カリフォルニア・アーモンド協会、アーモンドの摂取と腸内フローラの機能改善に関する新しい研究結果を発表

カリフォルニア・アーモンド協会のプレスリリース

※このプレスリリースは2022年10月18日に米国カリフォルニア州で発表された資料の抄訳版です。
世界最大のアーモンド生産地である米国カリフォルニア州の約7,600のアーモンド生産農家ならびに100を超える製造加工業者で組織される「カリフォルニア・アーモンド協会」(本拠地:米国カリフォルニア州モデスト)は、アーモンドの摂取と腸内フローラ(腸内細菌叢)の機能改善に関する新しい研究結果を発表しました。

世界最大のアーモンド生産地である米国カリフォルニア州の約7,600のアーモンド生産農家ならびに100を超える製造加工業者で組織される「カリフォルニア・アーモンド協会」(本拠地:米国カリフォルニア州モデスト)は、アーモンドの摂取と腸内フローラ(腸内細菌叢)の機能改善に関する新しい研究結果を発表しました。

腸内フローラ理解における科学的進歩は、栄養学と胃腸の健康の専門家の興味を刺激するものとなりそうです。研究者たちの間で、食事が健康や病気の予防に役立つ形で腸内フローラに影響を与えることは知られていますが、それがどのようにして起こるのか、メカニズムはまだ解明されていません。新しいアーモンドの研究結果は、このパズルに新たなピースを加えるかもしれません。新しい臨床研究では、いかに腸内細菌がアーモンドを分解し、健康上の利点に関連する特定の微生物産物である酪酸を生成するのかを調査しました。

本研究1によると、アーモンドを摂取すると、有益な短鎖脂肪酸(SCFA)の一種である酪酸が、大腸内で有意に増加することがわかりました。酪酸は、腸内の微生物が食物繊維を消化する際に生成されるもので、大腸を覆う細胞である大腸細胞の主要なエネルギー源となり、睡眠の質の向上や炎症の抑制など、人間の健康に関わる複数のプロセスに関与すると考えられ、大腸がんのリスク低下との関連性も指摘されています2,3。また、アーモンドの摂取は、便秘解消にも効果があります。定期的な排便は、胃腸の働きが良好であることと関連しています。

キングス・カレッジ・ロンドンのケビン・ウィーラン(Kevin Whelan)教授率いる研究チームは、ホールアーモンドとアーモンドパウダーの摂取が、腸内フローラの構成と多様性、腸管通過時間に与える影響についての研究に着手しました。カリフォルニア・アーモンド協会は、この研究に資金を提供してきました。

ウィーラン教授は次のように述べています。「腸内細菌が人間の健康に影響を与えるプロセスの一つとして、酪酸などの短鎖脂肪酸の産生が挙げられます。これらの成分は、大腸の細胞のエネルギー源として働き、腸内の他の栄養素の吸収を調整し、免疫系のバランスを整えます。」

本研究では、毎日2回以上間食している18歳から45歳の健康な成人男女87名を、1:毎日56gのホールアーモンドを摂取するアーモンド群、2:56gのアーモンドパウダーを摂取するアーモンド群、3:同等のカロリーのマフィンを摂取する対照群の3グループ各29名構成で分けました。被験者はいつものスナックの代わりに試験用スナックを1日2回、4週間にわたり摂取しました。試験期間中、被験者は上記に加え食物繊維が推奨量より少ない典型的な食事と、スナック摂取時の最低100mLの水分摂取を行いました。

