環境再生型農業の実践をサポートする「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」をレインフォレスト・アライアンスと共同で運用開始

~紅茶農園の持続可能性向上と「キリン 午後の紅茶」のさらなる安定供給へ~

キリンホールディングス株式会社のプレスリリース

 キリンホールディングス株式会社(社長 COO 南方健志)とキリンビバレッジ株式会社(社長 井上一弘、以下キリンビバレッジ)は、レインフォレスト・アライアンス(CEO: Santiago Gowland)と共同で2023年10月より開発してきた環境再生型農業※1への移行を促すツールである「リジェネラティブ・ティー・スコアカード(以下、スコアカード)」を、2024年12月より運用開始します。運用は、「キリン 午後の紅茶」に使用されている紅茶葉の主な生産国であるスリランカの一部の紅茶農園を対象にしたもので、2025年末までにスリランカの1つの大農園と30の小農園での運用を予定しています。

※1 農業活動を通じて環境の保全や再生を目指すアプローチのこと

  「スコアカード」は、紅茶農園で紅茶葉の栽培に携わる人々が、自主的に利用しやすいツールとなることを目指しています。地球環境にやさしい農法と統合システム管理戦略を組み合わせることで、農業に対して自然の保全と再生のアプローチを取るレインフォレスト・アライアンスの環境再生型農業の定義に基づいており、土壌の健全性、農園内の生物多様性の保全、生態系の回復、農園の人々の生活向上を促進する方法を提示します。紅茶農園は「スコアカード」を使用することで、現在の農業の実践と環境再生型農業に移行する際に改善すべき範囲を識別することができ、農業の実施状況の評価と、環境再生型農業への移行に向けた改善点を明らかにすることができます。

 現在、日本に輸入されている紅茶葉※2の約4割※3はスリランカ産で、そのうち約2割※4が「キリン 午後の紅茶」に使用されています。キリングループは、スリランカの茶葉生産地やそこで働く人々とのより良いパートナーシップを築き、安心しておいしく飲める紅茶飲料をつくり続けていくために、2013年から「レインフォレスト・アライアンス認証※5」の取得支援活動を行っています。2023年末で、スリランカの大農園の約3割に相当する94※6の大農園が認証を取得しました。キリンビバレッジは、2021年から、スリランカ産茶葉を100%使用、そのうち「レインフォレスト・アライアンス認証茶葉」を90%以上使用した「キリン 午後の紅茶 ストレートティー」250ml LLスリムを販売しています。

※2 リーフのみ実績(インスタント紅茶除く) ※3 財務省通関統計

※4 キリンビバレッジ調べ

※5 自然と作り手を守りながら、より持続可能な農法に取り組むと認められた農園に与えられる認証

※6 2023年に1つの大農園が認証継続を断念

 スリランカの紅茶農園は、干ばつや大雨など気候変動の影響、都市化に伴う土地利用の変化影響など、さまざまな課題に直面しています。キリングループは2022年7月に発行した「環境報告書2022」で、TNFD※7が提唱するLEAPアプローチに基づき、スリランカの紅茶農園を含む自然資本※8の開示を世界で初めて試行しました。2023年7月に発行した「環境報告書2023」では、スリランカの紅茶農園を対象としてLocate(自然との接点の発見)、Evaluate(依存関係や影響の分析)の詳細な分析を行い、2024年6月に発行した「環境報告書2024」では、Assess(リスクと機会の評価)と今後の方向性(Prepare:報告の準備)の詳細な分析・評価を行い、レインフォレスト・アライアンス認証取得のためのトレーニングや環境再生型農業への移行が、課題解決に有効な方法であることを明らかにして公開しました。しかし、すべての小農園が認証取得に至っておらず、このような課題に対応するために、キリングループは、主に小農園の持続可能性向上に向けて、レインフォレスト・アライアンスと「スコアカード」開発を共同で行っています。キリングループは、当活動を通じて、紅茶農園における環境再生型農業の実践を支援し、原料生産地の持続可能性を向上させることを目指します。

※7 自然資本に関するリスクと機会について企業が報告し行動するための、リスク管理に向けた情報開示の枠組みである自然関連財務情報開示タスクフォース

※8 自然資本とは、再生可能および非再生可能資源や生態系サービスのフローを社会に供給する自然資産のストック

 今後もキリングループは、複合的に発生し相互に関連する環境課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)に統合的に取り組み、豊かな地球の恵みを将来にわたって享受し引き継ぎたいという思いをバリューチェーンに関わるすべての人々とともにつなぐべく、自然と人に「ポジティブインパクト」を与えるさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。

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