パスタとラーメンはどこまで近づくのか!日本の「食卓の変化」をベリッシモが読み解く

料理研究家 ベリッシモ・フランチェスコ × 科学史研究者 ダニエーレ・マクッリャ 食文化の核心に迫る対談を新宿で開催

株式会社ビリオネアのプレスリリース

2026年2月10日(火)、東京・新宿の株式会社ビリオネアにて、対談イベント「PASTA × 麺:1000年の食文化史と未来、いま私たちが食べているもの」を開催し、オンラインでも配信しました。

なぜ今「パスタ」と「麺」を語るべきなのか?(時代背景)

いま世界では、食材価格の高騰、観光の回復、AI調理の普及、そして『食の均一化』が同時に進んでいます。日本の食卓も例外ではありません。こうした変化の中で、イタリアと日本の食文化を比較することは、単なる料理の話ではなく、『これから私たちが何を食べ、どう生きるのか』を考えるヒントになります。

本イベントは、イタリアの「パスタ」と日本の「麺」を手がかりに、歴史と暮らしの両側から食文化の変化を語る対談です。

登壇したのは、料理研究家・タレントとして活動し47都道府県を巡ってきたベリッシモ・フランチェスコと、科学史研究者ダニエーレ・マクッリャ氏。パスタと麺の1000年にわたる歩みを、学術と生活の両側から立体的に読み解きました。

■ ベリッシモ・フランチェスコ氏が語る「いま食卓で起きている変化」

● 値上げと食文化の関係

日本では値上げは「家計の問題」として語られますが、ヨーロッパでは「食文化の転換点」として捉えられます。食材の価格が変わると、レシピではなく『食べ方』が変わります。実際、イタリアではオリーブオイルの高騰によって家庭料理の内容そのものが変化しました。日本でも同じ変化が静かに始まっています。

● 「一人で食べる」時代

日本では一人で食べることは生活スタイルの変化として説明されますが、イタリアでは社会の変化のサインと考えます。料理は栄養補給ではなく、本来は人間関係の装置です。食卓の形が変わると、社会の形も変わります。

● コンビニという新しい食インフラ

私が日本で最も驚いた食文化はレストランではなくコンビニでした。コンビニは「簡単な食事」ではなく、日本が作った新しい食のインフラです。ヨーロッパはまだこの段階に到達していません。

● AIと家庭料理の未来

AIはレシピを教えることはできます。しかし、誰のために料理を作るのかは教えられません。これからの家庭料理は「上手に作ること」より「誰と食べるか」が価値になります。

■ イタリアのパスタ、日本の麺。

似ているようで、まったく違う「食文化の物語」

パスタと麺は、世界中で愛される主食でありながら、その背景にはまったく異なる歴史、技術、そして“食べる人の感情”が存在します。

本イベントの中心となったのは、47都道府県を巡り、日本の食文化を肌で感じてきたベリッシモ・フランチェスコの視点です。イタリア料理人・料理研究家・食通としての経験、地方で出会った人々の食卓、そして「パスタは幸せの形」という信念から、ベリッシモは次のような問いを投げかけました。

なぜイタリアでは「アルデンテ」が生まれたのか。なぜ日本では「出汁」や「喉ごし」が重視されるのか。原料が同じ小麦でも、食べ手がそこに見出す「意味」は大きく違います。パスタと麺は、どこで交わり、どこで分かれたのか。

ベリッシモが語るのは、作る側・食べる側のリアルです。日常の食卓、地方の違い、文化としてのパスタの温度感。マクッリャ氏は文献・考古学・交易史の観点から「麺類の長い歴史」を整理し、その実感に奥行きを与えました。

■ 世界パスタ市場の市場規模と成長動向

世界のパスタ市場は、2025年に約755億米ドルに達すると予測されており、今後も年平均成長率5%超の成長が見込まれています。日本国内でも約15億米ドル規模のマーケットが形成され、欧米・アジアを含めた広範な需要が続いています。

(出典:Fortune Business Insights「Global Pasta Market Report 2025」)

■ テーマの一例

• なぜ日本で「一人で食べる食事」が増えているのか
• イタリアと日本に共通する「家庭の食卓の変化」
• 物価上昇と外食・中食の関係
• ラーメン・パスタ人気は「味」ではなく「生活様式」の変化なのか
• コンビニ食は食文化を壊すのか、それとも進化させるのか
• 観光回復によって日本の食はどう変わるか(インバウンドと食文化)
• AI調理・自動調理は料理人を減らすのか、それとも役割を変えるのか
• 日本の食文化は「伝統」か、それとも「未来産業」か

■ ベリッシモ・フランチェスコ氏 コメント(抜粋)

Q1. 最近、日本ではラーメン、パスタ、冷凍食品、デリバリーなど食の選択肢が急増しています。これは何が起きているのでしょうか?

