キユーピー株式会社のプレスリリース
関東大震災から100年の節目となる今年、「やさしい献立」の備蓄提案を強化し、一般食だけでなく介護食など“配慮が必要な食事の備え”のさらなる浸透を目指します。
4月12日の授賞式の様子
※1 日常の食事から介護食まで幅広く使える、食べやすさに配慮した食品。かたさや粘度に応じて、日本介護食品協議会により制定された4区分(容易にかめる・歯ぐきでつぶせる・舌でつぶせる・かまなくてよい)と、とろみ調整で構成。
- 受賞概要
受賞内容:SDGs・災害食大賞©2023「ローリングストック部門」最優秀賞
受賞商品:キユーピー「やさしい献立」シリーズ
選考理由:
災害時のローリングストックとして、栄養面で優れている。日常的にも、介護食としてやさしい味でとろみがついていてお年寄りも安心して食べられる。
- 取り組み紹介
2011年東日本大震災発生後、「やさしい献立」を含めた支援物資を従業員が運び出す様子
やわらかくする必要がある介護食など“配慮が必要な食事”は、通常の食事に比べて災害時の確保が難しいことから、自然災害が多発する近年、キユーピーでは「やさしい献立」の備蓄提案を続けています。また、自然災害発生時には、行政からの要請を受け「やさしい献立」を災害食として積極的に提供しています。
(1)災害時の心的ストレスが食事に影響も。栄養補助食品などとセットで提案
災害時は、心理的なストレスから、よりやわらかい食事しか食べられなくなったり、またその変化が加速したりするリスクが潜んでいます。普通食の人でも、通常の固さの食事が食べられなくなってしまうことがあります。キユーピーでは、お客さま、流通、病院・施設などに対し、「やさしい献立」と一緒に、栄養補助食品などを取り揃える「ジャネフ」の商品を提案することで、災害時のさまざまなリスクに対応した備えの啓発を続けています。
㊧各種栄養素を総合的に取りたい方向けの「ジャネフ ファインケア」(栄養機能食品)㊥エネルギーとタンパク質を取りたい方向けの「ジャネフ ワンステップミール 料理に混ぜる栄養パウダー」㊨甘くない味でエネルギーを取りたい方向けの「ジャネフ ワンステップミール」
ローリングストックを提案する リーフレット(一部抜粋)
(2)防災グッズとのセット販売や介護用品へのリーフレット添付などによる啓発活動
防災グッズと「やさしい献立」のセット販売を提案したり、ローリングストックについて解説したリーフレットをおむつなどの介護用品に添付したりと、さまざまな方法で備えに対する啓発活動を実施しています。リーフレットの制作は、東日本大震災を経験したキユーピーの従業員が担当し、当時の教訓を基にローリングストックのポイントを分かりやすくまとめています。「やさしい献立」公式サイトでも、ローリングストックの情報を公開しています。
「やさしい献立」公式サイト内のローリングストック紹介ページ
https://www.kewpie.co.jp/udfood/stock/
(3)賞味期間を延長し、介護施設におけるBCP義務化の対応をサポート
令和3年度介護報酬改定※2に伴い、全ての介護サービス事業者を対象に、感染症や災害発生時の業務継続に向けた計画等(BCP:Business Continuity Plan)の策定が義務化され、介護現場では非常食を準備する動きが加速しています。昨年9月、「やさしい献立」シリーズ約6割の賞味期間を19カ月から25カ月に延長し、在宅向けだけでなく施設向けの備蓄提案も強化しています※3。
※2 令和3年1月18日に厚生労働省が公表。新型コロナ感染症拡大や大規模災害の発生状況を踏まえて「感染症や災害への対応力強化」が加えられ、3年間の経過措置はあるものの、BCP策定、研修・訓練の実施などが義務付けられた。被災時、行政支援開始目安の3日目まで自力で業務継続するための備蓄が求められている。
※3 キユーピーアヲハタニュース 2022年 No.85 参照
https://www.kewpie.com/newsrelease/2022/2674/
- 訪問栄養の現場から
宮城県仙台市 ないとうクリニック 在宅訪問管理栄養士 伊藤 清世先生
やわらか食やペースト食は、加熱やミキサー攪拌にライフラインを使用するため、災害時には準備が難しくなります。救援物資のほとんどが“常食”のため、災害で義歯を失くして食べられず少しずつやせてしまったり、歯みがきができず口腔機能が低下したりと、災害から数日経って食べることに支障が出てくることも少なくありません。また、大切な人や物を失った悲しみなどから食事が取れない日々が続き、食べられるようになった時にはやわらかいものしか食べられない口腔機能になっていることもあります。こういったことから、高齢者世帯や病院、施設では介護食品の備蓄が必要です。
一方で、被災時、食べ慣れていない介護食品や栄養補助飲料は「体に良いから」「栄養バランスが良いから」という理由だけでは食べにくいものです。備蓄食を普段の食事に取り入れたりすることで災害時にも抵抗なく食べられることにつながります。私が所属している施設では備蓄食の栄養補助飲料を年2回、おやつの時に提供し、災害時に役立つことをお話ししています。
- SDGs・災害食大賞©とは
「SDGs・災害食大賞©2023」は、優れた非常食・災害食を選出し表彰するものです。2016年に一般社団法人防災安全協会によって創設され、今年は「SDGs取組み部門」「お米・炭水化物部門」「缶詰部門」「レトルト部門」「ローリングストック部門」「健康・アレルギー対応部門」に、92品目のエントリーがありました。「ローリングストック部門」は、特にコロナ下に日常備蓄・ローリングストックが注目された背景を受け、2021年に新設されました。各部門で、審査員による試食と災害時に必要と思われる食べやすさ・保存しやすさ・栄養バランス等の観点から審査が行われます。
- キユーピー「やさしい献立」シリーズとは
「やさしい献立」は、UDFの規格に準拠した市販用介護食です。1998年に日本初の市販用介護食(当時は「ジャネフ」ブランド)として発売し、現在では、かむ力・飲み込む力に合わせた4つの区分ととろみ調整からなる全54品の豊富なラインアップです※4。
「やさしい献立」公式サイト https://www.kewpie.co.jp/udfood/
※4 容易にかめる(6品)、歯ぐきでつぶせる(10品)、舌でつぶせる(21品)、かまなくてよい(14品)、とろみ調整(3品)