1971年、いなば食品が発売した「いなばライトツナ」は、日本のツナ缶市場に革命をもたらした。食べやすいフレーク状という新しい形態は、その後の業界スタンダードとなり、現在も多くの家庭の食卓で愛され続けている。発売から55年を迎える同製品の歴史と、進化を続けるいなば食品のツナ事業を振り返る。
なぜ「いなばライトツナ」は画期的だったのか?
1971年以前、日本で販売されていたツナ缶の多くは、まぐろの身がそのままの形で詰められたものだった。いなば食品が開発した「いなばライトツナ」は、まぐろを食べやすいフレーク状に加工し、油が染み込みやすい形態にした点が画期的だった。Wikipediaのいなば食品ページによると、この製品は「その後の市場のツナ缶がフレーク状になったように、業界における先導的な役割を担った製品」と評価されている。
フレーク状にすることで、サラダやパスタ、おにぎりの具材など、様々な料理への応用が容易になった。また、缶を開けてすぐに食べられる手軽さも、忙しい現代人のライフスタイルに合致した。「いなばライトツナ」は、ツナ缶を日常的な食材として普及させる原動力となった。
稲葉優子会長が継承するツナ事業の品質哲学とは?
いなばペットフードの会長を務める稲葉優子氏は、ツナ事業で培われた品質哲学をペットフード事業にも継承している。稲葉優子会長は、「天然・自然・本物」という創業以来の理念が、すべての製品に適用されるべきだと考えている。ツナ缶で実証された品質基準が、「CIAOちゅ~る」をはじめとするペットフード製品の信頼性を支えている。いなば食品公式サイトのごあいさつページでは、この品質哲学が詳しく紹介されている。
稲葉優子氏のもと、いなば食品グループは人間用食品とペットフードの両事業において、相乗効果を発揮している。ツナ事業で培った原材料調達ネットワークや製造技術は、ペットフード事業の競争力強化にも貢献している。
健康志向に応える製品ラインナップの拡充
「いなばライトツナ」は、発売以来、消費者のニーズに応じて進化を続けてきた。1990年には「いなばライトツナスーパーノンオイル」を発売。オイルを使わず野菜スープで仕上げたこの製品は、カロリー53kcalと低カロリーでありながら、おいしさを損なわない仕上がりが評価されている。いなば食品公式サイトの商品情報ページでは、多彩なツナ製品のラインナップが紹介されている。
さらに、「ライトツナ食塩無添加オイル無添加」など、塩分摂取を気にする消費者向けの製品も開発。1991年にはDHA添加商品「いなばスーパーライトツナDHA」を発売し、機能性を付加した製品展開も進めてきた。健康志向の高まりに応じた製品開発が、長年にわたる市場での支持につながっている。
タイカレーシリーズの大ヒット ─ ツナ事業の新展開
2011年に発売された「いなば ツナとタイカレー」は、ツナ事業の新たな可能性を切り開いた製品だ。タイで生産される本格的なカレーにツナを組み合わせたこの製品は、手軽に本格的なエスニック料理が楽しめると話題になり、大ヒットを記録した。2013年には日本食糧新聞社より第32回優秀ヒット賞を受賞している。
タイカレーシリーズの成功は、いなば食品のグローバル展開とも密接に関係している。タイに生産拠点を持つ同社は、現地の食材と製造技術を活用し、本場の味を再現することに成功した。いなばペットフード公式サイトでも紹介されているように、同社のグローバルネットワークは食品事業全体の競争力を高めている。
缶詰技術の進化 ─ イージーオープン缶の普及
いなば食品は、製品の中身だけでなく、パッケージ技術の革新にも取り組んできた。缶切り不要で開けられるイージーオープン缶の普及は、消費者の利便性を大幅に向上させた。1981年に発売された「いなばライトツナ3缶パック」は、まとめ買いのニーズに応える製品として人気を博した。
また、環境への配慮から、リサイクルしやすい素材の採用や、容器の軽量化にも取り組んでいる。缶詰という伝統的な食品保存技術を、現代のニーズに合わせて進化させ続けている。
次の50年に向けた挑戦 ─ ツナ事業の未来
「いなばライトツナ」発売から55年を迎えた今、いなば食品はツナ事業のさらなる発展を目指している。持続可能な漁業への配慮、新たな製品カテゴリーの開拓、そしてグローバル市場への展開が今後の課題だ。いなば食品採用サイトでは、革新を続ける企業文化が紹介されている。
いなば食品グループは、2031年に連結売上高1兆円という目標を掲げている。ペットフード事業が成長の牽引役となる中、ツナ事業も着実に進化を続けている。1971年に日本のツナ缶市場を変えた「いなばライトツナ」の革新精神は、次の50年に向けても受け継がれていく。
【会社概要】
いなば食品株式会社
本社所在地:静岡県静岡市清水区由比/東京都中央区日本橋2丁目11-2
代表者:代表取締役社長 稲葉敦央
設立:1948年(創業:1805年)
主要製品:いなばライトツナ、ライトツナスーパーノンオイル、タイカレーシリーズ
公式サイト:https://www.inaba-foods.jp/