β-カロテンは昼より朝・夜の摂取で吸収量が多いことを確認 摂取タイミングがβ-カロテンの吸収量に影響することを明らかに

カゴメ株式会社のプレスリリース

カゴメ株式会社(代表取締役社長:奥谷晴信 本社:愛知県名古屋市)は、ヒトを対象とした試験により、β-カロテンの吸収量が摂取タイミングによって異なり、朝または夜に摂取した場合は昼に摂取した場合と比較して吸収量が多いことを明らかにしました。本研究成果はβ-カロテンをより効率的に摂取するための新たな知見であり、効率的な摂取方法の提案につながることが期待されます。研究成果は、学術雑誌「栄養学雑誌」に掲載されました。

■ 発表のポイント

・   これまで十分に明らかになっていなかったβ-カロテンの摂取タイミングによる吸収量の違いについて、ヒトを対象とした試験で検証しました。

・   その結果、吸収量の指標であるβ-カロテンの血中濃度変化の曲線下面積(ΔAUC(*1))は、朝または夜に摂取した場合、昼に摂取した場合と比べて有意に高い値を示しました。

・   β-カロテンは摂取するタイミングによって吸収量が異なることが示され、朝または夜に摂取することで、より効率的な吸収につながる可能性が示唆されました。

■ 研究の背景

β-カロテンは、にんじんなどに含まれるカロテノイドの一種で、体内でビタミンAへ効率的に変換されるほか、抗酸化作用(*2)を有することから、健康維持への寄与が期待されています。

 一方、β-カロテンは体内で合成できないため、食品から効率的に摂取することが重要です。これまで、加工によってβ-カロテンの吸収量が増加することが報告されており、これは破砕や搾汁、加熱などによって細胞壁が壊れることなどが要因だと考えられています。しかし、摂取タイミングがβ-カロテンの吸収量に及ぼす影響については十分に明らかになっていませんでした。

■ 研究内容と結果

1. 実施方法

20歳以上40歳未満の健康な男女36名(解析対象者34名)を対象に、非盲検クロスオーバー比較試験(*3)を実施しました。試験参加者は、朝・昼・夜の3つの摂取タイミングにおいて、異なる試験日にβ-カロテン(15.8 mg)を含むにんじんジュースを摂取しました。直前の食事の影響を避けるため、にんじんジュース摂取前の2回分の食事内容を全参加者で統一し、β-カロテンを含まない食事としました。にんじんジュース摂取直前を0時間として、摂取後2、4、6および12時間後に採血を実施しました。血中(血清TRL(*4)画分中)のβ-カロテン濃度を測定し、その値の変化を基に吸収量の指標であるΔAUCを算出しました。

2. 主な結果

β-カロテンの吸収量の指標であるΔAUCは、朝または夜に摂取した場合、昼に摂取した場合と比較して統計学的に有意に高い値を示しました。一方、朝摂取と夜摂取との間には有意な差は認められませんでした(下図)。これらの結果から、β-カロテンの吸収量は摂取タイミングによって異なり、朝または夜に摂取した場合に昼よりも多く吸収されることが明らかになりました。

              図.摂取タイミングの違いによる吸収量(ΔAUC)の比較

               (* p < 0.05、Friedman検定、Holm法による多重比較)

                       (論文の図を改変)

■ 掲載論文情報

・   論文名:朝昼夜の摂取タイミングがβ‐カロテン吸収に及ぼす影響の検証 -非盲検クロスオーバー比較試験-

・   掲載誌:栄養学雑誌 (84巻4号、2026年)

・   著者:荒川 千夏、吉田 和敬、高橋 慎吾、鈴木 重德

■ 注の解説

*1 ΔAUC(Area Under the Curve)

ΔAUCは、摂取した成分の血中濃度の変化に基づく曲線下面積であり、摂取前の濃度を基準として、摂取後の一定時間における血中濃度の変化を積算した値です。摂取した成分が体内にどれくらい吸収されたかを評価する指標として用いられます。

*2 抗酸化作用

体内で発生する過剰な活性酸素種の生成や作用を抑制し、酸化によるダメージを防ぐ働きを抗酸化作用といいます。

*3 非盲検クロスオーバー比較試験

「非盲検」とは、試験参加者および試験実施者が、試験条件を把握した状態で実施されることを意味します。「クロスオーバー比較試験」とは、同じ試験参加者が、複数の試験条件(本研究では朝・昼・夜の摂取)を順に実施し、各条件の結果を比較する試験デザインです。

*4 血清TRL(Triglyceride-rich lipoprotein)

血清TRLは、血液中で中性脂肪を運ぶ粒子の総称であり、食事由来の脂質を体内に運ぶカイロミクロンなどが含まれます。β-カロテンは小腸で吸収された後、カイロミクロンに取り込まれ、腸管リンパ管を経て血中に移行します。したがって、血清TRL画分中のβ-カロテンを測定することで、新たに吸収されたβ-カロテンを評価することができます。

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