関大のプレスリリース
【本件のポイント】
・150年前のレシピ本をひもとき、西洋料理による東アジアの文化や生活への影響を探究
・東アジア文化研究を先導する本学と料理界を牽引する辻調グループとの協働による知の交流
・文部科学省私立大学研究ブランディング事業に選定されたプロジェクトの一環
1840年代の中国。上海を含む5つの港が対外的に門戸を開いて以来、次々に来華した西洋人たちは食生活の面でも自分たちの習慣を持ち込みました。当時のレストランやホテルで外交官や宣教師などの西洋人にふるまわれた料理は、西洋人の調理師が中国国外の食材を使って調理したもので、西洋料理は中国人にとって未知のものでした。
1866年、1冊の西洋料理のレシピ本『造洋飯書』が上海で出版されました。西洋人の雇用する中国人が西洋料理を知らなくても調理できるよう、食材や調理法が英語と中国で書かれていました。もともと西洋料理を中国人に広く紹介するために書かれた本ではありませんでしたが、後々西洋料理は中国人の上流階級を中心に食され、大衆化して家庭に普及するようになります。
本研究会では、中国における西洋料理の黎明期に出版された『造洋飯書』にふれながら、西洋料理が中国をはじめとする東アジアで取り入れられ、浸透・大衆化する中で、食文化だけでなく、言語や価値観、ライフスタイルなどの文化にどのような影響を及ぼしたかを探究します。
■KU-ORCAS(関西大学アジア・オープン・リサーチセンター)
2017年度文部科学省私立大学研究ブランディング事業(タイプB:世界展開型)に選定された「オープン・プラットフォームが開く関大の東アジア文化研究」を推進する世界最高水準研究拠点。長年培われてきた東アジア文化研究の学術リソースと国際的なネットワークを基盤に、デジタルアーカイブを構築し、研究リソースやノウハウをオープン化。これまでの学問領域や人の垣根を越えた新たな人文知の創造に向けて、世界に開かれたオープン・プラットフォームを形成している。
■『造洋飯書』
1866年に上海で出版された西洋料理のレシピ本。西洋料理を中国人に広く紹介するために書かれたものではなく、中国の料理人が西洋人のための食事をスムーズに用意できるよう、もともとは著者本人のために執筆したものであった。メインディッシュやデザートの食材や調理法のほか、洗濯法や石鹸の作り方に至るまで約270品目が記載されている。英語と中国語の索引など、中国語を話せない外国人が希望する品目を指差しすることで、料理人が準備できるよう工夫されている。
<KU-ORCAS研究会「近代東アジアにおける西洋料理の伝播と受容」の概要>
【日 時】2月9日(土)13:30 ~ 16:30
【場 所】千里山キャンパス 以文館4階セミナースペース
大阪府吹田市山手町3-3-35
(阪急千里線「関大前」駅北出口から徒歩約10分)
【プログラム】
13:30~ 内田 慶市(関西大学アジア・オープン・リサーチセンター長、外国語学部教授)
14:00~ 余田 弘実(龍谷大学文学部教授)
14:45~ 東四柳 祥子(梅花女子大学食文化学科准教授)
15:15~ 八木 尚子(辻調グループ辻静雄料理教育研究所副所長)
16:15~ 総合討論
【今後の予定】
今後は料理を中心とした当時の文化背景や人物にも焦点をあてた研究を進め、
さらにレシピの再現やデータベース化の試みも予定しています。
▼本件の詳細▼
関西大学プレスリリース
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/pressrelease/2018/No87.pdf
▼メディア関連の方▼
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