【2021年 アサヒビール事業方針】主力ブランドの価値向上と新カテゴリーの創出で、お酒の楽しみ方を提案し、新市場を創造する~アサヒビール ビジョン「すべてのお客さまに、最高の明日を。」を制定~

アサヒビール株式会社のプレスリリース

 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 塩澤賢一)は、当社が目指す姿であるアサヒビール ビジョンを「すべてのお客さまに、最高の明日を。」と定めました。本ビジョン実現を目指し、2020年に制定したアサヒビールの長期経営方針 “Value経営への変革“への取り組みを加速していきます。アサヒビール ビジョンおよび長期経営方針の下、2021年の事業方針は、「主力ブランドの価値向上と新カテゴリーの創出で、お酒の楽しみ方を提案し、新市場を創造する」とします。

■アサヒビール ビジョン・Value経営への変革
 アサヒビール ビジョン「すべてのお客さまに、最高の明日を。」は、当社が持つ強みや技術で、うまい!プラスアルファの価値を生み出し、すべてのお客さまの幸せな人生に貢献し、日本だけでなく世界をより良いものにしていきたいと言う想いを込めて今回制定しました。長期経営方針“Value経営への変革”を実現した時の当社の姿を表現しています。
 長期経営方針“Value経営への変革”とは、“ボリュームだけを追う経営から脱却し、お客さまに提供する価値を追求すること”で、新たな市場を創りあげていく会社に変革することです。そのために、お客さまの期待を超える商品やサービスを提供すると同時に、収益性を高め、創出した利益を「新価値創造」や「サステナビリティ」の分野へ投資していきます。このサイクルを回し続けることで“Value経営への変革”を加速していきます。
 2020年は新型コロナウイルスにより、社会構造や外部環境が大きく変化し、これまで以上に消費行動も変化しました。今後も先行きは不透明であり、不安・ストレスを抱えた生活は継続し、健康や衛生に対する意識はさらに高まり、時間やお金の使い方は常に変化していくと予想されます。このような価値観・消費行動の変化を踏まえ、アサヒビールの長期経営方針“Value経営への変革”をこれまで以上にスピード上げて取り組み、今回制定したビジョン「すべてのお客さまに、最高の明日を。」を実現していきます。

■2021年 アサヒビール事業方針
 2026年までの酒税改正に伴い、特に酒税が一本化されるビール類では、ブランド淘汰が予想され、お客さまの飲み方もこれまで以上に多様化していくと思われます。そのため、各酒類カテゴリーの主力ブランドの価値向上に注力します。
 国内酒類市場は、総人口の減少トレンドや少子高齢化のさらなる進展による飲酒人口の減少、一人当たりの飲酒量の減少が見込まれています。このような環境変化を見据え、これまでの画一・一律的なお酒の楽しみ方から、自由・多様なお酒の楽しみ方を提案し、商品やサービスの開発、環境づくりを推進していきます。飲み方の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現することで、お酒の新たな市場を創造していきます。
 サステナビリティは、グループ理念“Asahi Group Philosophy”の実現のために設定した5つのマテリアリティのうち、「責任ある飲酒」と「環境」に注力して取り組みを推進します。
 「責任ある飲酒」では、飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指すために、「スマートドリンキング(飲み方の多様性)」を提唱します。「環境」では、2050年に温室効果ガス排出量“ゼロ”を目指すアサヒカーボンゼロ目標を達成するために取り組みます。

<特別な飲用体験を演出する新たな価値提案>
 飲食店で飲む樽生ビールのような味わいを、家庭などでも気軽に楽しみたいというニーズにお応えするために、『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』を4月に発売します。開栓するときめ細かい泡が自然に発生し、“生ジョッキ”のような感覚で飲用することができる商品です。また、家庭やアウトドアなどでも、最高にうまい生ビールが飲みたいというニーズにお応えするため、家庭用ホームサーバー事業を5月から開始します。