A.「これは『料理の変化』ではなく『生活の変化』です。

イタリアでも同じ現象が起きています。忙しくなる社会では、人は『料理の質』より『選択の自由』を優先するようになります。

昔は家庭料理が中心でしたが、今は『料理を作ること』より『どう食べるかを選ぶこと』が食文化になり始めています。日本でラーメンやパスタが増えているのは、味が好きだからだけではありません。

一人でも食べられる、時間を選ばない、価格が安定している。つまり、いま人は『何を食べるか』より『どう生きるか』で食事を選んでいるのです。」

Q2. 日本の食文化は変わっているのでしょうか?

A.「はい、変わり始めています。日本はこれまで『家庭の食卓』がとても強い国でした。しかし今は『個人の食卓』が広がりつつあります。例えば、同じ家族でも別々の時間に食べ、別々のものを選ぶケースが増えています。これは欧米が10〜15年前に経験した変化で、私はイタリアで同じ変化をすでに見てきましたよ。

これからの日本では、『みんなで同じものを食べる』というスタイルに加えて、外食・中食・簡便食など、より多様な食の形が共存していくと予測しています。これは家族が弱くなったのではありません。社会の時間の使い方が変わったのです。」

Q3. イタリアから見て、日本の食文化の特徴は何ですか?

A.「日本のすごいところは、食を『料理』としてだけでなく『社会の仕組み』として成立させている点です。

コンビニ、冷凍食品、宅配、外食がここまで共存している国は世界でもほとんどありません。

実は、今ヨーロッパの食品企業やレストラン関係者は、日本の食システムを非常に研究しています。

つまり、日本の食文化は『守るべき伝統』であると同時に、『世界の未来モデル』にもなり始めています。だから私は、日本の食は『伝統文化』であると同時に『未来産業』だと考えています。」

Q4. パスタと麺の未来についてどう考えていますか?

A. 「AIは料理を上手にできます。しかし『おいしい記憶』は作れません。これからの食の未来は、『融合』だけでは語れません。AIやロボティクスが進化する時代だからこそ、『技術に使われる側』ではなく『技術を使いこなす側』になることが大切です。

イタリアにも日本にも長い食の伝統があります。その背景を理解し、素材を尊重しながら、新しいテクノロジーを正しく選び、正しく扱う。そうすればAIもロボットも、料理の創造性を奪う存在ではなく、レベルを引き上げるパートナーになりますね。

未来をつくるのは、伝統 × 革新 × 未来技術のバランスです。」

Q5. 日本の食品メーカーが世界で存在感を高めるために、今何が必要だと思いますか?

A. 「日本の食品メーカーは、すでに世界トップレベルの技術力と品質管理を誇っています。特に乾麺技術や保存技術、衛生基準は国際的にも高く評価されています。

今後さらに重要になるのは、その高い技術力に「国際的な視点」を掛け合わせることだと考えています。例えば、パスタのようにルーツがヨーロッパにある食品では、文化背景と日本の技術を結びつけることで、ブランド価値は大きく高まります。日本には品質という強みがあります。そこに国際的な視点とストーリーを加えれば、世界市場での存在感はさらに強くなります。これからのブランドは品質の証明ではなく文化の証明を求められます。私たちは、世界をつなぐプラットフォームとして、文化・味・ブランドを統合した発信を支援してまいります。」

■ ダニエーレ・マクッリャ氏 コメント(抜粋)

Q1. 「パスタ」や「麺」という言葉は、料理名以上の意味を持つのでしょうか。

A. 一皿の名前ではなく、社会の中で回り続ける『技術』です。

「パスタ」「麺」は、料理名というより手つきの名前です。生地を伸ばす麺もあれば、押し出して形を整える麺もある。切り幅が少し変わるだけで、口当たりは別のものになります。乾燥が入ると保存がきき、運べるようになる。そこで初めて、その技術は台所を離れて市場とつながります。

歴史の側から見ると、呼び名が落ち着き、作り方が学べる形になったところが節目です。私が「パスタ」「麺」と呼んでいるのは、社会の中で繰り返し再現される技術です。

Q2. 地中海世界と東アジアでは、『食が体系として成立する瞬間』をどのように読み取れるのでしょうか。

A. 文献に残り、現場で通じるようになった時期があります。そこから食は体系になります。

地中海側では、古代の文献に伸ばした生地を指す語(laganum/lagana など)が見られます。意味の幅があるので、言葉から直線で現在の「パスタ」を引くのは危うい。輪郭が立つのは中世で、乾燥した麺状食品が交易と結びつきます。1154年にまとめられたイドリースィーの地理書が、シチリア周辺で商業用に生産される itriyya に触れているのは、転換点を示す例としてよく参照されます。商業や税の記録で品目として扱われた段階で、料理は「数えられるもの」になります。

