経口摂取による肌への機能とメカニズムを解明し、新たな市場創出に貢献
キユーピー株式会社のプレスリリース
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、食品用ヒアルロン酸に関する一連の研究と、その成果に基づいた事業展開について、公益社団法人日本農芸化学会の「2026年度農芸化学技術賞」※1を受賞しました。授賞式および受賞講演が、2026年3月9日(月)に日本農芸化学会2026年度大会にて行われました。
※1 農芸化学技術賞:https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_tech.html
■受賞研究題目
食品用ヒアルロン酸の生理活性を生かした機能性表示食品の研究開発と事業化
■受賞研究について
<研究背景>
キユーピーは1980年代から、マヨネーズの原料である卵から有効成分を抽出して活用するファインケミカル事業を展開してきました。その中で、ヒアルロン酸の食品利用に着目しました。当時ヒアルロン酸は医薬用や化粧品用として広く使用される一方で、食品用はほとんど認知されていませんでした。分子量が大きいことから「経口摂取しても吸収されず、機能を発揮しないのではないか」という学術的な疑問も課題となっていました。 そこでキユーピーは、食品用ヒアルロン酸の機能性を科学的に実証するため、基礎から応用まで一貫した研究を継続してきました。
<研究概要>
30年以上に及ぶ研究から、ヒトでの機能性に加え、生体内でどのように代謝・吸収され皮膚に作用するかというメカニズムの解明に至りました。
(1) 肌への機能の実証と科学的根拠の蓄積
健康な成人を対象にした二重盲検試験を行い、ヒアルロン酸(120mg/日)の摂取により肌の水分量が有意に増加することを確認しました※2。その後も複数の試験で機能性を確認し、科学的根拠を蓄積することでエビデンスの信頼性を高めました。
(2) 吸収・作用メカニズムの解明
不明な点が多かったヒアルロン酸の消化・吸収、肌への作用機序の解明に取り組みました。
体内動態:経口摂取したヒアルロン酸は、80%以上が何らかの形で吸収されて皮膚や眼などに分布することを確認しました※3。
吸収メカニズム:分子量が数十万以上に及び胃や小腸の消化酵素では分解されないヒアルロン酸が、ヒトの腸内細菌により低分子のオリゴ糖に分解され、体内に吸収されることを確認しました※4。吸収されたヒアルロン酸は、血液やリンパを介して皮膚を含めた全身へ移行することを確認しました※5。
皮膚への作用:皮膚に到達したオリゴヒアルロン酸が、コラーゲンの産生を促進することを確認しました※6。これにより皮膚の潤いが正常に保たれていると考えられます。
科学的根拠をもとに、2015年に日本初となる肌の機能性表示食品『ヒアロモイスチャー240』(届出番号A4)※7の届出が受理されました。機能やメカニズムなど科学的根拠に基づいた機能性表示食品により、手軽に肌の潤いを保ちたいお客さまへ新たな選択肢をお届けすることができ、肌を訴求する新たなサプリメント市場を確立しました。現在ヒアルロン酸を関与成分とする機能性表示食品は100品目を超え(2025年10月時点)、健康食品市場の活性化に貢献しています。
キユーピーは、今後も科学的根拠に基づく美容・健康食品の展開を通して、世界の食と健康に貢献していきます。
「公益社団法人日本農芸化学会」について
日本農芸化学会は、農芸化学分野の基礎及び応用研究の進歩を図り、それを通じて科学、技術、文化の発展に寄与することにより人類の福祉の向上に資することを目的として、1924年に設立された学術団体です。バイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成されています。年1回開催される全国大会は、発表演題数1,600題、参加者4,000人を超え、化学・生物学系の学会の中でも規模の大きい集会です。
「農芸化学技術賞」について
1968年から設置された歴史ある賞で、農芸化学分野において注目すべき技術的業績を挙げた正会員または賛助会員に授与されます。
https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_tech.html
【参考】 研究ストーリー
PRTIMES STORY:
『食べても吸収されない』の常識を覆した30年の軌跡。食品用ヒアルロン酸研究が切り拓いた新市場【キユーピー ミライ研究員】
https://prtimes.jp/story/detail/6BkAPmtYz9r
【参考】 キユーピーのヒアルロン酸研究の歴史
■ 1980年代:未利用資源「鶏冠(トサカ)」への着目
当時廃棄されていた鶏のトサカにヒアルロン酸が多く含まれることに着目し、研究を始めました。1983年から化粧品用ヒアルロン酸の開発に着手し、その後、独自の「鶏冠抽出法」による化粧品用ヒアルロン酸の製造・販売をスタートしました。
■ 1990年代~2000年代:経口摂取の機能検証と「発酵法」への転換
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1992年に食品用、1995年に医薬用のヒアルロン酸の販売もスタート。
