非可食植物のテリハボクの種子からSAF(持続可能な航空燃料)成分を含む油の生成に成功

「BioJapan2024」で研究成果を発表

株式会社J-オイルミルズのプレスリリース

株式会社J-オイルミルズ(東京都中央区、代表取締役社長執行役員 CEO:佐藤 達也 以下当社)は、2022年度よりNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募事業「バイオジェット燃料生産技術開発事業/実証を通じたサプライチェーンモデルの構築」において、食料と競合しない植物油脂利用によるSAF(持続可能な航空燃料)サプライチェーンモデル構築および拡大に向けた実証研究を行っており、このたび非可食植物のテリハボクの種子からSAF成分を含む油の生成に成功しました。当社は10月9日~11日にパシフィコ横浜で開催された「BioJapan2024」のNEDOブースに出展し、今回の研究成果について発表を行いました。

テリハボクの種子からSAF成分を含む油を生成
「BioJapan2024」のNEDOブースに出展

ブースで公開した動画

航空業界におけるCO2排出量削減の具体策として、SAFの安定供給の実現に対する社会的な要請が高まっています。SAFは非化石由来の原料から製造されますが、その製造プロセス・原料は複数あり、食料と競合しない原料の活用が期待されています。

当社は、食用植物油の製造で培った知見と技術を生かして、食料と競合しない非可食植物をSAF原料として活用する研究を行っており、すでにSAF原料として着目されていたポンガミアに加え、テリハボクについても研究を進めてきました。テリハボクは日本では沖縄県、海外では東南アジアなどに分布する亜熱帯植物で、沖縄では主に街路樹や防風林として利用されています。

テリハボクの街路樹
テリハボクの種子

テリハボクはその胚珠中の油分が40%~50%と多く、乾燥地や塩分濃度の高い土地など農地に適さない土地でも栽培可能であり、食料用の農地との競合が少ないことからSAF原料としての活用が期待されます。このたび当社はテリハボクの種子の搾油・精製・水素化を行い、SAF成分を含む油の生成に成功しました。

今後は、SAFの国際的な品質規格であるASTM規格(※1)への適合や環境認証であるCORSIA(※2)適格燃料登録を目指して、SAF化技術を持つ組織との連携を進めるとともに、小規模な栽培実証試験など、非可食植物原料の確保に向けた取り組みを進めてまいります。

(※1)ASTM International(旧称 American Society for Testing and Materials: 米国試験材料協会)が定める航空用代替ジェット燃料に関する規格

(※2)CORSIA(Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation):国際民間航空機関(ICAO)における国際航空分野の炭素排出削減制度

ご参考

・植物油メーカーが“食べられない油”に挑む! SAF(持続可能な航空燃料)の実証研究が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公募事業に採択されました(2023年8月28日)

https://www.j-oil.com/press/div/230828_004233.html

・非可食油原料樹の植林を起点としたSAFサプライチェーン構築について ~豪州でのポンガミア栽培によるCO2固定化・バイオ原料確保を検討~(2023年3月8日)

https://www.j-oil.com/press/div/230308_003897.html

株式会社 J-オイルミルズ

株式会社J-オイルミルズ(東証プライム市場、証券コード2613)は2004年に製油業界の3社が統合して誕生した、味の素グループの食用油メーカーで、2024年7月1日をもちまして創立20周年を迎えました。JOYL「 AJINOMOTOオリーブオイル」をはじめとする油脂製品を主力とし、特に業務用油脂では高いシェアを誇ります。マーガリン類、油糧(ミール)、スターチ、機能性素材など幅広い事業を展開しており、プラスチック使用量を6割以上※削減した紙パックの食用油「スマートグリーンパック®」シリーズやCFP(Carbon Footprint of Products)マークを取得した業務用の長持ち油「長徳®」シリーズなど、植物由来の原料から価値を引き出し「おいしさ×健康×低負荷」の実現を目指しています。
詳細については https://www.j-oil.com/をご参照ください。
※ 当社計算。従来のプラスチック製の同容量帯容器と比較した場合。

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