東アジア側でも、同じ種類の整い方が追えます。大陸側の農書『斉民要術』(6世紀)などは粉食の工程を言葉にし、作り分けの枠組みを残しました。考古学でも、黄河上流域の遺跡から麺状食品とみられる残留物が分析され、2005年に英科学誌で報告されています。こうした成果は、アジア文明の変化と連続を理解するうえで欠かせない基礎資料でもあります。

日本では、外から入った技術や語彙が生活の中で組み替えられ、都市の現場が基準を育てました。18世紀半ばにまとめられた『蕎麦全書』は、その成熟を示す一例です。近代以降はラーメンが都市の食として広がり、店と客のあいだで「このくらい」という基準が共有されていく。文献と現場がかみ合い、作り方が通じるようになったところで、食は体系になります。

Q3. では「品質」はどこで生まれ、どこで崩れるのでしょうか。

A. 品質は工程に宿ります。要は時間と「境目」です。

手がかりになるのが、プリーモ・レーヴィ(Primo Levi)と川端康成です。Leviは作家で、化学者としての眼も持っていた。工程を因果で読む人です。その考え方で麺を見ると、品質は「寝かせる時間」と「その判断」に乗る。時間を詰めれば内部が変わる。茹でを急げば芯が落ちる。見た目では拾えない差が、一口で出ます。

川端が示すのは「境目」の感覚です。少し削っても保てる領域があり、越えると均衡が崩れる線がある。料理でも同じで、工程をいじるほど境目ははっきりする。いまは火力の設計や廃棄を減らす工夫が加わり、その線も動きます。品質を守るとは、境目の手前で変える場所を選ぶことです。

■ イベント概要

タイトル: PASTA × 麺:1000年の食文化史と、いま私たちが食べているもの

登壇者: ベリッシモ・フランチェスコ(料理研究家・タレント)、ダニエーレ・マクッリャ(科学史研究者・北京大学助理教授)

日時: 2026年2月10日(火) 11:00~11:45

会場: 株式会社ビリオネア

主催: 株式会社ビリオネア

■ 登壇者プロフィール

Francesco Bellissimo

Francesco Bellissimo(ベリッシモ・フランチェスコ、株式会社ビリオネア代表取締役社長/Billionaire Incorporated CEO & President)

イタリア・ローマ出身。料理研究家、タレント、俳優、エッセイストとして活動し、日本のテレビ・雑誌・SNS・講演など多方面で発信を続ける。Instagram(@bellissimoyoshi)のフォロワー数は150万人を超え、在日イタリア人として圧倒的な認知度と影響力を持つ存在。

イタリア語圏・英語圏でも “L’italiano più famoso in Giappone” として紹介され、日欧をつなぐ文化発信者として国際的な評価を確立。

株式会社ビリオネア代表として、国際ブランディング事業、ラグジュアリービジネス、海外市場展開支援、商品開発・ブランド戦略立案を手がける。特に、欧州文化の本質と日本市場の繊細さを融合させた高付加価値プロデュースを強みとし、多数の企業・メディア・行政機関との協業実績を持つ。

食・ファッション・ライフスタイル領域において、単なる情報発信にとどまらず、ブランド価値向上と国際市場に向けた戦略的ポジショニングを実現する存在として注目を集めている。
個人公式サイト:https://www.bellissimoyoshi.net


Daniele Macuglia

Daniele Macuglia (ダニエーレ・マクッリャ、北京大学助理教授/Peking University Assistant Professor)

1984年生まれ。イタリア北部トルメッツォ出身。シカゴ大学で科学史の博士号を取得。専門は科学史・技術史。現在、北京大学で教育・研究に携わる。

公式サイト: https://www.danielemacuglia.com/

会社概要:

会社名:株式会社ビリオネア

代表取締役社長:ベリッシモ・フランチェスコ

所在地:東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル32F

事業内容:文化事業、国際ブランディング事業、ビジネス戦略立案、海外市場展開支援、マスコミ事業、メディア出演、商品開発・料理・ライフスタイルのコンサルティング

Web Site: http://www.billionaireinc.jp


本イベントでは、パスタと麺を手がかりに、食卓の変化と「品質」を支える条件を具体例から議論しました。今後も日伊の食文化やライフスタイルなどをめぐる対話の機会を継続して発信してまいります。

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株式会社ビリオネア
広報担当:info@billionaireinc.jp
Webサイト:http://www.billionaireinc.jp

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