えひめ香る地酒プロジェクト(愛媛県酒造組合)のプレスリリース
愛媛県では、新型コロナウイルス感染症により酒類の需要減少の影響を受けた県内蔵元のアフターコロナの反転攻勢に向けた取り組みを推進するため、愛媛県酒造組合と連携し、「えひめ香る地酒プロジェクト」を立ち上げ、2022年10月18日、愛媛県庁知事会議室にて、「えひめ香る地酒プロジェクト発表会」を行いました。
発表会では、越智 浩 愛媛県酒造組合理事長より中村 時広 愛媛県知事に対して、本プロジェクトの概要説明及びロゴマークの発表に加え、産:愛媛県酒造協同組合、学:東京農業大学 応用生物科学部 醸造科学科、官:愛媛県産業技術研究所 食品産業技術センター(以下、食品産業技術センター)の共同研究にて開発した清酒用花酵母「愛媛さくらひめ酵母」を活用した日本酒を、愛媛県内22の蔵元が2023年3月に発売することを発表しました。
左:「愛媛さくらひめ酵母」を活用した日本酒に使われるロゴを発表する愛媛県 中村知事/右:愛媛さくらひめ酵母 ロゴ
清酒製造業は地場産業の中核として、飲食や観光産業と深く結びついて、地域経済を支える重要な産業ですが、新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛や時短営業などの影響により、 飲食店の利用者が激減したことから、酒類需要は大きく減少しました。それは愛媛県も同様です。
愛媛県は四国の中でも最も多い、36もの個性豊かな蔵元があり、隠れた地酒どころとして日本酒ファンに親しまれています。そんな愛媛県酒造組合が、アフターコロナを見据えて愛媛県のテロワール* を実現しようと、日本有数の日本酒研究のパイオニアである東京農業大学 応用生物科学醸造科学科と食品産業技術センターとの共同研究を行いました。その研究の結果、愛媛県特産の「さくらひめ」から、Type-1からType-4までの4種の清酒用花酵母「愛媛さくらひめ酵母」を分離培養することに成功しました。瀬戸内海と宇和海という2つの海をはじめ豊かな自然に囲まれた食の宝庫ならではの日本酒となるように、食材や料理とのペアリングを重視して、香りと味わいの特徴が異なる4タイプの酵母を選定しています。(参照 表1・図1)
本酵母を活用した日本酒は、2023年3月に愛媛県の米と水を使った、愛媛県ならではの日本酒として22の蔵元より発売されます。また、本商品の売上の⼀部は、愛媛県酒造組合を通じて「⼦どもの愛顔応援ファンド」に寄付され、地域の未来を担う⼦どもの⽀援に役⽴てられます。
※テロワール:「土地」を意味するフランス語から派生した言葉。気候を含めた土地の個性にその地方の風土や文化を加えた酒類製造の環境を示す。
表1 酵⺟(TYPE1〜4)の特徴
図1 食のペアリング例
- さくらひめについて
愛媛県農林水産研究所が開発した愛媛県オリジナル品種(2015年2月に品種登録)
・ 青色系が一般的なデルフィニウムをピンク色の花に品種改良
・ 出荷は12月から6月
・ 桜を連想させる姿と愛媛のひめから”さくらひめ”と命名
・ 日本フラワー&ガーデンショウグランプリ等 様々な賞を受賞
- 販売予定の22の蔵元について
梅錦山川株式会社/近藤酒造株式会社/石鎚酒造株式会社/首藤酒造株式会社/武田酒造株式会社/成龍酒造株式会社/株式会社八木酒造部/雪雀酒造株式会社/桜うづまき酒造株式会社/水口酒造株式会社/栄光酒造株式会社/島田酒造株式会社/協和酒造株式会社/酒六酒造株式会社/千代の亀酒造株式会社/養老酒造株式会社/梅美人酒造株式会社/川亀酒造合資会社/宇都宮酒造株式会社/中城本家酒造合名会社/西本酒造株式会社/名門サカイ株式会社 (順不同)
- 研究内容について
【産:愛媛県酒造組合】
・必要な酵母の特性の検討
・分離した酵母を使用した清酒の酒質設計
・蔵元による試験醸造
【学:東京農業大学】
・酵母分離手法の効率化
・麹菌の抗菌性物質生産の最適化
・分離した酵母の特性把握
【官:食品産業技術センター】
・さくらひめからの酵母の分離
・分離した酵母の性質解明
・小仕込み試験と醸造特性の検討
・優良酵母の選択
・試作した清酒の分析・評価
- プロジェクト情報
・プロジェクト名:えひめ香る地酒プロジェクト
・URL:https://www.ehime-syuzou.com/sakurahime
・プロジェクト概要:産学官連携により開発したオリジナル清酒用花酵母「愛媛さくらひめ酵母」から醸造される新しい愛媛の地酒のブランドを確立させ、国内外での認知度向上や販売促進を目指す事業。