本研究では、糞便中のビフィズス菌の相対量、糞便微生物叢の組成と多様性、糞便中のSCFA、全腸通過時間、腸内pH、便の回数と硬さ、および腸の症状を測定しました。

47名の下位群では、ベースライン測定のため、ワイヤレス運動性カプセルにより腸管通過時間、pH、圧力の測定を行い、41名がエンドポイントを完了しました。また、別の31人の被験者を対象に咀嚼分析が実施され、咀嚼後の粒度分布(PSD)と脂質放出に対するアーモンドの形態(ホールまたはパウダー)の影響を調査しました。糞便微生物叢の組成の分析では、ベースライン測定時の細菌群間で門または属の有意差は見られませんでした。さらに、ホールまたはパウダーのいずれの状態のアーモンドも、対照スナックと比較して、糞便中のビフィズス菌の量の増加は見られませんでした。しかし、以前の研究調査では、アーモンドはマイクロバイオームの多様性を高める一方で、潜在的に有害なバクテリアの相対的なレベルを低下させることが報告されています4。

腸内フローラの代謝産物に関しては、総SCFAまたは個々のSCFAについても、アーモンド群と対照群の間で有意差は見られませんでした。統計解析の結果、酪酸に関しては、アーモンド群全体では、対照群に比べ、酪酸が有意に増加したことがわかりました。全腸通過時間には有意な差はなく、小腸pHや大腸pHにも差は観察されませんでした。ホールアーモンドを摂取した被験者は、排便回数に有意な差があることが認められ、1週間に排便の回数が1.5回多かったことがわかりました。一般的な胃腸症状の発生率や重症度については、どの群にも差は見られませんでした。

研究のまとめてとして、ウィーラン教授らは、アーモンド群では酪酸が有意に増加し、排便の回数も増加したことを明らかにしました。アーモンドは耐容性が高く、胃腸に有害な症状を引き起こすことがなかったことから、アーモンドの摂取は副作用を引き起こすことなく食物繊維を増やす方法である可能性が示されました。これは、微生物叢の機能にポジティブな変化をもたらすことを示唆しています。

ウィーラン教授は、次のように述べています。「本研究は、アーモンドの摂取が、人間の健康に良い影響を与え、バクテリアの代謝に恩恵を与える可能性があることを示唆しています。」

本研究の限界は、被験者の86%以上が女性で、平均年齢が27.5歳という、性別分布と年齢分布の両方にあります。本研究結果が必ずしも男性や高齢者に一般化できるわけではなく、さらなる研究が求められます。

アーモンドには、食物繊維(100gあたり12.5g/30gあたり3.5g)と、マグネシウム(100gあたり270mg/30gあたり81mg)、カリウム(100gあたり733mg/30gあたり220mg)、ビタミンE(100gあたり25.6mg/30gあたり7.7mg)を含む15種類の必須栄養素が含まれており、栄養価が高く、間食として最適な食材です。

 

研究概要
研究内容

・本研究では、アーモンドのプレバイオティクス効果およびアーモンド加工がこの効果に及ぼす潜在的な影響について、4週間に渡る自由生活型3並行群間ランダム化比較試験を行い、調査しました。
・健康な成人87名を対象に、毎日、56gのホールアーモンド、56gのアーモンドパウダー、または同等カロリーのマフィンいずれかを摂取してもらいました。
・ベースラインおよびエンドポイント時に、腸内フローラの組成と多様性、短鎖脂肪酸、揮発性有機化合物(VOC)、腸管通過時間、排便の回数、腸の症状を測定しました(被験者数87名)。サブグループ(被験者数31名)では、予測される脂質放出とともに、PSDに対するアーモンドの形状(ホールまたはパウダー)の影響について測定しました。

