今月値上げ580品目 来月は4000品目超で予定 1個減など「目に見える値上げ」実感の1年に

TDBのプレスリリース

帝国データバンクは、上場する食品メーカー主要105社における価格改定動向について調査を行った。

<調査結果(要旨)>

  1. 1月値上げは580品目 前年から約200品目減、3カ月連続の1000品目割れ
  2. お好み焼き粉やツナ缶、菓子パンなど値上げ 昨年に続き複数回値上げも
  3. 内容量減による実質値上げも、「1個減」など目に見える形でインフレ実感へ

1月値上げは580品目 前年から約200品目減、3カ月連続の1000品目割れ

2023年の食品値上げ(12月31日時点)品目数月別2023年の食品値上げ(12月31日時点)品目数月別

この春までは食品値上げのラッシュが続く。2022年末までに決定した、23年中の飲食料品における値上げ品目数は、4月までの予定を含め累計7390品目に上った。品目数は前年と同じ時期(22年1-4月:4672品目)に比べて約60%多かった。1回あたりの平均値上げ率は18%に達し、2022年通年に比べても4pt、前年同時期の平均値(11%)からは7pt高い水準だった。22年に比べて大幅な価格引き上げを行う企業・食品が多く、値上げ率が大きく高止まりする原因となっている。

このうち、2023年1月単月の値上げは580品目だった。前年同月(789品目)に比べて209品目少なく、前年11・12月に続き3カ月連続で1000品目を下回る水準となった。ただ、2月には22年以降で2番目に多い規模となる4000超の品目で値上げが控えるほか、3月も既に前年同月を上回っており、春先にかけて値上げラッシュの第一波が到来する見通しとなっている。

2023年の値上げは前年の原材料価格の高止まりに加えて物流コストなどの上昇、急激に進んだ円安などの影響が長引き、コスト上昇分を緩やかに価格へ反映する動きが目立つ。特に、近時は落ち着いた推移を見せているものの、前年初めに比べると大幅な円安水準であることもコスト増に拍車をかけ、改定幅を大幅に上回るコスト増に直面したことも値上げラッシュが長期化する原因となっている。

お好み焼き粉やツナ缶、菓子パンなど値上げ 昨年に続き複数回値上げも

主な食品分野 価格改定の動向主な食品分野 価格改定の動向

2023年の値上げで最も多い食品分野は加工食品の3897品目だった。全体の半数超を占めたほか、かまぼこなど水産練り製品や冷凍食品などを中心に2月に値上げが集中している。次いで焼酎や輸入ワイン・ウイスキー、リキュール類など酒類を中心にした酒類・飲料(1446品目)、ドレッシングや醤油、つゆ・たれ製品を中心とした調味料(1417品目)と続いた。嗜好性の強い菓子(526品目)では、本体価格の引き上げではなく内容量減による価格維持=「実質値上げ」の傾向が目立つ。原材料でも、家庭用オリーブオイルなど食用油で再値上げの動きがみられた。

このうち、1月単月の値上げでは加工食品が最も多く378品目だった。ツナ缶などの水産缶詰製品のほか、お好み焼き粉といった加工粉製品、パスタソースなどが中心で、1月の値上げのうち約半数を占めた。米菓やパンなどでも実質値上げの動きがみられた。

内容量減による実質値上げも、「1個減」など目に見える形でインフレ実感へ
2023年の値上げでは、価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」のケースが増えている。今後も、既に複数回値上げを行った菓子などの嗜好品、日常的に購入する食品などでは、気軽に購入できる店頭価格を維持するため実質値上げが選ばれる可能性がある。ただ、短期間かつ複数回に及ぶ実質値上げは1枚・1個単位での内容量減をより実感しやすくなる側面もあり、消費者目線では前年以上に「目に見える形」でのインフレを実感する年になりそうだ。

足元では、原油価格をはじめとしたエネルギーや食料品コスト、円・米ドル為替相場といったコスト上昇速度は落ち着き、緩やかな減速の兆しもある一方、依然として高止まりの状態が続いている。消費者に近い製品・業種ほど価格転嫁も十分に進んでおらず、前年分のコスト増を持ち越す形で、23年もしばらくは値上げの動きが続くとみられる。

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