ラーメン店市場、25年度は8855億円 「1兆円市場」目前に迫る ラーメン店の倒産は2年連続で減少 「三極化」進む価格戦略、「千円」に試練

全国「ラーメン店」市場動向調査(2025年度)

株式会社帝国データバンクのプレスリリース

株式会社帝国データバンクは、全国の「ラーメン店」市場について調査・分析を行った。

[調査対象] 全国のチェーン店のほか、ご当地ラーメン店など「ラーメン事業」を展開する企業。ラーメンを中心とした中華料理店を含む。ラーメンの他につけ麺等の類似メニューも提供するラーメン店は対象。FC店(フランチャイジー)専業が判明した企業は調査対象外とした。

[注] 業績等のデータについては、2026年5月時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル(COSMOS2、約151万社収録)、および企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)、外部情報などを基に集計した。

なお、ラーメン店の業績および店舗数データは一部推定・予想値を含む。

          

SUMMARY

 「ラーメン店市場」が活況を呈している。全国のチェーン店のほか、ご当地ラーメン店、ラーメンを中心とした中華料理店を含めた「ラーメン店市場」(事業者売上高ベース、5月時点)は、2025年度の見込み値で過去最高の8855億円に到達する見通しとなった。早ければ2027年度内にも、ラーメン店市場として初の1兆円台に到達する可能性がある。

                        


 ラーメン店市場、25年度は8855億円 「1兆円市場」目前 

「ラーメン店市場」が活況を呈している。全国のチェーン店のほか、ご当地ラーメン店、ラーメンを中心とした中華料理店を含めた「ラーメン店市場」(事業者売上高ベース、5月時点)は、2025年度の見込み値で8855億円に到達する見通しとなった。10年前(2015年度)の5418億円から63.4%増加し、集計可能な2010年度以降で過去最高を更新した。このペースで推移した場合、早ければ2027年度内には初の1兆円台に到達する可能性がある。

利益面(純損益合計)では、2025年度で171億円(判明分)となり、前年度の356億円からほぼ半減した。市場規模は過去最高となる一方、各種コスト高で利益は大幅に減少した状態が続いている。

ラーメン店事業の売上高上位50社の主なチェーン店における店舗数をみると、2025年度末時点で6305店となった。データのある2010年以降で初めて6千店を超えた2024年度(6122店)から183店・3.0%増加し、過去最多を更新した。引き続き、ラーメン店各社では新規出店を積極的に進めており、観光地や駅前・繁華街などでの出店が活発化している。他方で、郊外型ロードサイドでは次第に競争が激化しているほか、賃料の高騰、人件費・光熱費など店舗運営コストが上昇しており、出店投資の回収が難しくなっていることから出店判断を慎重に見極める企業も目立ち、店舗増加ペースは前年度に比べて鈍化した。

味の追求→コスト管理にシフトも

2025年度におけるラーメン店各社の業績動向をみると、前年度から「増収」となったラーメン店は38.8%となった。ピークとなった2023年度(56.3%)から2年連続で低下し、4年ぶりに3割台で推移した。他方で、「前年度並み」(47.2%)は過去20年で最高だったほか、「減収」(14.0%)は2年連続で上昇した。売り上げを伸ばしたラーメン店では、引き続き日本式ラーメンの認知度が国際的に高まり、韓国や台湾、香港などアジア圏の観光客を中心とした集客が好調となるなど、インバウンドを追い風として売り上げを伸ばした。他方で、物価高による外食控えや健康志向の高まりのなか、原材料高を背景としたメニューの値上げを実施した結果、地元固定客を中心に集客維持に苦戦したケースもみられ、多くのラーメン店で売り上げが前年度並みの水準となった。

損益面をみると、「増益」となったラーメン店は38.5%を占め最も多かったものの、割合としては前年度から低下した。増益を続ける企業では、限定メニューやトッピングの充実化、「ライス無料サービス」の有料化などで戦略的な値上げを行うほか、不採算店舗の閉鎖なども行うことで利益を確保した。一方で、「減益」となったラーメン店は34.8%となり、前年度から大幅に上昇した。「赤字」割合は2年連続で低下した。

