「キリングループ2022年-2024年中期経営計画」スタート

キリンホールディングス株式会社のプレスリリース

 キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典)は、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(以下、KV2027)」の実現に向けた第2ステージとなる「キリングループ2022年-2024年中期経営計画(以下、2022年中計)」を策定しました。

 新型コロナウイルスをはじめとする急激な環境変化による市場の混乱を受け、経済の先行きが不透明な状況が続いています。そのような中でも、キリングループは新たな社会課題に向き合い、解決することで、その影響を最小限に抑えてきました。当社は、将来の予測が困難な時代だからこそ、社会課題解決と経済的価値を創出するCSV※1経営が重要と考えます。

 新たな中計をスタートするにあたり、社会環境の変化に対応するために、多様なステークホルダーとの対話を通じて10年先を見据えた「持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM)」を再評価しました。また、「CSVパーパス」の改訂を行い、新たに設定した「CSVコミットメント」の達成に向けて「食領域」、「医領域」、「ヘルスサイエンス領域」の3領域において、CSV経営をさらに推進します。
 ※1 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造
 

  • 「キリングループ2022年-2024年中期経営計画」

 2022年中計においてもKV2027の基本的な方向性は変えず、CSVを経営の根幹に据え、既存事業の強化と新たな価値の創造を図っていきます。2022年中計は、変革の基盤づくりを行った2019年中計から、新たな成長軌道へシフトし、KV2027実現に向けた成長ストーリーを固めていくステージとなります。具体的には、①「食領域」の利益増大、②「医領域」のグローバル基盤強化、③「ヘルスサイエンス領域」の規模拡大、の3つを軸に戦略を組み立てています。ポートフォリオマネジメントの強化や投資の優先順位の明確化を通じ、経営資源を集中させることで、3領域の成長による企業価値向上を目指します。
 同時に、ポストコロナを見据えた「イノベーションを実現する組織能力」の強化や、キリングループのDNAである品質本位の徹底、効率と持続可能性を両立するSCM※2体制の構築、価値創造を支えるガバナンスの強化により、強固な組織基盤を構築します。
※2 サプライ・チェーン・マネジメント(Supply Chain Management)の略。原材料の調達、工場での生産、商品の需給・物流の供給連鎖を効率よく構築し管理することを指す。

■2022年中計の位置づけ

【基本方針】
ポストコロナを見据えた事業構造改革の実行と新たな価値創出により、成長を加速

【重要課題】
1.     「食領域」の利益増大
2.     「医領域」のグローバル基盤強化
3.     「ヘルスサイエンス領域」の規模拡大

【重要成果指標】
■財務目標※3
・平準化※4EPS(1株当たり利益)  年平均成長率 11%以上
・ROIC※5             2024年度   10%以上
※3 財務指標の達成度評価にあたっては、在外子会社等の財務諸表項目の換算における各年度の為替変動による影響等を除きます。
※4 その他の営業収益・費用等の非経常項目を除外し、より実質的な収益力を反映させるための調整をしています。
※5 利払前税引後利益 /(有利子負債の期首期末平均+資本合計の期首期末平均)

■非財務目標

 

【重要課題への取り組み】

1.「食領域」の利益増大
 強固なブランド体系の構築、収益力・財務基盤の強化、そして新規ビジネスの探索・拡大を実現します。

【キリンビール社】
 主力ブランドの「キリン一番搾り生ビール」、健康志向に応える「キリン一番搾り 糖質ゼロ」、高付加価値で収益性の高い「スプリングバレー 豊潤<496>」への投資を強化し、強固なブランド体系を構築します。「キリン ホームタップ」は、クラフトビールのラインアップを強化することでサービスの魅力をさらに高め、クラフトビール市場の魅力化・活性化を目指します。RTD※6カテゴリーでは「在宅時間の充実」に対応する高付加価値ブランドの展開を強化します。
※6 Ready to Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料

