食品値上げ、3月も3000品目超 値上げトレンド「小分け×小幅」へ 8月にも年内値上げ2万品目突破の可能性

TDBのプレスリリース

帝国データバンクは、上場する食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査を行った。

<調査結果(要旨)>

  1. 3月も3000品目超の値上げラッシュ、8月にも年内累計2万品目突破の可能性
  2. 菓子類の値上げ、単月で過去最多 乳製品の値上げも前年超えのハイペースで進む
  3. 「小分け×小幅」値上げへとトレンド変化、値上げラッシュは年内続く可能性高まる

3月も3000品目超の値上げラッシュ、8月にも年内累計2万品目突破の可能性

今年春までは大規模な値上げラッシュが続く。2023年における家庭用を中心とした飲食料品の値上げ品目数は、2月までに累計1万5813品目に上った。このうち、今年1-4月までの累計品目数(1万4451品目)は、前年と同じ時期(22年1-4月:5573品目)に比べて3倍ペースで推移している。また、2022年に実施された値上げでは、1.5万品目を突破するのに要した期間が9カ月だったのに対し、23年はそれより4カ月早く到達する見込みとなる。このうち2023年3月単月の値上げは加工食品を中心に3442品目となり、前年同月(1760品目)に比べて約2倍に達した。ただ、4月には今年最多の2月(5528品目)に迫る4892品目が、5月以降も合計1000品目超の値上げが既に予定されている。値上げラッシュは今春を「ヤマ場」としながらもなお収束の気配は見せておらず、8月にも予定ベースで累計2万品目を突破する可能性がある。

2023年に予定される値上げ1.5万品目のうち、原材料高が理由となったものは98%以上(品目数ベース)と、ほぼ全てで原材料高が理由にあげられた。一方で、原油高などのエネルギー(86%)、プラスチック容器などの包装・資材(70%)のほか、円安(21%)なども理由にあがった。物流コストや輸入コスト上昇が続き、製品価格へ緩やかに反映する動きが目立っている。

菓子類の値上げ、単月で過去最多 乳製品の値上げも前年超えのハイペースで進む
2023年3月の値上げで最も多い食品分野は加工食品で1753品目となり、単月全体の約半数を占めた。ちくわをはじめ水産加工品のほか、2月に続き冷凍食品でも値上げが多くみられた。次いで多いのが菓子で593品目に上り、煎餅やグミ、氷菓などを中心に値上げが行われる。また、菓子における値上げ品目数は、単月としては22年9月(453品目)を上回り最多を更新した。

2023年では加工食品(8022品目)が最多で、2月に続き4月もチルド麺や缶詰製品、ウィンナー製品の大規模な値上げラッシュが控える。注目されるのは飼料高などで生乳取引価格が上昇している乳製品(760品目)で、牛乳やバター、ヨーグルト製品で4月に一斉値上げが行われる。前年累計(1225品目)に迫る勢いで推移しており、今後さらに増加する可能性もある。

「小分け×小幅」値上げへとトレンド変化、値上げラッシュは年内続く可能性高まる
 2023年の食品値上げは4月までに1万5000品目を突破する見込みで、値上げの動きが早期に収束する気配は全く見られない。こうしたなか、足元では「1回での大幅値上げ」から、コストアップの長期化を見越し、柔軟に価格を改定する「複数回・小分けした小幅な値上げ」へのトレンド変化がみられる。そのため、月ごとの値上げは加工食品や菓子などを中心に22年に比べ多くなる見通しで、23年の値上げ品目数累計は8月にも2万品目を超える可能性がある。

今後は、4月に控える「輸入小麦」の価格改定に加え、既にマヨネーズなどの値上げに影響を及ぼしている「鶏卵」の供給動向が注目される。また、物流コストや容器代などのコスト増による値上げが、小型PETボトル製品やビール・RTD飲料製品にも及ぶかが注視したいポイントとなる。

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