3月15日の「オリーブ」に合わせ、小豆島のオリーブ農家が伝える「オリーブの魅力と日本とシリアとのつながり」を、シリアの魅力を伝えるシリア支援団体Piece of Syriaが紹介します。
特定非営利活動法人 Piece of Syriaのプレスリリース
シリアで戦争・地震によって教育の機会を失った子どもたちに教育を届け、平和の礎を作る活動を行なうNPO法人Piece of Syria(大阪市・代表理事:中野 貴行)は、「シリアをまた行きたい国にする」というビジョンを掲げて、「戦争・難民」というネガティブなイメージが強いシリアの文化的・歴史的な魅力を伝えてきました。
3月15日の「オリーブの日」に合わせ、小豆島のオリーブ農家 m.olive の森村さんのコラム「シリアと小豆島をつなぐオリーブの物語」を伝えることで、「日本とシリアのつながり」を身近に感じていただく機会をお届けします。
■ オリーブを育て、平和へのメッセージを伝える
はじめまして、森村です。
香川県・小豆島で「m.olive」(モリーブ)というオリーブ農園を営んでいます。私たちは夫婦でオリーブを無農薬で栽培しています。
地球に優しく、人も虫や動物たちも居心地よく共生できる平和な場所を目指して農業をしています。
私は陸上自衛隊に19年勤務していました。2011年3月11日東日本大震災では、翌日には被災地に入り、災害派遣活動に従事しました。この出来事を機に、環境や社会に対しさまざま思いを抱くようになり、一般のボランティア活動にも参加するようになりました。
世界平和への貢献ができるのではないかと、2013年にシリア・イスラエルの停戦監視のPKOに志願し選抜されました。しかし、派遣のための訓練までしたものの、シリア内戦の激化により派遣はなくなりました。その後、キナ臭い世界情勢やこのまま自衛隊に居ても平和は作れないのではないか?と、自衛隊を退職しました。
紆余曲折ありながら、小豆島に移住しオリーブ栽培を始めました。オリーブを通じてPiece of Syriaを知り、派遣中止となって行けなかったシリアへの思いがつながりました。
今は、銃を持って平和を作るのではなく、『Go peace‼︎ Go green‼︎ 』を掲げ、オリーブを育てながら平和へのメッセージを伝えています。
■ Piece of Syriaとの出会い
オリーブの歴史を調べていく中で、シリアやレバノン付近がオリーブ栽培の発祥であることを知りました。
それがきっかけとなり、シリアで内戦下の子どもたちの教育支援を行うNPO法人「Piece of Syria」の活動に共感し支援を始めました。
オンラインイベントでは、Piece of Syria代表・中野くんをはじめ楽しいスタッフや支援者さんとの出会いがありました。中東の政治に詳しい青山先生や色々なゲストの登壇、実際にシリアからのレポートがあったりと盛りだくさん。
農作業で疲れていてもこのオンラインイベントに参加すると、勉強になるし、元気をもらえます。
そして、「シリアをもう一度行きたい国にする」という中野くんの思いに共感し、自衛隊では行けなかったシリアへ、今度はオリーブ農家として行ってみたいと思っています。
これからも、Piece of Syriaと共にシリアとつながっていきたいと思っています。
■ オリーブの歴史
オリーブ栽培の歴史は5000〜6000年も遡ります。オリーブ栽培の発祥は中東のシリアやレバノン、ヨルダンといった地中海東方の地域ではじまったと言われています。
古代から人々の生活に欠かせない存在でした。ギリシャ・ローマ時代には神聖な植物として崇められ、オリーブオイルは食用だけでなく、薬や灯り、スキンケアにも活用されてきました。
現在、オリーブの生産量はスペインがダントツ1位で、ギリシャ、イタリア、トルコ、モロッコ、[シリア]、チュニジア…と続きます。
年により変わりますが、シリアは世界で6〜10番目の生産量と、オリーブ栽培が盛んなことがわかります。
Piece of Syriaが支援する幼稚園の周りにもオリーブ畑の綺麗に並んだオリーブの映像も観ることができましたね。
アレッポのオリーブオイル石鹸は歴史も長く日本でも人気です。
輸入販売する[株式会社アレッポの石鹸]の太田昌興さんもいつもPiece of Syriaを応援してくれています!