【キリンビバレッジ社】
 選択と集中によって、既存飲料事業では「キリン 午後の紅茶」「キリン 生茶」のブランド価値を高め、収益強化を実現します。同時にCSV経営を一層進め、ヘルスサイエンス領域を強化します。3月から全国発売する100mlペットボトル飲料「キリン iMUSE 朝の免疫ケア」を加えた「プラズマ乳酸菌」配合飲料の展開拡大や、株式会社ファンケルとの商品開発をさらに進めることで、お客様の健康に貢献し、新たな市場開拓を進めます。

【ライオン社】
 マーケティング改革とサプライチェーン最適化などを通じた収益性改善に注力します。さらに、北米・豪州におけるクラフトビール事業の成長加速に向けて、買収したクラフトビール事業の統合とシナジー創出を進めます。

2.「医領域」のグローバル基盤強化
 製薬業界を取り巻く環境が大きく変化する中、医領域を担う協和キリン社は、いまだ有効な治療方法がない疾患への医療ニーズに応える画期的な医薬品の継続的創出に、引き続き取り組みます。またグローバル戦略3品の価値最大化、次世代戦略品、国内市場向けの新薬開発も推進します。
 2030年に向けたビジョン※7、及び達成に向けた戦略を実行することで、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして更なる事業成長を実現します。
※7 2021-2025年中期経営計画において、以下の通り策定
「協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現します。」

3.「ヘルスサイエンス領域」の規模拡大
 世界的規模で健康・未病への関心が高まる中、これを新たな機会と捉え、ヘルスサイエンス領域の規模拡大を図ります。特に「免疫」領域の「プラズマ乳酸菌」の展開拡大を足掛かりに、「脳機能」「腸内環境」領域への成長につなげます。「プラズマ乳酸菌」は、マラヤ大学の研究拠点において、熱帯感染症に対する「プラズマ乳酸菌」の効果検証なども進めていきます。
 海外市場では、協和発酵バイオ㈱によるBtoB事業を加速させます。「プラズマ乳酸菌」は米国・東南アジアを中心に、「シチコリン」※8は米国での販売を強化します。独自の発酵技術で、世界初となる大量生産に成功した「ヒトミルクオリゴ糖」※9は、海外での上市を目指し、2022年にタイの自社工場で生産を開始します。また「オルニチン」を中心とした「活力」領域での事業展開にも精力的に取り組むほか、新規事業探索や社内ベンチャー、コーポレートベンチャーキャピタル※10も推進し、あらゆる接点で、お客様の「健康」に関する社会課題を解決していきます。
 ファンケル社とも、引き続きシナジー創出に向けた取り組みを進めていきます。
 これらの取り組み実行度を高めるため、ヘルスサイエンス領域の戦略・事業連携を統括する「ヘルスサイエンス事業本部」を2022年春に設置し、グループ内のシナジー創出に向けたガバナンス体制の強化、戦略の浸透・実行のスピード向上につなげます。
※8  脳や神経細胞にある細胞膜を維持する働きを持つ、体内に存在する成分で、世界各国で長年にわたり脳疾患の治療薬や認知機能の向上をサポートする健康食品等に利用されている素材。日本では現在、医薬品に分類されている。
※9  母乳に含まれるオリゴ糖の総称。現在250種類以上が母乳中に含まれており、「免疫」「脳機能」などに寄与する研究成果が報告されている。
※10事業会社が自己の資金を拠出することで、ファンドを組成しスタートアップ企業に投資をすることや、スタートアップ企業に投資するための組織。
  多くの事業会社は、自社の事業内容と関連性のある企業に投資し、シナジー創出や新規事業創出を目的とする。

 キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。

(参考)
決算(短信・説明資料・有価証券報告書) https://www.kirinholdings.com/jp/investors/library/financial_results/
CSVパーパス https://www.kirinholdings.com/jp/purpose/csv_purpose/
CSVコミットメント https://www.kirinholdings.com/jp/impact/csv_management/commitment/
持続的成長のための経営諸課題(グループ・マテリアリティ・マトリックス:GMM) https://www.kirinholdings.com/jp/impact/materiality/

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