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医薬用、化粧品用が広がりを見せる一方で、当時食品用はほとんど認知されず、経口摂取による機能についても疑問視されていました。キユーピーは世界に先駆けて研究を続け、2001年にはヒト試験でヒアルロン酸摂取による肌での機能を世界で初めて報告しました※8。
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マヨネーズに使う食酢の発酵技術を活用した「発酵法」を開発。2004年から「発酵法」による化粧品用と食品用のヒアルロン酸の販売を始め、良質なヒアルロン酸の安定的な大量生産が可能となり、化粧品や食品への活用が広がりました。
■ 2010年代~2020年代:機能性表示食品の発売とメカニズム解明
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2015年に日本初となる肌を訴求する機能性表示食品『ヒアロモイスチャー240』(届出番号A4)の届出が受理されました。その後も研究の手を止めることなく、未知だったヒアルロン酸の吸収メカニズムを明らかにしました。
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2015年に「発酵法」による医薬用ヒアルロン酸の販売をスタートしました。同年、ヒアルロン酸の研究をこれまで以上に発展させるため、ヒアルロン酸機能研究会を立ち上げました。
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2018年に、ヒアルロン酸を活用した内視鏡用粘膜下注入材「ケイスマート」を発売しました。
※2 Kawada C, Yoshida T, Yoshida H, Sakamoto W, Odanaka W, Sato T, Yamasaki T, Kanemitsu T, Masuda Y, Urushibata O. Ingestion of hyaluronans (molecular weights 800 k and 300 k) improves dry skin conditions: a randomized, double blind, controlled study. J Clin Biochem Nutr. 2015; 56(1): 66-73.
※3 Oe M, Mitsugi K, Odanaka W, Yoshida H, Matsuoka R, Seino S, Kanemitsu T, Masuda Y. Dietary hyaluronic acid migrates into the skin of rats. Scientific World Journal, 2014; 2014: 378024.
※4 Akazawa H, Fukuda I, Kaneda H, Yoda S, Kimura M, Nomoto R, Ueda S, Shirai Y, Osawa R, Isolation and identification of hyaluronan degrading bacteria from Japanese fecal microbiota, PLOS ONE, 2023; 18: e0284517.
※5 Kimura M, Maeshima T, Kubota T, Kurihara H, Masuda Y, Nomura Y, Absorption of orally administrated hyaluronan, J. Med. Food, 2016; 19: 1172-1179.
※6 Abe Y, Seino S, Kurihara H, Kage M, Tokudome Y, 2-kDa hyaluronan ameliorates human facial wrinkles through increased dermal collagen density related to promotion of collagen remodeling, J. Cosmet. Dermatol., 2023; 22: 320-327.
※7 キユーピーアヲハタニュース 2015年 No.40参照:https://www.kewpie.com/newsrelease/archive/2015/40.html
「機能性表示」本品にはヒアルロン酸Naが含まれます。ヒアルロン酸Naは肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されています。食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。本品は、医薬品ではありません。
※8 梶本 修身, 小田中亘, 坂本 和加子, 吉田一也, 高橋丈生, 乾燥肌に対するヒアルロン酸含有食品の臨床効果. 新薬と臨牀, 2001; 50(5):90-101.