<サステナビリティ‐「責任ある飲酒」>
 当社が提唱する「スマートドリンキング」とは、不適切な飲酒を撲滅し、様々な人々の状況や場面おける“飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現することです。2020年12月に発表した「スマートドリンキング」宣言に基づいた具体的な取り組みに加えて、2021年3月以降、“飲み方”の選択肢を拡大するために、様々な商品を積極的に展開し、お客様がそれぞれ自分のペースでお酒を楽しめる新たな選択肢を提案します。100%ビール由来原料ならではの麦のうまみとコクを実現したアルコール度数0.5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料『アサヒ ビアリー』を3月に発売します。
 2010年に世界保健機関(WHO)で「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が採択され、2015年に策定された国連の持続可能な開発目標(SDGs)の健康分野においては、「アルコールの有害な摂取の防止の強化」が目標の一つとして明記されました。アルコールの有害な使用の低減は、国際社会全体で協議しながら取り組むべきグローバルな課題として位置づけられています。
 アサヒグループは、この課題に対応するため、世界の大手酒類メーカーが加盟する責任ある飲酒国際同盟(IARD)が2012年に発表した5つの「プロデューサーズ・コミットメント」の実現に向け業界団体との共働や官民連携等を通じて、取り組みを強化してきました。今後もグローバルレベルで、酒類に関わるすべてのステークホルダーと共に、不適切な飲酒の防止と責任ある飲酒への取り組みをさらに強化していく必要があります。
 アサヒビールではこれまで、アルコールが好きで飲める人を中心とした商品を提案してきました。今後はアルコールが飲めない人やあえて飲まない人などの潜在ニーズを掘り起こし、新たな市場を創出していきます。当社が2020年11月に実施した「酒類飲用実態・意向調査」では、お酒の楽しみ方は一律ではなく多様であり、ニューノーマルにおけるライフスタイルの変化は、オンライン飲み会など新たなお酒の楽しみ方を生み出しました。海外に目を向けると、あえてお酒を飲まない“ソバ―キュリアス”と呼ばれる人々がノンアルコール市場を支え、拡大しています。
 酒類メーカーとして、グローバルな課題である不適切な飲酒の防止と責任ある飲酒をさらに推進すると同時に、お客さまがもっと自由にもっと楽しくお酒を選択できるような提案を強化していきます。

<サステナビリティ‐「環境」>
 『アサヒスーパードライ』の製造工程の一つである煮沸工程の短縮により、C02排出量を削減します。2020年に全国ビール工場(8工場)にて試験を実施し、『アサヒスーパードライ』の品質を担保した上で、これまでより煮沸時間を最大約30%短縮することに成功しました。2021年から本格的に煮沸時間を短縮し、年間約2,000tのCO2排出量削減を目指します。

■ビール類
 ビールは、主力ブランド『アサヒスーパードライ』に注力します。ブランドメッセージ「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」に沿った、“ビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出すること”を活動テーマとし、様々な取り組みを展開することで、ビール需要の活性化に取り組みます。
 春の季節感を商品を通じて体感いただけるように、桜の季節に合わせた春限定『アサヒスーパードライ スペシャルパッケージ』を発売します。本年も引き続き、ターゲットである若年層に特化した広告・販促を展開し、20歳代~30歳代の若者へのビール飲用体験を演出します。
 “できたてのビールが飲みたい”というお客さまのニーズにお応えするために、2020年10月にリニューアルし、ご好評いただいている『アサヒスーパードライ 工場できたてのうまさ実感パック』を毎月月末の金曜日に引き続き発売します。工場できたてのビールのおいしさを体感いただき、特別な飲用体験を提供していきます。
 健康意識の高まりから今後も成長が期待できる糖質やプリン体などに配慮したビール類では、糖質ゼロの発泡酒『アサヒスタイルフリー<生>』、新ジャンルの『アサヒ オフ』に注力します。
 新ジャンルは、「キレ・爽快」を求めるニーズに対しては『クリアアサヒ』、近年新ジャンル市場で関心の高まる「コク・味わい」を求めるニーズに対しては『アサヒ ザ・リッチ』に注力します。
 業務用では、外食の際においしい樽生ビールが飲みたいというニーズにお応えするため、飲食店ならではの価値である樽生ビールの品質向上に取り組みます。当社の基準を満たした「うまい!樽生ビール」を提供している飲食店を認定する制度を見直し、高品質な樽生ビールの提供を支援していきます。また、アサヒグループのグローバルブランドである「ピルスナーウルケル」の取り組みを参考に、「スーパードライ」ブランドの価値向上のため、新たな呼称制度「タップエリート」を導入します。認定を受けた「タップエリート」は、飲食店で高品質な「スーパードライ」を提供するだけでなく、自らの言葉で「スーパードライ」ブランドの歴史や品質を語り、ブランドの魅力を発信していく役割を担います。
 本年開催が予定されている東京2020大会オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)に際しては、ビールメーカーで唯一の「東京2020大会ゴールドパートナー(ビール&ワイン)」として、東京2020大会の盛り上げを図ります。デザイン商品の展開などに加えて、自宅で大会会場へ行ったようなバーチャル体験ができるキャンペーンやオンラインイベントの企画により、東京2020大会を楽しみながら、特別な飲用体験を提供していきます。
 日常生活の中でも非日常を感じられる特別な飲用体験を提供するために、ピルスナータイプの元祖として知られているチェコのビール「ピルスナーウルケル」の缶容器(330ml)を4月に首都圏・関信越エリア限定で通年発売し、6月には全国で完全予約受注制にて発売します。