■ 日本のオリーブ栽培の歴史
日本でのオリーブ栽培は、明治41年(1908年)に三重、鹿児島、小豆島(香川)の3県で試験的にオリーブが植栽され、唯一小豆島だけが成功しました。
近年は国内の生産地も拡大し、岡山県、広島県などの瀬戸内一帯のほか、静岡県、千葉県、九州や東北などにも広がっています。
■ 世界には約1500品種のオリーブ
オリーブには1500種類以上もの品種があるとも言われています。小豆島では主に4品種が昔から栽培されていますが、最近では世界のいろいろな品種を栽培する人も増えています。
品種の使い分けとしては、
・漬け物などのテーブルオリーブに適した食用の品種
・採油してオリーブオイルにするオイルの含有量が高い品種
・食用油用どちらにも適した品種
・花粉を多く飛ばしてくれる受粉に適した品種
などで植え分けています。
■ オリーブの木
オリーブはモクセイ科オリーブ属の常緑の木です。生命力が強く1000年を超える老木もあります。
私たちの畑でも、間伐された樹の根元から新しく芽が出て数年で大きくなり実を付けてくれ、生命力の強さに驚かされます。常緑のオリーブの樹は観賞用としても人気が高く、鉢植えなどで積雪のある地域でも育てられています。
■ オリーブの花
5月から6月にかけ、直径5mmほどの小さな乳白色のかわいい花をたくさん咲かせます。
多量の花粉を飛ばす風媒花であり、昆虫を媒介して受粉を行う虫媒花でもあります。開花の時期には小さな花にカナブンなどの虫が遊びに来てくれます。
■ オリーブの実
オリーブの花が受粉し結実してから、収穫する秋まで実は徐々に膨らんでいきます。
収穫開始のタイミングは、濃い緑が黄緑色に熟れてきたら
オリーブの実は熟すにつれ、緑色→黄緑色→赤→赤紫→紫色→黒色と完熟まで変化していきます。
■ オリーブオイル
オリーブオイルと一口に言っても、品種により味が違い比べてみるのもとても楽しいです。他の果物、りんごやみかんも品種により味わいが違うようにオリーブも品種の特徴があります。
その年の気候、採油するタイミング、青い実と完熟した実でも味わいは変わってきます。
青い実はオイルの含有量は少なくなりますが、一般的に若草のようなフレッシュな青さとピリッと辛みのあるオイルに。完熟した実の割合が多いとまろやかで滋味深い味わいになります。m.oliveでは、ピリッとフレッシュなミッション種と、まろやかフルーティーなルッカ種をメインに販売しています。
■ テーブルオリーブス
日本では、マティーニなどのカクテルに添えられたものやピザなどのトッピングに見かけることが多いですね。原産地では、「お母さんの味」と言われ、家庭によって少しずつ味も違い日本の梅干しのようなものかもしれません。
青い実から完熟した実までの特徴を活かした、塩漬けや塩水漬け、ニンニクやハーブを入れたオイル漬け、メープルシロップやハチミツなどを使ったデザートなど、いろいろな種類のオリーブの加工をしてオリーブを楽しんでいます。
小豆島では、10月10日になると、[オリーブ新漬け]が店頭に並びます。特有の苦味をあく抜きをしたオリーブを塩水漬けにした、日本人でも食べやすいあっさりした旬のお漬物です。
■オリーブの効能
① アンチエイジング:ポリフェノール&ビタミンEが お肌のシワ・シミを防ぐ!
② 血液サラサラ:オレイン酸が 悪玉コレステロールを減らし、生活習慣病予防に!
③ 腸を整えてスッキリ:オリーブオイルは 腸の動きを助け、便秘解消に◎!
④ 免疫力アップ:「オレオカンタール」が 風邪予防や炎症を抑える!
⑤ 美容&スキンケア:保湿オイルやヘアケアにも使えて 「食べても塗っても美容にいい!」
おいしく食べて、キレイも健康も手に入れよう♪
■終わりに
Piece of Syriaのオンラインイベントでも現地からシリア料理を紹介してもらい、ますます本場でオリーブ料理を食べたくなります。
「シリアをもう一度行きたい国に」
そんな願いを込めて、オリーブを料理に加えてみてはいかがでしょうか。
3月15日、オリーブの日にシリアと世界の平和を願って。
「Go peace!! Go green!!」
これからもオリーブとともに平和を願い、育てていきます。