貝印株式会社のプレスリリース
背景
貝印は、週に2回以上自身で料理をする全国の男女500名を対象に「食品ロスと野菜の価格高騰に関する調査」を実施しました。調査の結果、8割以上が食品ロスに対して意識をしており、具体的な取り組みを行っている家庭が約半数であることが分かった一方で、家庭での調理中の食材の切りすぎ(過剰除去)への意識は2割以下と最も低いことが明らかになりました。さらに、値上がりしていると感じる野菜において、購入頻度の変化についても調査した結果、購入頻度が減ったのは約3割でした。
この調査結果を踏まえ、「人にやさしい刃物」という考え方を100年以上大切にしてきた貝印は、過剰除去の問題に着目し、2022年8月31日(水)「野菜の日」より、Webサイト「やさしい切りかた辞典TM」を開設します。食品ロスの中でも食材を“食べられる部分までムダに切りすぎてしまう”過剰除去問題に対して「切り方」を起点にこの問題に取り組みます。サイト内では、地球にも食卓にもやさしい、動画による野菜をムダなく切る方法やオリジナルレシピ、野菜の保存の方法などについて紹介します。
【「やさしい切りかた辞典TM」特設サイト】
https://www.kai-group.com/products/special/hocho/yasashii/
食品ロスにおける過剰除去について
食材の過剰除去によって、家庭から排出される食品ロスの発生量は、全国で32.8万トン/年と推定されています※。つまり、各家庭で過剰除去に注意をして調理すれば、比較的手軽にその量の“切りすぎ”を防げると言えます。しかし、調査によって、8割以上が食品ロスを意識している反面、過剰除去への意識は2割以下という事実が判明しました。刃物メーカーである貝印は、最も意識されていない過剰除去を多くの方に身近に感じていただくために、少しでも過剰除去について考えていただけるようなアクションを起こそうと考えました。
※出典:環境省ホームページ (https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000032203499&fileKind=2)
■「食品ロスと野菜の価格高騰に関する調査」トピックス
1.8割以上が食品ロスを意識しているが、過剰除去への意識は2割以下という結果に
・食品ロスに対して具体的に取り組めている人は、約半数!
・取り組んでいない人でも、約8割の人は手軽な方法があれば実践したいと回答。
食品ロスに対しての意識の高まりがわかりました。
2.6割弱が食品の過剰除去に心当たりが!過剰除去しがちな食品は「野菜(75.2%)」
・過剰除去されがちな野菜ランキング1位「キャベツ」 2位「にんじん」「ブロッコリー」 4位「レタス」
・7割が野菜の食べられる部分を捨てた経験あり!食品ロスに対しての意識の高まりがわかる一方で、
3人に1人は野菜の切り方・剥き方に改善の余地があることが分かりました。
3.価格高騰を感じる食品1位「野菜」、野菜の中での1位は「たまねぎ」
・野菜の価格高騰対策ができている人は3割程度。対策は「割引品を買う」という回答が最多。
・野菜の購入頻度、約3割が“減った”と回答。
野菜のムダのない切り方を意識することで、価格高騰対策の一環にも?!
