輸出拡大と輸入増が同時進行し、日本茶の需給構造は転換期に。持続可能な生産体制と価値向上に向けた取組みを発表

~「純国産茶葉100%」「新茶産地育成事業」「進グローバル展開」を推進~

株式会社伊藤園のプレスリリース

株式会社伊藤園(社長:本庄大介 本社:東京都渋谷区)は、世界的な抹茶需要の拡大を背景に、日本茶を取り巻く需給構造が大きく変化している現状について共有するとともに、持続可能な生産基盤の強化と日本茶の価値向上を目的とした発表会「日本茶の発展的未来に向けて~生産者とともに。日本茶を世界へ~」を、5月12日(火)に東京都内で開催しました。

海外市場では抹茶を中心とした需要の拡大が続く一方、国内では急須で飲まれるリーフ茶の需要が減少し、一番茶の需要が縮小するなど消費スタイルの変化が進んでいます。これに伴い、飲料用途などに対応した二番茶以降の需要が相対的に高まるなど、用途別の需要構造も変化しています。

こうした中、国内では碾茶需要の増加に加え、需給の不均衡を補う形で海外産茶葉の輸入が再び増加するなど、日本茶の需給構造は大きな転換点を迎えています。実際に、2025年のお茶の輸出は拡大を続ける一方で輸入も前年比で52%増加しており(※1)、国内需要の一部を海外原料で補う動きも見られるようになっています。また、2026年の新茶初取引においては各産地で価格が過去最高水準となるなど、需給構造の変化を背景に茶価の高止まりが続いています。

このような環境変化を見据えて、当社は1976年から生産者と対話を重ねながら「これから市場で求められる茶は何か」という視点で取組む「茶産地育成事業」を土台に、「お~いお茶」をはじめとした日本茶を主軸とした事業展開を行ってまいりました。本発表会では、日本茶が直面する構造的な課題と、それに対する当社の取組みについて発表しました。

 

日本茶を取り巻く構造変化と当社の取組み(伊藤園 執行役員:志田光正)

海外市場では抹茶を中心とした需要拡大が続いており、日本茶の輸出量は過去20年で約11倍に拡大しています(※1)。一方で国内では、過去20年で生産量が約30%減少(※2)、農家戸数も15年で約65%減少するなど(※3)、生産基盤の縮小が進んでいます。こうした状況を踏まえ、当社は本発表会において需給構造の変化に対応するための取組みとして、①「純国産茶葉100%」、②「新茶産地育成事業」、③「進グローバル展開」の3つの施策を発表しました。

その中でも「純国産茶葉100%」については、日本の生産者とともに持続的で活力ある産地づくりと、世界的な価値向上を目指す当社の姿勢を明確にしたものであり、日本茶の将来に向けた方針を象徴する取組みと位置づけています。その具体的な取組みとして、5月18日(月)より順次、「お~いお茶」ブランドのパッケージに「純国産茶葉100%」の表記を開始します。

「茶産地育成事業」は本年で50周年を迎え、生産者との連携のもと、品種選定から栽培、製造ラインに至るまで一体となった取組みを進めてきました。今回、その進化形として、需給に応じて碾茶と煎茶の双方を同一工場で生産できる「ハイブリッド生産方式」の推進を発表しました。発表では、「抹茶ブームがいつまで続くのか、碾茶生産へのシフトについて悩む生産者も多い。伊藤園では碾茶も煎茶も需給にあわせてつくる“ハイブリッド生産方式”を拡充し、新たな生産体制にチャレンジしようとする生産者を支援したい。」と述べ、この仕組みにより需給変動への対応力を高めるとともに、生産者の経営安定化を図ることを目指しています。

さらに、日本茶の価値向上に向けた取組みとして、ナショナルGI「日本茶」構想への支援・推進を表明し、世界No.1の緑茶飲料No.1ブランド「お~いお茶」(※4)を中心に日本茶の国際的な価値向上に取組む姿勢を示しました。

最後に「日本の生産者の方も日本茶を各生産地の自然要素、またクラフトマンシップと併せた“テロワール”文脈で価値向上を図り、コーヒーやワイン、シャンパンや日本酒といった品々と同様に世界へ広めていきたいと述べています。今回のナショナルGI構想をきっかけに伊藤園もこのような活動をしっかりサポートしていきたい」とし、No.1ブランドとしての責任とナショナルGI ”日本茶”構想への参画・推進の決意をもってプレゼンを締めくくりました。

