、35%減少しました。一過性の営業費用にはワイン事業の減損が含まれますが、この売却収益とカルーアの減損戻入れが一部相殺しました。一過性の法人所得税には、カルーアの減損戻入れによる繰延税金と、米国での外国税額控除額に対する繰延税金の減損による影響が含まれます。
1株当たり利益(EPS)は7.90ユーロに減少しました。これはグループに帰属する継続事業からの純利益の減少と自社株買いの効果を反映したものです。
フリーキャッシュフローおよび負債
フリーキャッシュフローは、前年度から33%減少して約9億6,300万ユーロとなりました。これは、決算発表ベースの利益低下と、将来の成長を加速するために予定している戦略投資を加速したことによるものです。
純負債は、前年度から6億7,700万ユーロ増加して109億5,100万ユーロとなりました。期中平均為替レート(ユーロ/米ドル=1.08)で換算したEBITDAに対する純負債比率は、3.1倍に上昇しました。これは前年比で決算発表ベースのPROが減少したことと、純負債が増加したことによるものです。
配当につきましては、2024年11月8日の年次株主総会での株主承認を条件として、1株当たり4.70ユーロを提案しております。これにより2019年度からの配当の年平均成長率は8.5%になります。
ペルノ・リカールの財務方針に変更はありません。
投資適格格付を維持しつつ、以下に取り組みます。
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戦略的在庫配備と設備投資を中心とした、将来の有機的成長を支えるための投資
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価値創造を実現するM&Aを含む、積極的なポートフォリオマネジメントの継続
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継続的な増配を目指しつつ、継続事業からの純利益の約50%という配当性向を維持
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上記優先事項の実施後に自社株買いを実施
事業見通し
ペルノ・リカールは、分散ポートフォリオとバランスのとれた世界各地の拠点を活用することで、中期財務フレームの目標上限である4~7%の売上高有機成長率と、50~60bpsの営業利益率の改善は可能であるとの自信を改めて確認しています。
2025年度については以下を想定しています。
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数量の回復を受けて、通期売上高の有機的成長率が成長軌道に回帰するとともに、有機ベースの営業利益率は持続。
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米国・中国以外の地域は好調な業績が見込まれるものの、米国での追加在庫調整と脆弱な中国マクロ経済の継続により第1四半期は軟調。
ペルノ・リカール・ジャパンの業績
シャンパーニュとスコッチウイスキーが好調で、引き続き売り上げは堅調に昨年を上回りました。
本プレスリリースに記載した成長率のデータは、特に記述がない限り、すべて(恒常為替レートおよび継続的グループ組織を前提とした)有機的成長率を指しています。データは端数処理される場合があります。
2024年6月期決算の詳細は、当グループのホームページ(www.pernod-ricard.com)でダウンロードできます。
非IFRS指標の定義およびIFRS指標との調整
ペルノ・リカールの経営プロセスは企画および報告のために選択した下記の非IFRS指標を基にしています。グループの経営陣は、これらの指標が財務諸表利用者に対して、グループの業績を把握するうえで貴重な追加情報を提供するものと考えます。これらの非IFRS指標は、比較可能なIFRS指標およびIFRSで報告される変動を補完するものとみなされるべきものです。
有機的成長(Organic growth)
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有機的成長は為替レートの変動、買収・処分および適用会計基準の変更の影響およびハイパーインフレーションを除外して計算されています。
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為替レートの影響は、当年度の業績を前年の為替レートで換算することによって計算されており、当年度と前年度の決算発表ベースの取引の影響における差異を加算しています。
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当年度における企業買収については、買収後の業績を有機的な数値から除外しています。前年度の買収については、決算上買収後の業績を前年度業績に含めていますが、当年度の有機的な数値上、買収後1年以降の業績のみを含めています。
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ハイパーインフレーションがトルコおよびアルゼンチンのPROに与える影響は、同国の価格/コスト増を最大年26%(3年間で100%増に相当)に抑えることにより、損益計算書上の有機的成長計算から除外しています。
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事業、ブランド、ブランド販売権、代理店契約を前年度に処分または終了した場合、有機的な数値上、当該事業等の業績を前年度から除外しています。当年度に処分または終了した場合、処分または終了の1年前の日以降の当該事業に関する業績を前年度から除外しています。
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本指標により、グループの業績を同一条件のもとに比較し、ローカルの経営陣が最も直接的に影響を及ぼすことができる領域に焦点を当てて、業績を評価することができます。
継続事業からの営業利益
継続事業からの営業利益はその他の一過性の営業損益を除外した営業利益に相当します。
ペルノ・リカールについて
ペルノ・リカールは、伝統的な職人の技、最新鋭のブランド構築とグローバルな販売技術を兼ね備えた、スピリッツおよびワイン産業における世界の代表的リーダー企業です。プレミアムブランドからラグジュアリーブランドに亘る当グループの著名な商品群には、アブソルートウオッカ、リカール(パスティス)、バランタイン、シーバスリーガル、ローヤルサルート、ザ・グレンリベット(スコッチウイスキー)、ジェムソン(アイリッシュウイスキー)、マーテル(コニャック)、ハバナクラブ(ラム)、ビーフィーター(ジン)、マリブ(リキュール)、メゾン マム、ペリエ ジュエ(シャンパン)などがあります。当グループのミッションは、保有ブランドの長期的発展を確保することにあります。当該目標実現に向け、人と環境に最大限配慮しつつ、世界中の当グループ社員をコンヴィヴィアリテという明確な目標とインクルーシブな文化のアンバサダーと位置づけています。ペルノ・リカールの2024年度の連結売上高は115億9,800万ユーロでした。
ペルノ・リカールはNYSEユーロネクストに上場しており(ティッカー:RI、ISINコード:FR0000120693)、CAC40指数およびユーロ・ストックス50指数のメンバーです。