【調査概要】
・調査方法:WEBアンケート調査
・調査テーマ:食品ロスと野菜の価格高騰に関する調査
・調査対象者:全国の20~50代男女
・週に2回以上自身で料理をする人 計500名
・調査期間:2022年7月11日~14日
・調査主体:貝印株式会社
・調査機関:株式会社ネオマーケティング
※詳しくは、貝印「食品ロスと野菜の価格高騰に関する調査」結果(別紙)をご覧くださいませ。
■貝印Webサイト「やさしい切りかた辞典TM」
2022年8月31日(水)「野菜の日」より、食品ロス対策の一環として、Webサイト「やさしい切りかた辞典TM」を開設します。食品ロスアドバイザー/料理研究家の島本美由紀先生に監修をいただき、先生のエコ・食品保存に関するご知見のもと、キャベツやにんじん、ブロッコリー、たまねぎといった野菜を丸ごと美味しく食べられる切り方を動画などでご紹介します。ついつい過剰に切ったり、剥いたりしてしまう皮や茎の部分も、ムダなく美味しく食べてもらうことを目的として本サイトを制作しました。
【Webサイト「やさしい切りかた辞典TM」】
https://www.kai-group.com/products/special/hocho/yasashii/
「やさしい切りかた辞典TM」で切り方を紹介するのは家庭でも廃棄の量が多い15種類の野菜や果物。さらに6種類の野菜については、つい捨ててしまいがちな野菜の部位を使用したオリジナルレシピを紹介します。
■サイト内紹介野菜
なす・にんじん・ブロッコリー・トマト・しいたけ・しめじ・えのき・ほうれん草・たまねぎ・かぼちゃ・ピーマン・オクラ・キャベツ・レタス・りんご
■サイト内レシピ紹介野菜
にんじん・ブロッコリー・えのき・かぼちゃ・ピーマン・キャベツ
■「やさしい切りかた」の動画も公開
野菜を丸ごと美味しく食べられる切り方を、動画で紹介しています。
【新聞広告掲載】
2022年8月31日(水)「野菜の日」
産経新聞 朝刊で「やさしい切りかた辞典TM」の広告が掲載されます。
【日本女子大学による実践活動】
「『食・健康・SDGs』~野菜を食べよう!地球環境にやさしい健康な食事~」をテーマとしたイベントが2022年10月15日(土)、16日(日)に開催予定の日本女子大学学園祭「目白祭」内で実施されます。イベント内では日本女子大学の食物学科学生有志による研究結果の発表のほか、学生が考案するレシピの中で貝印「やさしい切りかた辞典TM」が紹介される予定です。
【実施概要】
■予定日 :2022年10月15日(土)~16日(日)
■実施形式 :オンライン(動画・写真のオンライン配信)およびオフライン(学内ポスター掲示)
■テーマ:「食・健康・SDGs」~野菜を食べよう!地球環境にもやさしい健康な食事を~
※詳細につきましては、後日、日本女子大学のHPにて発表予定です。
■経済学者・小林富雄氏による解説
■日本女子大学 家政学部家政経済学科教授・小林富雄氏に、食品ロス問題について解説いただきました。
まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の発生量は、最新のデータとなる令和2年度に過去最低の522万トンを記録しました。コロナ禍により、飲食店の食品ロスは大幅に減少(前年比78.6%)した一方で、ご家庭で食事をする機会が増えたにもかかわらず、そこで発生する食品ロスは微減となりました(前年比94.6%)。その背景には、在宅勤務などにより生活にゆとりが生まれ、食べ残しを翌日に食べるようにしたり、買いものをしすぎないようすることによって、落ち着いた食生活に結びついた可能性があります。
一方で、本調査結果からは過剰除去(食べられる部分を切り取りすぎてしまう)への意識が18.3%と低くなっており、その点については何らかの対策が必要となるかもしれません。約7割の方が過去に過剰除去を経験したことがあると回答していますが、その理由についても詳細な分析が求められます。
アジアの食文化について、「中国人は味で食べ、日本人は目で食べ、韓国人は腹で食べる」ということばを聞いたことがあります。このように、見た目を重視する日本人にとって、過剰除去はある種の文化的な側面があるのですが、個人的に「もったいない」と感じていても、食べる人など他者への配慮として過剰除去されることについても注意する必要があるでしょう。
このような場合、食品ロスの削減は「環境に悪いから」と促しても、なかなか行動は変わりそうにありません。逆に、見た目を大切にする心を大切にしながらも、過剰除去していた食材を新しい食感を持つサプライズ演出につなげるなど、食べる人の食事の楽しみを考えながら取り組んだ方が得策といえそうです。
少し大げさかもしれませんが、過剰除去の削減は新しい食文化の形成につながる活動なのかもしれません。
■プロフィール
小林 富雄(こばやし とみお)
日本女子大学家政学部家政経済学科 教授
2003年名古屋大学大学院生命農学研究科博士後期課程修了。2022年度より現職。フードシステムから発生する食品ロスについて専門的に研究し、内閣府食品ロス削減推進会議委員ほか、各省庁の委員を歴任。
『食品ロスはなぜ減らないの?』(岩波ジュニアスタートブックス)など著書多数。
【貝印株式会社】
1908年、刃物の町として有名な岐阜県関市に創業。現在、生活に密着した刃物を中心とするカミソリ、メンズグルーミング、ツメキリなどの身だしなみやビューティーケア、包丁をはじめとする調理・製菓、医療用など1万アイテムにもおよぶ商品を展開し、商品の企画開発から生産、販売、物流までの一連を行っているグローバル刃物メーカー。本社:東京都千代田区岩本町3-9-5 代表取締役社長兼COO:遠藤浩彰 https://www.kai-group.com/