キーワードはフレーバー!最先端の本格焼酎&泡盛ペアリング2022

日本酒造組合中央会のプレスリリース

日本酒造組合中央会(所在地:東京都港区西新橋、会長:大倉 治彦)は、「NEWS LETTER 2022年 秋号」として本格焼酎と泡盛の新しい魅力をお届けします。最近人気のワインや日本酒のペアリング。時代とともに、酔う酒から味わう酒へ。料理と相性のよいお酒を合わせることで、料理をそのまま食べるよりも、何倍、何十倍も食事が楽しめる酒ペアリングに関心が高まっています。本格焼酎と泡盛は、麹と原材料を発酵させた醸造酒を、さらに蒸留させて造る蒸留酒。この原材料由来の風味がどんな料理にも合うと、食中酒として嗜まれてきました。新しいフレーバーや味わい豊かなバラエティーのタイプが次々と登場する今。料理や食材とぴたりと合わせることで、口の中に新たな味覚が生まれ、お酒本来の香りや味わいをよりいっそう感じることができます。それが最先端の本格焼酎&泡盛ペアリングです。

  • 【特集】最先端の本格焼酎&泡盛ペアリング2022

  • 香りから発想すれば、ペアリングは無限大。

本格焼酎と泡盛の成分はほぼ水とエタノール。香味成分はわずか0.2%といわれています。最先端のペアリングの鍵となるのは、この0.2%。この中に含まれる幾多の香味成分の違いが本格焼酎と泡盛の個性となり、料理の素材や風味を引き上げるのです。香りを生かすペアリングを意識すれば、和食や洋食、中華などどんな料理も引き立てます。ソムリエ田崎真也さんに教わる香りからひもとく本格焼酎&泡盛ペアリングをご紹介します。

フルーティーなタイプの芋焼酎 × 生ハムクリームチーズ添え

蒸したさつまいもと米麹由来の香りがする芋焼酎。最近人気のライチやマスカットなど、フルーツを感じさせる香りがするタイプの芋焼酎には、穀類の風味と脂を感じる豚肉が相性抜群。豚肉に足したナッツ香やオイル感もよく合います。
<作り方>
生ハムにクリームチーズをのせて、半割にしたミニトマト、松の実をトッピング。オリーブオイルを回しかける。◀生ハムは油脂分が少ないので、チーズやオリーブオイルをプラス。松の実の香ばしい香りがアクセントに。フルーティーで華やかなタイプを水割りかソーダ割りで軽やかに合わせます。

すっきり軽いタイプの麦焼酎 ×スモークサーモン

麦焼酎の香りの基本はライ麦パンに近い香りやビールの麦汁、ナッツ、バナナなど。洋風料理ならスモークサーモンなど、焼いたパンに合う料理と相性がぴったりです。
<作り方>
玉ねぎ1/4個をみじん切りにし、水に15分ほどさらして水気をしっかり切ります。器にスモークサーモン60gを並べ、ケイパー大さじ1/2を散らし、玉ねぎと刻んだイタリアンパセリ、レモンの薄切りを添えます。◀すっきり軽い爽やかなタイプの麦焼酎とスモークサーモンはベストマッチ。玉ねぎやパセリが引き立て役に。トーストしたライ麦パンを添えたら◎。水割りかオンザロックでどうぞ。

濃厚なタイプの黒糖焼酎 × 鶏もも肉の照り焼き

黒糖焼酎は、サトウキビで作る黒糖が原料なので、黒糖フレーバーを感じさせる、カラメルっぽい香りが特長です。鶏肉の照り焼きなど、醤油と砂糖の甘じょっぱさが好相性。素材や調味料の甘さを生かした料理がおすすめです。
<作り方>
鶏もも肉一枚を半分に切り、長ねぎ1/2本は3㎝幅の筒切りに。フライパンにサラダ油小さじ1を温め、皮目を下にして鶏肉を焼き、皮目がカリっとしたら、長ねぎとししとう4本を加え、両面をじっくりと焼いて火を通す。醤油大さじ3、黒糖大さじ1、黒糖焼酎大さじ2、マスタード小さじ1をフライパンに加え、鶏肉をからめながらとろみが出るまで煮詰める。◀濃厚なタイプの黒糖焼酎には濃口醤油と黒糖の甘じょっぱさが合います。ふくよかな香りにはお湯割りかオンザロックで。

