捨てられるバナナの皮を「発酵」で機能性飲食品へ──スペースシードホールディングス、バナナ果皮アップサイクル技術で特許出願

皮ごと使うからこそ国産で。沖縄のアップルバナナから、島で完結するアップサイクルを目指す

スペースシードホールディングス株式会社のプレスリリース

スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「スペースシードホールディングス」)は、これまで大量に廃棄されてきたバナナの果皮(皮)を、発酵技術によって飲料・粉末・発酵食品の原料へとアップサイクルする「バナナ果皮発酵組成物の製造方法」について、特許出願を行いました。本出願は、沖縄を拠点にして事業に取り組む株式会社バタフライピー研究所(本社:沖縄県那覇市、代表取締役:王鵬龍)との共同出願です。

本発明の中核には、ひとつの予期せぬ発見があります。クエン酸を多く生み出すことで知られる黒麹菌は、穀類だけを発酵させると酸味の強い「酸っぱい甘酒」になります。ところが同じ黒麹菌をバナナの果皮を原料として働かせると、酸味がはっきりと抑えられ、むしろ甘味と豊かな風味が立ち上がる──当業者の常識からは予測しにくいこの効果が、技術の出発点となりました。

何が新しいのか

世界では年間およそ350万トン以上のバナナ果皮が食品の加工プロセスにおいて廃棄されているとされます。果皮はポリフェノール、食物繊維(ペクチン・セルロース)、カリウムやマグネシウム、ビタミンB群などを豊富に含み、機能性食品原料としての潜在価値が高い一方、強い渋味・苦味と硬い繊維質のために、そのままでは飲食用途に使いにくく、廃棄されるのが一般的でした。

本発明は、この課題を次の組み合わせで解決します。

乾燥させない:完熟したバナナ果皮を乾燥工程を経ずに粉砕し、液状の原料にする

酵素でほぐす:セルラーゼ・ペクチナーゼといった酵素で硬い繊維質を分解し、液状化する

麹菌で発酵させる:麹菌、とりわけ黒麹菌を働かせることで、渋味・苦味を抑えながら糖化・発酵を進める

これにより、廃棄物であった果皮が、甘味とフルーティーな風味をもつ飲食品原料へと生まれ変わります。得られた発酵組成物は、機能性飲料・健康ドリンク、ドリンクパウダーやサプリメント・製菓原料となる粉末/顆粒、甘酒様の発酵食品など、幅広い形態で活用できます。

沖縄・アップルバナナという出発点

沖縄のアップルバナナ農園

研究開発の最初の対象として選んだのは、バナナの中でも沖縄県で育つアップルバナナです。今回の研究開発では、農業生産法人琉球プランテーションズの協力の元、現地で育ったアップルバナナの果皮を譲り受けて実験を行いました。

完熟果実をシェイクなどに加工する過程で、黄色く熟した皮が大量に発生し、いずれも廃棄されてきましたが、皮が薄く糖度の高いアップルバナナは、本発明の効果が最も顕著に表れる素材のひとつです。

共同出願人である株式会社バタフライピー研究所は、この地域資源に深く関わるパートナーであり、スペースシードホールディングスは同社を地域から世界へと技術を広げていく上での重要な共同研究者として迎えています。

「皮を食べる」からこそ国産・沖縄産にこだわる

果皮をそのまま飲食品の原料にする本技術では、皮そのものの安全性が決定的に重要になります。輸送距離の長い輸入バナナの皮には、防カビ・防虫を目的とした処理が施されている場合があり、皮ごと使う用途には必ずしも向きません。一方、沖縄産をはじめとする国産バナナは、農薬の使用状況が明確で、皮ごと安心して使える原料を選びやすいという強みがあります。

さらに、島で生まれた果皮を島の中で価値ある飲食品へと変えれば、原料を遠くへ運ぶ必要のない、地域内で完結するアップサイクルが成り立ちます。沖縄のアップルバナナは、安全性とトレーサビリティ、そして地産地消型の資源循環という三つの条件を同時に満たす、本技術の理想的な出発点です。

アップルバナナのスムージー

スペースシードホールディングスの事業における位置づけ

スペースシードホールディングスは、宇宙系ディープテックのベンチャービルダーであり、事業領域のひとつに発酵によるバイオマスの高付加価値を据えています。地球で「廃棄物」とされてきたものを発酵によって価値ある食料・素材へと循環させる技術は、限られた資源を無駄なく使い切る完全資源循環型の食料供給システムの基盤であり、ひいては人類が地球外で暮らすために不可欠なピースでもあります。バナナ果皮のアップサイクルは、その思想を地上の身近なフードロス課題に当てはめた、具体的な成果の一つであると考えています。

発酵長寿のプロジェクトページ

発酵と長寿に関する、研究開発支援をするFermentation and Longevity プロジェクトのページ

代表取締役 鈴木健吾コメント

「私たちは、バナナの皮を『ゴミ』ではなく『まだ読み解かれていない原料』として見ています。黒麹菌は酸っぱくなるはずなのに、皮を相手にすると甘くなる──この一見矛盾した現象こそ、自然がまだ隠している設計図のひとつだと考えています。

今回の実験は、沖縄のアップルバナナの果皮を譲り受けて行いました。皮ごと口にする以上、農薬の管理が行き届いた国産の原料を選べることには大きな意味があります。だからこそ次の段階は、技術を研究室に留めず、沖縄現地でバナナに関わる生産者や事業者の方々と一緒に、経済的にも成り立つ形で社会に実装していくことだと考えています。島で出た皮を、島の中で価値に変える──その循環をまず沖縄で形にしたい。

未来に目を向ければ、スペースシードホールディングスの長期目標は2040年までに人類が宇宙で暮らすために必要な技術を揃えることにあります。閉じた環境で食べ物をつくり、出たものを余さず次の食料へ戻す──その循環の技術を、まずは地球上のフードロスという最も身近な課題で磨いていきます。今回の特許出願は、その長い道のりの確かな第一歩目になると考えています。」

今後の展開

スペースシードホールディングスは、本発明をもとに以下を進めます。

沖縄での社会実装:沖縄現地のバナナ産業に関わる生産者・事業者と連携し、島で出た果皮を島の中で価値化する「地域内アップサイクル」を、経済的にも成り立つ形での実装

製品開発:機能性飲料・ドリンクパウダー・発酵食品としての商品化に向けた試作と評価

権利の国際展開:PCT国際出願を視野に入れた海外でのアップサイクル技術の権利化

パートナーシップの拡大:バナナをはじめとする未利用果皮・残渣を抱える生産者・食品メーカー・地域との共同研究

廃棄される果皮を機能性飲食品へ変えるこの技術は、フードロス削減、生産農家の副収入向上、そして発酵を軸とした次世代の食料インフラづくりへとつながっていきます。スペースシードホールディングスは、まず沖縄のアップルバナナで、技術と地域経済が両立する循環のモデルを築いていきます。

会社概要

社名:スペースシードホールディングス株式会社(Space Seed Holdings Inc.)

本社:東京都港区浜松町二丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F

代表者:代表取締役 鈴木健吾

設立:2024年1月

事業内容:宇宙利用研究事業(SPACE LAB.)、他ディープテック事業

公式サイト:https://ss-hd.co.jp/

共同出願人

社名:株式会社バタフライピー研究所

本社:沖縄県那覇市銘苅二丁目3番1号

代表者:代表取締役 王鵬龍

公式サイト:https://butterflypea.jp/

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