OASIS Management Company Ltd.のプレスリリース
本日、イギリスの食品メーカー・プレミア・フーズ(以下「同社」)の9.34%の株式を保有する独立した最大株主であるOasis Management Company Ltd.(以下「オアシス」)は、7月18日に予定されている同社の定時株主総会において、ギャビン・ダービー氏の再任(第5議案)を棄権するよう、19.56%を保有し筆頭株主である日清食品ホールディングス株式会社(以下、「日清食品」)に要請します。
オアシスは、長年の株主価値の棄損、企業業績の低迷、度重なる財務目標の未達、戦略の欠如、不十分なコーポレートガバナンスなどを踏まえ、同社の最高経営責任者(CEO)ギャビン・ダービー氏の即時解任を要請してきました。
即席麺を製造する日清食品は、同社とは事業上深い関係にあります。また、日清食品は、同社株式の保有比率の大きさから、CEOギャビン・ダービー氏の再任に賛成することで、同社に本来必要とされる改革を妨げることすら出来る立場にあります。そして、その判断は、日清食品と同社の間で交わされている事業上の取り決めや利害に、より影響を与えるであろうことは否定しようもありません。
ダービー氏は、投資家として呼び込んだ日清食品と非常に深い関係にあり、日清食品に明確に利益をもたらしてきた事業上の関係を継続させています。2018年1月には、同社は、保有ブランドの一つであり、カップ麺やインスタントスープなどを手広く揃える”Batchelors”ブランドを日清食品へ売却する協議を行っていたとの報道もありました。その一方で、他の株主のためとなるような行為、例えば”Batchelors”ブランドの真の価値を顕在化させるような試みは行ってきませんでした。
このようなダービー氏と日清食品との関係を考慮すると、日清食品が、この議案への投票に対して、すべての株主のため、また同社の企業価値向上のためとなるような中立の立場から判断ができるかどうかについての懸念が拭えません。このように、日清食品は、事実上他の同社の株主と利益相反の関係にあり、またダービー氏を支持する投票は、日清食品と同社の事業上の関係から、将来更なる利益相反となる可能性があります。したがって、日清食品が、CEOギャビン・ダービー氏の再任を支持する投票を行うことを決めた場合、それは、他の株主の利益に反する行動をとっていると考えられます。
これらの利益相反を考慮した結果、オアシスは日清食品に対してギャビン・ダービー氏の再任投票に棄権することを要請致します。
”Batchelors”ブランドをより発展させることが、日清食品にとって最も重要な目的に位置付けられていると考えています。しかし、これは、2020年までに純有利子負債/EBITDA倍率を3倍未満に引き下げることを含めた同社の戦略的な目標の1つに過ぎません。
同社は、2014年から2017年まで、この有利子負債のレバレッジ引き下げ目標に対して計画通りに行なえませんでした。従って現状のままでは、今後も2020年までにこの倍率を3倍未満に引き下げることが可能かどうか投資家は確信を持てないため、この目標に対する不満がくすぶり続けることが予想されます。
同社は、”Batchelors”ブランドを他の潜在的に関心のある買い手に対して、同社にとって十分に魅力のある価格で売却することを模索することも可能でした。しかしながら、弊社の見方では、これは、すべての株主のためになる一方で、日清食品の利害とは反するかもしれません。
同社は、すべての株主のために、”Batchelors”ブランドを含めた保有する全ブランドの固有の価値を管理、引き出す最良の方法を新たに導きだせるCEOを必要としています。
次期定時株主総会におけるギャビン・ダービー氏の同社CEO再任は、19.56%の株式を保有する日清食品の方針に大きく影響を受けます。日清食品と同社との関係、また潜在的な利益相反を考慮した場合、オアシスは、日清食品に、すべての株主の利益を棄損しないために、ギャビン・ダービー氏の再任投票について棄権するよう要請致します。
さらに、オアシスは、日本のコーポレートガバナンス・コードに基づく政策保有株式に関する日清食品の義務と、政策保有株式への投資が日清食品の株主にとって有益なものとなり、かつ資本コストを上回る必要があることについても言及させて頂きます。日清食品は2016年に同社株式を63ペンスで取得していることから、現在の株価(2018年7月3日の終値39.10ペンス)は、明らかに日清食品の株主のためとなっていないことを例証しています。更に、日清食品は、日本のコーポレートガバナンス・コードに基づき、単に経営を支持するだけでなく、投資先の企業価値を最大限向上させるように議決権を行使する義務があります。
ギャビン・ダービー氏打ち出した事業戦略は、同社を再び成長軌道に戻すに至っていないことから、弊社は同氏の再任への反対投票は株主にとって意味のあることであると考えます。
オアシスはまた、同社のアニュアルレポートの108ページに「サービス提供」として記載されている、同社から日清食品に対する支払い10万ポンド(2018年3月31日)、20万ポンド(2017年4月1日)に関して懸念を持っています。説明の要請にもかかわらず、これらの支払いが何に関係するものであるか不明なままです。
株価は、2014年のライツイシューの割当時から53%、アメリカに本社を置くスパイスメーカー・マコーミック社による買収提案時から43%、2013年2月にギャビン・ダービー氏が同社の現在のポジションに就任以来34%の下落となり、ギャビン・ダービー氏がCEOとして、同社を率いてきた間に、株主価値は大きく棄損されてきました。
株主はギャビン・ダービー氏がCEOとして同社を率いてきた5年間、その失敗に耐えてきました。弊社の見解では、現在の厳しい株価パフォーマンスは、日清食品が投資した際の価格に回復する見通しがほとんど立っていないことを明確に示しています。このことは、同社の株式約20%を所有する日清食品の株主にとって酷い価値の下落をもたらしていると言えるでしょう。
日清食品は、ギャビン・ダービー氏の再任の議案に対して棄権すべきであり、オアシスは、日清食品に対して、これらの重要な事項に対する回答を公表して頂きたく存じます。
オアシスからのコメント:
日清食品の同社との事業上の深い関係から、弊社は日清食品には利益相反があり、従って、定時株主総会でのギャビン・ダービー氏の再任への投票を棄権すべきであると考えます。ギャビン・ダービー氏の任期中は、数々の事業戦略の失敗により株価が低迷しています。今こそ新しい経営陣を迎え入れるべき時です。私たちは、日清食品の株主と同社の株主のため、日清食品にこのことを認識して頂きたく呼びかけを行います。オアシスは、利益相反のある株主、日清食品の判断が、同社すべての株主の価値向上の妨げとならないことを切に望みます。