フルーティーなタイプの米焼酎 ×牛冷しゃぶしゃぶ

米焼酎は、蒸し米や少し発酵した米ぬか、わずかな焦げ香、ナッツ、熟成したバニラ香が特長。牛肉の脂肪分のナッツのような香りがよく合います。
<作り方>
鍋に湯を沸かし、塩を軽く加えて、しゃぶしゃぶ用の牛肉200gをサッと火を通したら、氷水に入れてザルで水気を切る。きゅうり1/2本、レタス4枚、人参1/4本は千切りにして器に盛り、牛肉をのせて、ぽん酢とごまだれ各大さじ1と1/2、オリーブオイル大さじ3を混ぜたタレを添える。◀ごまの香りがポイント。すっきりとした飲み心地の水割りがおすすめ。

軽やかなタイプの泡盛 × ホタテのカルパッチョ

潮風や珊瑚や海藻のようなミネラルを感じる泡盛。潮の香りのある貝類や海藻とよく合います。料理にも少しだけ泡盛を使えば、ほのかな香りがペアリング効果を増強します。
<作り方>
刺身用のホタテ150gをそぎ切りにして皿に広げるように盛り付ける。塩と黒こしょうを少々ふり、5㎜角に切ったクリームチーズを散らし、シークゥ―サーの果汁大さじ1とオリーブオイル大さじ2を回しかけ、ディルを添える。◀シークゥ―サーがなければスダチやカボスでも。柑橘系を搾った水割りやソーダ割りがよく合います。

*「本格焼酎・泡盛ガイドブックおうち飲みのススメ」(日本酒造組合中央会)より抜粋。材料はすべて2人分。
 

  • 新しい本格焼酎の楽しみ方が見つかる店

本格焼酎の本場、九州では豚角煮や焼き鳥がテッパンですが、じつはハーブやスパイス、発酵食との相性も抜群。焼酎を楽しむ新しいスタイルのお店の焼酎ペアリングを紹介します。

発酵食×東京の島焼酎 かまびす

虎ノ門蒸留所で自らジンを造る一場鉄平さんが「「蒸留酒をもっと日常に」という思いで、2022年3月にはじめた小料理と蒸留酒の店。発酵食、ハーブ、スパイスを和食にうまくとりいれたエスニックなテイストが、焼酎や泡盛に合うと評判をよんでいます。「遊牧民の納豆春巻」は、ラムの挽き肉と納豆というとクセの強い具材をクミンとナツメグがつなぐ、スパイシーなおつまみ。伊豆大島の「御神火凪海」をロックで。島の名物、クサヤと合うというだけあって、クセの強いものを受け止める大らかなペアリングです。「白身魚の発酵白和え」は、酒粕とクリームチーズを練り上げた衣で白身魚を和え、砕いた黒豆を散らした一品。八丈島の「情け嶋」の酵素シロップサワーのすっきりした飲み心地が相性抜群。発酵食と合わせることで麹由来の複雑な香りが昇華します。
住所 東京都江東区深川 1-8-12
Instagram @kamabisusii

フレンチお惣菜×鹿児島の芋焼酎 キッチンかねじょう

2021年4月にオープンした立ち飲みバル。店主の上松晃大さんの郷里、鹿児島から届く食材で作るフレンチ惣菜に合わせるのは、ナチュラルワインと鹿児島焼酎。「最初の一杯に焼酎ソーダ割り、それからワイン、〆にまた焼酎をロック、という飲み方もありです」という上松さんの料理は、ハーブやスパイスを巧みに使ったフランスのビストロ料理。「ウフマヨ」には「大和桜」のソーダ割りを。自家焙煎した後に石臼で挽いたクミンとコリアンダーのスパイシーな香りが、フルーティーな芋焼酎のアクセントに。自家製のライ麦パンにのせた「ポークリエット」にはボディのある「天狗櫻」。キリッときいたスパイスと濃厚な旨味が見事に調和。スパイスのフレーバーで焼酎の新しい扉が開きます。
住所 東京都渋谷区幡ヶ谷 2-47-1
Instagram @kitchen_kanezyo
 

  • SCIENCE

お湯割りの“科学”
お湯を先に、焼酎は後からには理由があった

芋焼酎のお湯割りを口に運ぶと、ほのかな芋の香りと甘みが広がり、温かさに包まれます。鹿児島で古くから飲み継がれてきたのは、水で割った芋焼酎を黒ジョカと呼ばれる平たい土瓶で一晩寝かせて直火にかけた、じんわりとまろやかになった味わい。1970年代、薩摩酒造の「さつま白波」が焼酎6対お湯4の「ロクヨン」を打ち出したCMで、芋焼酎とともにお湯で割るという飲み方が東京へ進出。世界の蒸留酒の中でもユニークなお湯割りのおいしさが全国へと広まりました。

