日本生産性本部のプレスリリース
日本生産性本部、「産業別労働生産性水準の国際比較2024 ~2020年データでみた日本の主要産業の現状~」を公表
米独英仏を含む21カ国と比較、日本のサービス産業は21カ国中15位で対米比5割にとどまる
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす(公財)日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)は、12月16日、「産業別労働生産性水準の国際比較2024~2020年データでみた日本の主要産業の現状~」を公表しました。これは、2020年5月に公表した「産業別労働生産性水準(2017年)の国際比較」を直近年データ(2020年)に更新し、分析したものです。
「産業別労働生産性水準の国際比較2024」では、前回の日米独英仏など19カ国から、データが利用できる欧州諸国を追加した21カ国に対象国を拡張して比較しています。なお、当本部の産業別労働生産性水準比較研究プロジェクト(座長:滝澤美帆 学習院大学経済学部教授)が、日本の国民経済計算年次推計やEU-KLEMSデータベースを利用し、計測・比較を行いました。
人口減少が本格的に進み、様々な業種で人手不足が深刻化する中、生成AIなどのデジタル技術を活用した生産性向上が喫緊の課題となっています。また、物価上昇を上回る賃上げを実現し、持続可能な経済社会を構築するうえでも、生産性向上の必要性や意義はますます高まっています。当本部では、日本の労働生産性の国際的な位置づけを定点観測し、今後の政策立案や施策の展開に役立てたいと考えています。
1. 産業別にみた日本の労働生産性(2020年)は、サービス産業で米国の5割(49.6%)の水準
産業別にみた日本の労働生産性水準(就業1時間当たり付加価値額/2020年)は、米国と比較すると化学(対米比127.6%)で上回るものの、卸売・小売業で米国の4割弱(同37.9%)、不動産(同31.3%)や宿泊・飲食サービス業(同30.2%)で約3割、情報通信業(同22.0%)で約2割となっており、サービス産業主要分野の労働生産性が米国を大きく下回っている。
2020年の日米生産性格差を2015年と比較すると、 運輸・郵便業や宿泊・飲食サービス業、情報通信業、専門・業務支援サービス業などサービス産業に属する幅広い分野で10%ポイント前後、日米格差が拡大している。
日本の労働生産性をドイツと比較すると、サービス産業でドイツの3分の2程度(65.9%)となっており、米国と比較したときよりも格差が小さい。
2. 日米欧21カ国で比較すると、日本のサービス産業の労働生産性は15位
日本のサービス産業の労働生産性は、データが利用可能な日米欧21カ国中15位。
専門・業務支援サービス業(21カ国中9位)は中位にあるものの、卸売・小売業(同17位)や情報通信業(同15位)、運輸・郵便業(同14位)、宿泊・飲食サービス業(同14位)といった分野について国際的にも労働生産性が低い状況にある。
報告書の本文は、添付資料ならびに日本生産性本部・生産性に関する研究のホームページよりダウンロードしてご覧いただけます。