 

生産者とともに考える「日本茶の未来」

また本発表会では、伊藤園のCMに出演中の有村架純さんと契約茶農家によるトークセッションを実施。日本茶の魅力に加え、需要構造の変化の中で産地が直面している課題や、その対応について意見が交わされました。

自身が3年前に植樹した苗木を見た有村さんは、「日本茶の未来に繋がる貴重な体験をさせていただきました。今後この苗木がどのように育っていくのかがとても楽しみです」と語り、それを受けて鹿児島の契約農家である㈱堀口園の堀口将吾氏と、鹿児島堀口製茶㈲の堀口大輔氏は伊藤園とともに取組んでいる茶産地育成事業や国産茶葉への想い、またその特徴などを語りました。有村さんは「日本茶を守ろうとしてくださるその熱量が私たち日本人にとっての安心感になっている。日本茶があると食卓も華やかになるし、そういった日本独自の文化がこれからも大切にされ未来に継承されていくといいですね」と生産者の方々へのメッセージを送りました。

 

日常の中での日本茶の価値を発信

また、新たに「純国産茶葉100%」応援団長に就任したなかやまきんに君も登場し、「パワー!」「ヤー!」など馴染みのある掛け声で「純国産茶葉100%」へのエールを送りつつ、日本茶のおいしさやその価値を過去の体験や現在のライフスタイルを紹介しました。

お茶の飲み方についても「ティーバッグで夏でも熱いお茶を飲むことが多いですね」と常に体を気遣う食生活を披露。有村さんも「食事のときにはお水よりもお茶と一緒に楽しむことが多い。ちょっとのどがイガイガしたときには緑茶成分に含まれるカテキンがのどに良いので飲んだりします」と仕事のサポーターとしても日本茶が欠かせないと説明。今後も生産者とともに、これからも国産のお茶にこだわる伊藤園の様々な取組みへの期待を込める形でイベントを締めくくり、日本茶の価値を改めて見つめ直す機会となりました。

 

(※1)財務省「貿易統計」 2005年と2025年での比較
(※2)農林水産省「作物統計」 2005年と2025年での比較
(※3)農林水産省「農林業センサス」 2005年と2020年での比較
(※4)ギネス世界記録™認定  記録名「最大の無糖緑茶飲料ブランド(最新年間売上)」 正式英語記録名:Largest unsweetened green tea RTD brand-retail, current 記録対象ブランド:「お~いお茶」ブランド 対象年度:2025年1月~12月

 

 


参考: ナショナルGIマークとは

農林水産物・食品等の名称で、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結びついているということを特定できるもの。

地理的表示(GI:Geographical Indication)とは、地域で育まれた伝統を有し、その高い品質等が生産地と結びついている農林水産物や食品の名称を知的財産として保護する制度です。登録された地理的表示を使用できるのは登録した基準を満たす商品だけなので、消費者は信頼して商品を選択することができます。

地理的表示(GI)保護制度は、もともとフランスやイタリアなど欧州で生まれた制度で、欧州では、チーズ、ハム、ワインなどさまざまな産品で多数の地理的表示が登録され、保護されています。世界では既に100カ国以上で導入されており、日本では2015年から導入され、現在、国レベルで指定された「日本酒」を含め、約170品目の産品が登録されています(※5)。

制度は通常、国ごと(EUの場合はEU全体で1つの制度)に設けられます。その一方で、魅力的な産品は世界に流通するため、各国の制度の枠を超えて地理的表示を保護する仕組みが必要です。そこで、国同士が協定を結び、相手国が登録している地理的表示を自国内で保護するかわりに、自国が登録している地理的表示を相手国内で保護してもらう仕組み(相互保護)が整えられつつあります。日本で、2019年2月に欧州連合(EU)との間で経済連携協定(EPA)を発効し、GIの相互保護が開始され、2021年1月には日本と英国との間でもEPAが発効され、GIの相互保護が開始されています。

(※5)農林水産省「地理的表示保護制度(GI) 登録産品一覧」の詳細はこちら
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/index.html

 

地理的表示の相互保護制度

日本と同等の水準と認められるGI制度を持つ海外の国とGIリストを交換し、相互で保護する制度を整備。現在、EU、英国との間で相互保護を行っている。

今、あなたにオススメ