おいしいお湯割りは、習慣的に「お湯を先に、焼酎は後から」。その科学的根拠を約15年前に徹底的に調査したのが薩摩酒造のかんしょ利用技術研究所にいた森山正宗さん(現在は製造部)です。「お湯割りのグラスの中で何がおこっているか素朴に知りたかった」と、思い立った森山さんが実施した実験は8パターン。お湯の温度は50℃と70℃、割合は6対4と4対6、そしてお湯が先か焼酎が先か、それぞれサーモグラフィー画像を撮り、グラスの中の温度を可視化して徹底的に検証。

それらの結果をひも解くと「なぜお湯割りはお湯が先なのか」の根拠が明らかに。「お湯を先に入れることでグラスをあたため、お湯は飲み心地のいい温度に下がります。そこに常温の芋焼酎を加えると、お湯と芋焼酎の温度差で自然に対流がおき、かき混ぜなくても温度や濃度が均一に。さらに2分おくことで、全体が混ざりまろやかな味わいになることがわかりました」。伝統的なお湯割りの作り方も、アルコールと水の分子が均一に混ざり合うことで飲み心地がよくなるのは同じ理論。「黒ジョカで作るお湯割りは、科学のない時代に先人たちが編み出した知恵だとあらためて実感しました」と森山さんはふりかえります。本格焼酎は「お湯を先に、焼酎は後から」。これからの季節、体が芯からあたたまるおいしいお湯割りを作ってみませんか。

森山さんが検証した3つのお湯割り実験
①8パターンのお湯割りの内部温度を検証。
焼酎4対お湯6、湯の温度は70℃の設定が上記の画像。
焼酎を先に注いだ結果、表面は40℃近くまで上がるが、下部は25℃。一方、お湯を先に注ぐと中心温度が40℃~44℃に、グラス全体が温まっていることが確認できる。

②お湯割りを作った1分後に再度撮影。
焼酎を先に注いだグラスの底の方がまだ冷たく、スは満遍なくあたたまっていることが判明。

③グラスの中12か所の内部温度を検証。
お湯を先に入れるとグラスの内壁が熱くなり、焼酎を注ぐとグラスから熱をもらい、温かい液体は上に上がり、グラスの中で小さな対流が発生していることがわかった。

取材協力・資料提供:薩摩酒造 お湯割り研究
https://www.satsuma.co.jp/oyuwari/
 

  • ETHICAL

球磨焼酎リサイクリーン工場の復興とその先へ
米焼酎粕に付加価値を

熊本県球磨地方を襲った令和2年7月豪雨によって破壊された球磨焼酎リサイクリーン工場。災害から復興を果たし、米焼酎粕に付加価値をつけた新たな取り組みに注目を集めています。球磨焼酎は米と麹だけでつくる米焼酎。蒸留した後に残った液状の焼酎粕は、古くから近隣の農家の肥料として再利用されていました。焼酎ブームが到来した2005年、人吉球磨郡内7市町村と球磨焼酎26蔵が出資してリサイクル工場が設立され、年間1万トンの焼酎粕の一括処理が可能に。水分95%の焼酎粕を液体と固体に分離させて濃縮することで腐敗を防ぎ、保存性もよくなることで、運搬や貯蔵が容易に。持続可能な社会にいち早く取り組んできました。一方、焼酎ブームが終わって以来、球磨焼酎の生産量は年々減少し、コロナ禍に入ってからは14蔵から年間4千~5千トンしか処理できない状況に。「処理代を負担いただく酒蔵のためにも、再利用した濃縮液に付加価値をつけて活性化させ、球磨焼酎を盛り上げていかなければ」と工場長の才賀靖浩さん。畜産分野では、濃縮液が牛の成長促進、細胞強化など肉をおいしくする作用があることが明らかに。高騰している肥育牛の飼料に活用できると注目を浴びています。濃縮液が農作物の生育に役立つ光合成細菌の餌になると着目したのは、ベンチャー企業のシアモ。濃縮液を利用して、光合成細菌の培養キットの研究開発に取り組み、今では全国で千を超える農家へ販路を広げています。災害から復興を果たした球磨焼酎リサイクリーン工場。リサイクルした米焼酎粕の新たな価値の提供に期待が高まっています。