■ビール類以外のカテゴリー
 ビール類以外のカテゴリーは、収益性に課題のあったブランドを集約し主力ブランドへ投資を集中するために、大幅にブランドポートフォリオを見直します。
 RTDでは、「贅沢搾り」「樽ハイ倶楽部」「ザ・レモンクラフト」の3ブランドに注力します。「贅沢搾り」は、酒類エントリー層の飲用者の拡大を図り、「樽ハイ倶楽部」は、缶商品の販売強化とブランド認知拡大を図ります。「ザ・レモンクラフト」は、豊かなレモンの香りを楽しめるボトル缶RTDとしての独自価値を訴求していきます。
 洋酒は国産ウイスキー「ブラックニッカ」と輸入ウイスキー「ジャック ダニエル」、ワインは「サンタ・ヘレナ・アルパカ」、焼酎は「かのか」、アルコールテイスト清涼飲料は『アサヒ ドライゼロ』『ヘルシースタイル』に注力します。

■2020年のアサヒビール概況
 2020年のビール類市場(ビール・発泡酒・新ジャンル)は、販売金額ベースで12%程度縮小したと見込まれます。そのような中、当社のビール類トータルの販売金額は、5,613億円(前年比84.3%)となりました。
 ビールは、『アサヒスーパードライ』に注力し、「キレ・辛口・鮮度」といった物性価値に加えて、「明日への活力」といったビールがうまい瞬間を情緒的に訴求したTVCMなどを放映し、飲用者数の拡大とファンづくりを強化してきました。10月の酒税改正以降、「スーパードライ」史上最高のうまさを訴求した商品・販促・広告を展開し、「工場できたてのうまさ実感パック」を毎月末金曜日に発売するなどビール需要の活性化に取り組みました。
 発泡酒は、『アサヒスタイルフリー<生>』に注力し、健康意識の高まりなどを背景に、糖質ゼロでありながら“ビールらしい”中味が高く評価され、販売数量は前年比105.1%と好調に推移しました。
 新ジャンルは、『クリアアサヒ』『アサヒ ザ・リッチ』に注力しました。『クリアアサヒ』では、泡までおいしいことを商品・広告・販促を連動させて訴求し、新規飲用者の獲得とトライアル喚起を図りました。新商品『アサヒ ザ・リッチ』では、“プレミアムビールのうまさを目指した新ジャンル”という商品コンセプトが受け入れられ、販売数量は782万箱となりました。
 RTDは、メリハリのある効率的な投資で独自価値をもったブランドに注力し、7年連続で過去最高売上を更新しました。主力ブランドの「贅沢搾り」は前年比121.3%、新商品の「樽ハイ倶楽部」「ザ・レモンクラフト」は計画を上回る販売で、お客さまからご支持をいただきました。
 洋酒は、国産ウイスキー「ブラックニッカ」に注力しました。人気アニメ「ルパン三世」との共同企画がSNSで話題になりました。ワインは、「サンタ・ヘレナ・アルパカ」に注力しました。“うちの夕食がディナーになる、アルパカ”をキーメッセージとして店頭やSNSで情報発信を強化し、家庭内でカジュアルにワインを楽しむ飲用シーンを訴求しました。販売数量は、前年比109.8%の145万箱となりました。焼酎は、「かのか」に注力しました。巣ごもり需要をとらえた家庭内での飲み方提案や販促活動により、販売数量が前年比107.1%の375万箱となりました。
 アルコールテイスト飲料は、『アサヒ ドライゼロ』に注力し、ノンアルコールビールテイスト飲料市場において5年連続売上No.1※1を達成しました。健康意識の高まりや、自宅で過ごす時間の増加により、日中など日常の様々なシーンでの飲用が進みました
※1:インテージSRIノンアルコールビールテイスト飲料市場 2015年11月~2020年10月 累計販売金額 7業態計(SM・CVS・酒DS・一般酒店・業務用酒店・DRUG・ホームセンター計)

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