ラーメン店経営では、2022年度以降に本格化した原材料などの仕入価格高騰に加え、スープの炊き出しにかかる光熱費、人件費など各種コストの増加が顕著となっている。これまで割安だった豚肉や背脂などの具材に加え、麺や海苔、メンマなど、スープづくりから具材に至る幅広い原材料で価格が大幅に上昇したことで、ラーメン原価は高止まりが続いている。

こうしたなか、ラーメン店経営は単なる「味の競争」からシフトし、販売チャネルの多層化とコスト管理、省力化へと転換しつつある。多店舗展開を行う地場チェーン店などは、券売機のほかにタブレット端末、LINEなどチャットツールを使用した注文システム、セントラルキッチン導入による仕込み作業の集約など、店舗運営の人員を最小限に抑えつつ、品質の安定化と利益確保を目指す動きがみられた。こうした大規模な投資が自社単独では難しいラーメン店では、大手外食や地場有力チェーンの傘下に入り、食材調達などのコスト管理やマーケティングなどを任せつつ、自社では味の追求に専念するといった役割分担がみられる。


ラーメン店の倒産、2025年度は2年連続で減少 

2025年度における「ラーメン店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は55件発生し、過去最多だった2023年度(75件)から2年連続で減少したものの、コロナ前と比較すると高い水準での推移となった。個人店の閉業などを含めると、実際はより多くのラーメン店が市場から退出したとみられるものの、ラーメン店は倒産急増の「淘汰の嵐」から転換期を迎えている。

倒産したラーメン店の企業規模をみると、約8割が個人店を含む資本金1000万円未満の小規模店だった。原材料費や人件費などの上昇に価格転嫁が追い付かず、経営に行き詰まったケースが多くみられた。

 


 ラーメン価格は「三極化」の動き 「千円前後」に試練 

足元では、新たな看板ブランドの獲得を狙うラーメン店大手や外食チェーン、投資ファンドなどが、後継者不足やコスト高に直面する中小ラーメン店を買収・統合し、DX化をはじめとした経営ノウハウを導入することで再生を図る動きが進展している。また、大手チェーンによる国内外での出店拡大に加え、非麺業態の外食企業の参入も進んでおり、2026年度も引き続き市場拡大が見込まれる。

一方で、店舗網の拡大によるスケールメリットを活用した原価管理の高度化や、オペレーション効率化によるローコスト運営が進展する中、チェーン店と中小個人店の間では、「ラーメン1杯あたりの収益力(稼ぐ力)」において格差が拡大しつつある。

こうした環境下では、「ラーメン1杯=1000円の壁」に象徴される価格認識の変化と、それに対応した弾力的な価格戦略が求められる。従来、ラーメンは「1000円を超えると割高」とされる心理的上限=「1000円の壁」があったものの、近年では、500円前後の低価格帯、1000円前後の標準価格帯に加え、インバウンド需要や富裕層をターゲットとした1500円以上の高価格帯を目指す動きが広がっており、提供価値に応じた価格の三極化が進行している。こうした局面では、1000円前後で提供されていた標準的なラーメンの値上げが「プレミアム感がない」というポジショニングになりやすい。結果的に「同価格帯内での競争優位性の低下」と「プレミアム帯への顧客流出」という二重のリスクに直面し、値上げ前よりも客足や収益が悪化したケースも散見される。

 

今後は、明確な差別化を伴う付加価値の創出によりプレミアム化を志向するか、あるいはオペレーションの徹底的な効率化を通じて低価格帯におけるスケールメリットを追求するかという、戦略的な選択がより重要となるとみられる。1000円前後の中間価格帯の縮小を伴う市場の二極化は、今後さらに進行する可能性がある。

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