写真提供:株式会社ciamo
https://ciamo.co.jp/
 

  • TREND

泡盛古酒の深淵なる世界を
沖縄全酒造所の泡盛が飲める角打ちが那覇空港にオープン

「古酒は沖縄の宝」。琉球王国最後の国王の四男、尚順男爵のことばは今でも沖縄の人々に語り継がれています。″クース″と呼ばれる古酒は、古酒に新酒を注ぎ足す伝統的な「仕次ぎ」を行うことで、泡盛に含まれる成分そのものが熟成。香味成分や味わいが変化し、寝かせば寝かすほどまろやかに、甘い香りを醸し、高貴な味わいになります。2021年7月、那覇空港の出発口に沖縄全域から80銘柄の泡盛が楽しめるハイサイ酒店がオープン。

泡盛のおいしさに触れてほしいという思いではじめた角打ちで、選りすぐりの古酒がリーズナブルに体験できると話題に。「本来、古酒は食中酒ではなく、食後にゆっくりと味わうものです。ここでは一杯から気軽に楽しめるので、クースの世界をまずは体験していただきたい。沖縄の宝ですから」とオーナーの金城貢さん。「レギュラー泡盛2杯とおまかせおつまみ1品のハイサイAセット(1100円)」が人気で、古酒は「瑞泉熟成古酒40度」や、「古酒の郷7年古酒44度」など8銘柄、45㎖で680円。限定古酒は「春雨10年古酒42度」と、「玉友原酒粗濾過仕上20年古酒ブレンド」、各30㎖で880円。

ハイサイ酒店
場所 那覇空港 国内線ターミナル 3F
営業時間 10:30~19:30
 

  • 「本格焼酎・泡盛」関連情報取材受付のご案内

本格焼酎・泡盛について、ぜひご取材ください!
当会では全国各地の蔵元と協力し、本格焼酎・泡盛の魅力を消費者に発信すべく日々活動を行っております。

■ご取材可能な人物

日本酒造組合中央会 理事 宇都宮 仁(うつのみや ひとし)
京都府立大学大学院農学研究科修了後、国税庁入庁。各地の国税局や独立行政法人酒類総合研究所に勤務。酒類の官能評価分析の評価方法の研究などを行う。2019年より日本酒造組合中央会理事に就任し、酒類の需要振興及び海外PR・販路開拓施策を担当。

 

日本酒造組合中央会 日本の酒情報館 館長 今田 周三(いまだ しゅうそう)
一橋大学法学部を卒業後、新日本製鐵㈱を経て1989年から酒類流通のキャリアをスタート。2012年に㈱山水舎を設立し、マーケティングコンサルタントとして数々の酒蔵をサポート。2016年5月より現職の日本酒造組合中央会日本の酒情報館館長に就任し、国内外に向けた日本酒・本格焼酎の普及活動を行う。海外向け英語ポッドキャスト番組「Sake On Air」を創設した他、学術研究会への参画、セミナー講師等の活動を行う。

■ご取材可能な場所
日本の酒情報館
東京都港区西新橋1丁目6-15(当会ビルの1階)
ロケ・取材撮影・場所貸しも受け付けております。(応相談)

日本の酒情報館は、歴史と文化を含む日本酒・本格焼酎・泡盛の魅力のすべてを「見て・触れて・体験する」ことを通じて世界中の人に知っていただくための施設です。大吟醸酒・純米吟醸酒・純米酒・古酒・スパークリング清酒・貴醸酒など、全国各地の様々なタイプの日本酒、芋・麦・米・黒糖などの本格焼酎や泡盛、そして酒蔵の造る様々な果実のリキュールを常時50アイテム程度、1杯100円からお試しいただけます。選ぶのが難しい方のために、バラエティー豊かで少しお得な3種セットもご用意しています。銘柄は入れ替わりますので、いつでも違うお酒を味わっていただくことができます。

■日本酒造組合中央会 概要
名称:日本酒造組合中央会 Japan Sake and Shochu Makers Association
代表:会長 大倉治彦
住所:〒105 0003 東京都港区西新橋1丁目6番15号 日本酒造虎ノ門ビル
設立年月:1953年12月 設立
会員数:47都道府県単位の酒造組合(40)及び酒造組合連合会(7)
地区:全国一円
組合員数:1,650(清酒1,368、単式蒸留焼酎269、みりん二種13)

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。