研究結果
・本研究では、アーモンドを摂取した場合と対照スナックを摂取した場合で、糞便中のビフィズス菌の量に有意差はないことが確認されました。アーモンド群(アーモンドパウダーおよびホールアーモンド)は、対照群と比較して、酪酸の増加が確認されました。(アーモンド群:24.1μmol/g、SD 15.0 μmol/g、対照群:18.2μmol/g、SD 9.1μmol/g; p=0.046)
・アーモンドの摂取は、門の階級または多様性における腸内細菌叢、腸管通過時間、便の硬さ、腸の症状に影響はありませんでした。対照スナックと比較して、アーモンド群では、アーモンド摂取後、3つのVOCが増加しましたが、統計的に有意な差ではありませんでした。
・アーモンドパウダー群では、ホールアーモンド群と比較して、PSDは著しく小さく、脂質放出予測値は高いという結果となりました。(アーモンドパウダー:10.4%、SD 1.8%、ホールアーモンド群:9.3%、SD 2.0%、; p=0.017)
・咀嚼試験に参加したサブグループのPSD分析では、ホールアーモンドとPSDの粒子径の間に有意な相互作用が確認されました。しかし、市販のアーモンドパウダーは、ホールアーモンドに比べて、栄養素のバイオアクセシビリティにおいて大きな差は見られませんでした。
・ホールアーモンドを摂取したアーモンド群1では、対照群と比較して、一価不飽和脂肪酸、食物繊維、カリウム、およびその他の栄養素の摂取量が多いことが、ポストホックテストで示されました。同様に、アーモンドパウダーを摂取したアーモンド群2では、一価不飽和脂肪酸、総繊維、および他の微量栄養素の摂取量が多いことが示されました。

アーモンドの摂取と腸内細菌叢の機能改善に関するまとめ
・アーモンド群では、排便回数がわずかながらも有意的に増加し、大腸内の酪酸も大幅に増加しました。これらの知見は、腸内細菌叢の機能性にポジティブな変化をもたらすことを示唆していると研究者は指摘しています。アーモンドの摂取が細菌の代謝に与える影響は、人間の健康にポジティブな影響を与える可能性があることがわかりました。
高齢者や便秘症の人は、健康な若者や便秘症のない人に比べてビフィズス菌のレベルが低いことが知られているため、本研究の結果は、アーモンドが高齢者や便秘症の人にどのように役立つかを考えるきっかけになると思われます。

(1)「アーモンドとアーモンド加工が胃腸生理、管腔微生物学、胃腸症状に与える影響」。無作為化対照試験と咀嚼試験。Creedon, A. C., Dimidi, E., Hung, E. S., Rossi, M., Probert, C., Grassby, T., Miguens-Blanco, J., Marchesi, J. R., Scott, S. M., Berry, S. E., & Whelan, K. (2022)。American Journal of Clinical Nutrition, nqac265. https://doi.org/10.1093/ajcn/nqac265
(2)「食物繊維から宿主生理まで:重要な細菌代謝産物としての短鎖脂肪酸」。Koh, A. , De Vadder, F. , Kovatcheva-Datchary, P. , & Backhed, F. (2016)。Cell, 165(6), 1332-1345. doi: 10.1016/j.cell.2016.05.041.
(3)「睡眠を増強する、腸内細菌の代謝物である酪酸」。Szentirmai, E. , Millican, N. S. , Massie, A. R. , & Kapas, L. (2019).。Scientific Reports, 9:7035, 1-9. https://www.nature.com/articles/s41598-019-43502-1
(4)「8週間アーモンドを間食として摂取すると、アイソカロリーの間食と比較し消化管マイクロバイオームのα多様性が増加し、バクテロイデス フラジリスの量が減少した(大学新入生を対象)」。Dhillon, J., Li, Z., & Ortiz, R. M. (2019)。Current Developments in Nutrition, 3(8), 1-9。https://doi.org/10.1093/cdn/nzz079

カリフォルニア・アーモンド協会について
高品質なカリフォルニア・アーモンドは、品種や栽培技術の改良のもと生産されています。数世代にわたる家族経営が多数を占めるアーモンド農家約7,600と約100の加工業者を代表するカリフォルニア・アーモンド協会は、戦略的な市場開発におけるリーダーシップや革新的な研究を通して、業界のベストプラクティスの導入を促進することにより、自然で健全な品質のアーモンドを推進しています。1950年に設立され、カリフォルニア州モデストに本拠を置く当協会は、米国農務省の監督下で、生産者により制定されたマーケティング・オーダーを管理する非営利組織です。協会の活動およびアーモンドに関する詳細は、公式WEBサイトおよび、Twitter、Instagramをご覧ください。

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