新トレンド 本格焼酎もソーダ割りが人気

酒文化研究所のプレスリリース

 酒好きほぼ100人に聞くアンケート「酒飲みのミカタ」。今回は自由に割って楽しめる焼酎のお気に入りの飲み方についてお聞きしました。焼酎はチューハイ、お湯割り、水割り、ロックなど飲み方のバラエティが豊富です。さらにそば湯で割ったりアイスキャンディーを加えたりするユニークな飲み方にも一定の人気があります。さて、いま、酒好きの皆さんに好まれている飲み方とは?

 

よく飲む焼酎の1位は芋焼酎

 ほとんど毎日お酒を飲む方が大半を占めるアンケート「酒飲みのミカタ」ですが、今回の回答者の焼酎の飲用頻度は「週に4~5日以上焼酎を飲む」という方が3割、「週に1回以上焼酎を飲む」まで広げると7割を占めました。酒好きでも特に焼酎が好きな方から多く回答をお寄せいただいています。

 最初に回答者がよく飲む焼酎を確認しておきましょう。複数選択でよく飲む焼酎を聞いたところ、第1位は「芋焼酎」で56%と群を抜きました。第2位は「濃厚なタイプの米・麦・蕎麦の焼酎」(26%)、僅差で「軽いタイプの米・麦・蕎麦の焼酎」が続きます。独特の華やかな香りの芋焼酎は、もとは鹿児島県や宮崎県で飲まれていたローカルな酒でした。癖が強くなかなか県外で受け入れられなかったのですが、すっきりと洗練された味わいの商品が次々に登場して、2000年くらいから全国に広まり数年で東北や北海道でも飲まれるようになりました。

麦・米・そばなど穀物を原料とする焼酎には、素材の味わいを活かして濃厚な味わいに仕上げる伝統的な蒸溜方法を採用するタイプと、すっきりと軽い味わいに仕上げる新しい蒸溜方法でつくるタイプの2種類があります。好みの分かれるところですが、このアンケートでは両者が拮抗しています。

 

好きな飲み方は「オンザロック」と「お湯割り」が拮抗

 焼酎の好きな飲み方は「オンザロック(24%)」と「お湯割り(21%)」が双璧です。

「オンザロック」は芋焼酎が東京で受け入れられた際に特に好まれた飲み方です。氷で冷 やされた芋焼酎は香りが抑えられ、キリっとしまった味わいを楽しめます。洗練されたきれいな味の芋焼酎を楽しむのにぴったりな飲み方です。

一方、「お湯割り」は昔から鹿児島県や宮崎県で好まれた飲み方です。お湯で割ってアルコール度数を清酒に近い15度前後まで下げて、燗酒のように温かさも楽しみます。

 

注目は焼酎のソーダ割り

 飲み方で注目したいのは第3位になった「ソーダ割り」です。甲類焼酎をソーダで割って飲むチューハイは半世紀前からありましたが、芋焼酎や麦焼酎をソーダで割るようになったのはごく最近です。少し前まではソーダで割る提案を、本来の味わいが損なわれると躊躇するメーカーまでありました。にもかかわらず今では次のような声が寄せられるほど好む方が増えてきています。

 

「麦焼酎のレモンフレーバー無糖ソーダ割りが大好き」(女性/20代)

「芋焼酎はソーダ割に限る」(男性/30代)

「くし切りのレモンを凍らせ、氷代わりに2個入れるソーダ割が好き」(女性/40代)

「この季節の家飲みにはソーダ割りが食事にも良いです」(男性/40代)

「乾杯のビールの代わりに焼酎のソーダ割にしています」(女性/40代)

「泡盛を凍らせてソーダで割る」(女性/40代)

「夏はあまり味の濃くない米焼酎の炭酸割がスッキリ飲めておいしい」(男性/50代)

 

 

ソーダ割りはウイスキーハイボールからレモンサワーへ、さらに本格焼酎のソーダ割、ジンもソーダ割で広がりそう

 

 ソーダ割が広がった背景には 2010 年ごろから家庭にも広まったウイスキーハイボールがあります。料飲店でウイスキーハイボールを体験し、自宅でウイスキーをソーダで割って楽しむようになり、炭酸水を常備する家庭が増えたと言われます。 2015 年ごろから料飲店でブーム化したレモンサワーも、ソーダで割るだけのコンクタイプの商品が登場して家庭に広がりました。こうした酒類の消費トレンドの変化を受けて焼酎をソーダで割って楽しむスタイルも近年拡大しています。

 さらにクラフトジンの人気でブームの兆しを見せているジンも、今夏はカジュアルな商品で登場、新しいソーダ割として料飲店で人気を博しています。

 

「梅干し割り」と「抹茶ハイボール」は5割以上が認知

  焼酎の飲み方には梅干しやキュウリをトッピングしたり、そば湯やブラックコーヒーで割ったりするカクテルタイプもあります。さまざまなレシピをあげて認知率トップ10をご紹介します。第1位は「梅干し割り(梅干しをトッピング)」で約8割の認知率は群を抜きます。経験率も高いのは身近な材料で家庭でもすぐにできることも影響していそうです。

 

 2 位はスイーツやソフトドリンクでも世界的に人気の抹茶です。抹茶で割った「抹茶ハイボール」は認知率 5 割、経験率はまだ半分の 25 %しかありません。

 3 位の「かっぱ割り(キュウリをトッピング)」もは認知率が高い割に経験率が低く、一層の拡大には試飲させる仕掛けが待たれます。

 4位の「そば焼酎のそば湯割り」はすでに蕎麦屋やそば居酒屋の定番メニューになっています。ここまでが認知率4割以上です。

 5位の「麦焼酎の麦茶割」は認知率に対して経験率の高さが際立ちます。

 

抹茶や麦茶などのお茶割りのバリエーションは豊富。料飲店だけでなく家庭でも人気

 

楽しみな芋焼酎コーラ割り

 6 位以下はほとんど認知率や経験率に差がありません。「金魚」は焼酎に紫蘇の葉と赤唐辛子を、「ガリッチュー」はお寿司に添えられるガリ(甘酢漬け生姜)をトッピングしたものです。チューハイにアイスキャンディーの「ガリガリ君」を入れた「ガリガリ君サワー」はインスタ映え系でしょうか。「ブラックコーヒー割り」は沖縄でポピュラーという泡盛をブラックコーヒーで割って飲むスタイルの焼酎版です。

 

 

料飲店では焼酎に赤唐辛子や甘酢漬け生姜などのトッピングする飲み方はポピュラーだ

 

 ひと通り試してみると異彩を放っていたのが「芋焼酎のコーラ割り」です。コーラで割れ  ばどの焼酎でも同じになると思いきや、芋焼酎とコーラの香りが引き立てあって、バランスよくまとまります。芋焼酎の香り成分にはコーラのそれと近いものが多いそうで、海外で受け入れられるレシピになるかもしれません。これからが楽しみです。

 

泡盛をブラックコーヒーで割る飲み方は沖縄では一般的という。芋焼酎(写真では『海童』)をペプシコーラで割ると、双方の香味が生きた新しいおいしいミックスドリンクになった

 

【調査概要】

調査時期:2020/7/7~7/14

調査方法:インターネットによる自記入式アンケート

サンプル数:110人(お酒好きな人)

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