~甘酒の機能性ニュース~ 酒粕と米麹で作った甘酒に「日常生活における疲労感を軽減」「人にあたたかくできる気分を向上」の効果が認められました。「薬理と治療(2020年48巻11号)」に論文掲載されました

森永製菓株式会社のプレスリリース

森永製菓株式会社(東京都港区芝、代表取締役社長・太田 栄二郎)は、美容効果や健康機能に注目が集まる甘酒の研究を進めております。この度、酒粕と米麹で作った甘酒による日常生活における疲労感軽減効果に関する研究成果が、査読付き学術誌『薬理と治療』11号(2020年11月20日発行)に掲載されました。

■研究の背景と内容
甘酒は、江戸時代には健康飲料として一般に飲まれていたと考えられており、近年でもブドウ糖を始めとした多くの栄養素を含むことから「飲む点滴」と言われ、疲労回復効果が期待されています1-3)。本研究では、伝承的に期待されてきた甘酒の疲労感軽減効果を科学的に検証する目的で、酒粕と米麹で作った甘酒を用いたヒト試験を実施しました。

■研究方法
日頃から疲労を感じている50~64歳の女性10名を対象に、酒粕と米麹で作った甘酒の疲労感軽減効果を検証しました。酒粕と米麹で作った甘酒(190 g、112 kcal)を2週間毎日1本ずつ飲んだ対象者に、日常生活で生じる精神的疲労と身体的疲労を誘導するための計算課題とバイク運動をそれぞれ30分間行ってもらった後、酒粕と米麹で作った甘酒を1本飲んでから休憩を60分間とってもらいました。酒粕も米麹も使用せず、主に砂糖などの糖質で調製した甘酒風味の対照飲料(190 g、112 kcal)を同じく2週間毎日1本飲んだ場合にも同じ試験を行ってもらい、それぞれの試験日に疲労に関するアンケート調査(VAS*1、CFS*2、POMS2短縮版*3)を行いました。対象者10名は5名ずつの2グループに分け、酒粕と米麹で作った甘酒と対照飲料を飲む順番をグループごとに変えました。
*1:Visual Analog Scaleの略。最良の状態と最悪の状態を結ぶ10 cmの線分に、その時の状態がどの辺りなのかを自由に記述する疲労感評価紙。疲労感が軽減されるほど値が小さくなる。
*2:Chalder fatigue scaleの略。疲労に関する質問について四段階スコアで疲労の程度を評価する質問紙。
*3:「疲労-無気力」「活気-活力」「怒り-敵意」「混乱-当惑」「抑うつ-落ち込み」「緊張-不安」「友好」の7つの気分尺度で所定の時間枠における気分状態を評価する質問紙。

■研究結果・考察
VASによる疲労感評価では、酒粕と米麹で作った甘酒を飲んだ時(酒粕・米麹甘酒群)には、対照飲料を飲んだ時(対照群)と比較して、計算課題とバイク運動を行った後の疲労解消の見込みが統計学的に有意に改善しました。また、計算課題後の精神的疲労感が軽減される傾向も見られました(図1)。

CFSの総合スコアやPOMS2短縮版の「疲労-無気力」スコアについても、対照群と比較すると、酒粕・米麹甘酒群で改善する傾向が見られました。さらに、酒粕・米麹甘酒群では対照群に対してPOMS2短縮版の「友好」スコアが有意に改善し(図2)、試験開始時における「他人にあたたかくできる」という質問のスコアが有意に高くなりました。
本研究により、伝承的に期待されてきた日常生活における疲労感を軽減する効果が、酒粕と米麹で作った甘酒に期待できることが科学的に示されました。この効果は主に砂糖などの糖質でカロリーを揃えた対照飲料との比較によって得られたものであり、酒粕と米麹で作った甘酒の主要な糖質以外の成分によるものであることが強く示唆されました。
また、疲労感軽減効果との関連性については明らかにされていませんが、酒粕と米麹で作った甘酒には、人づき合いにポジティブな気分にさせる効果が期待できることも示されました。

森永製菓では、これまでも、酒粕と米麹で作った甘酒が「目の下のクマや肌の明度に良い影響を与える」4)、「肌や毛穴のたるみを抑制する」5)などの美容効果や、「おなかの調子を整えお通じの状態を良くする」6)や「腸内でビフィズス菌の占有率を増加させる」7)などの健康効果について、ヒト試験で検証して研究成果を報告してまいりました。今後も甘酒に関する研究を継続的に取り組んでまいりますので、ご期待ください。

【参考文献】
1) 小泉武夫.日農医誌 61, 835 (2013)
2) 山本晋平ら.New Food Industry 50, 43 (2008)
3) 農林水産省広報誌 aff (あふ) 12, 14 (2018)
4) Kawakami S et al., FRAGRANCE J 44, 43 (2016)
5) 伊藤真理子ら.薬理と治療 46, 1841 (2018)
6) 森貞夫ら.薬理と治療 47, 759 (2019)
7) 森貞夫ら.薬理と治療 48, 1187 (2020)
■研究概要
【実施時期】2020年2~6月
【対象者】50~64歳の疲労を感じている女性10名
【試験食品】酒粕と米麹で作った甘酒(190 g、112 kcal)
【対照食品】酒粕も米麹も使用せず、主に糖質で調製した甘酒風味の対照飲料(190 g、112 kcal)
【試験期間】2週間摂取
【試験方法】ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験
【試験項目】疲労に関するアンケート調査

※ご参考 下記webサイトにて甘酒に関する様々な研究成果をご紹介しております。
甘酒Labo:https://www.morinaga.co.jp/company/rd/amazake_labo/


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