meijiのプレスリリース
研究成果概要
OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取により、
①インフルエンザワクチン接種後の血中抗体量が上昇し、ワクチンの効果が増強されることを確認しました。
②喉の不調、上気道炎などの感冒症状の累積発生日数が減少することを確認しました。
季節性インフルエンザは、咳や高熱などの症状だけでなく、重症化して入院や死亡に至る合併症を引き起こすことがあります。特に今シーズンは3年ぶりに全国で流行期入りしており、近年流行している新型コロナウイルスと同時感染すると新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高まるとの報告もあり※1、インフルエンザへの感染予防対策が重要です。感染予防対策としてワクチン接種が有効ですが、人によっては接種しても感染予防に十分な量の抗体が産生されないとの課題もあります。
本研究では、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取により、インフルエンザワクチン接種後の血中抗体量が上昇し、感冒症状（喉の不調、上気道炎など）の累積発生日数の減少が確認されました。本結果からOLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取により獲得免疫※2が活性化することで、抗体ができにくい人への体調維持にも貢献できる可能性が示唆されます。
また、過去の研究では、本ヨーグルトの摂取による、ウイルス感染細胞の排除に重要なナチュラル・キラー細胞（NK細胞）の活性化も確認されています※3。これらの結果から、本ヨーグルトはインフルエンザワクチンの効果の増強といった獲得免疫の活性化、NK細胞の活性化といった自然免疫※4の活性化により、インフルエンザを含む感冒の原因ウイルスの感染を抑制することが示唆されました。
当社は、今後も健康課題と向き合った研究を続け、人々が笑顔で健康な毎日を過ごせる未来の実現を目指してまいります。
※1 出典：Swets MC, et al. Lancet, 399(10334):1463-1464, 2022.
※2 獲得免疫：一度侵入した病原体の情報を記憶し、再び侵入された時にいち早く対処する働きのこと。
※3 出典：Makino S, et al. Br J Nutr, 104(7):998-1006, 2010.
※4 自然免疫：人間にもともと備わっている仕組みで、免疫細胞が自分と自分以外（非自己）を認識することで、非自己である病原体をいち早く認識して攻撃する働きのこと。
論文内容
【タイトル】
Consumption of yogurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 augments serum antibody titers against seasonal influenza vaccine in healthy adults
（OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取は健常成人において季節性インフルエンザワクチンに対する血清抗体価を上昇させる）
【方法と結果】
試験①
健常な男子大学生40名（18～25歳）にインフルエンザワクチン接種の3週間前から接種10週間後まで※5、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトまたはプラセボ（酸性乳飲料）を毎日摂取してもらい、インフルエンザワクチン株に対する血清抗体価を継時的に測定しました。その結果、ヨーグルトの摂取はプラセボの摂取に比べてインフルエンザA型（H3N2）、B型に対する抗体価を上昇させました（図1）。
図1 抗体価の推移（試験①） #：ヨーグルトとプラセボの間に有意差あり（p < 0.05）
試験②
試験①は男子大学生を対象としましたが、より幅広い世代の男女での効果を検証するため試験②を実施しました。健常成人男女60名（25~59歳）にインフルエンザワクチン接種の3週間前から接種6週間後まで、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトまたはプラセボ（酸性乳飲料）を毎日摂取してもらい、インフルエンザワクチン株に対する血清抗体価を継時的に測定しました。その結果、ヨーグルトの摂取はプラセボの摂取に比べてインフルエンザA型（H1N1）、B型に対する抗体価を上昇させました（図2）。また、ワクチン接種の3週間後から12週間後における感冒症状（喉の不調、上気道炎など）の累積発生日数を減少させました（図3）。
図2 抗体価の推移（試験②）
#：ヨーグルトとプラセボの間に有意差あり（p < 0.05）
図3 感冒症状の累積発生日数 感冒症状はインフルエンザ以外の感染症も含む
【結論】
以上の結果から、OLL1073R-1株で発酵したヨーグルトの摂取はインフルエンザワクチンの効果を増強し、体調維持に貢献することが示唆されました。
※5 ワクチン接種の5週間後から8週間後は冬休み期間のため試験食品摂取なし。
