児童の口腔機能がフーセンガムトレーニングにより向上!!健口スマイル推進事業として初となる幼稚園での実証実験

株式会社ロッテのプレスリリース

株式会社ロッテ(代表取締役社長執行役員:牛膓 栄一)はこの度、「健口スマイル推進事業の展開に関する連携協定」を締結する公益社団法人山口県歯科医師会(会長:小山 茂幸)と、口腔機能トレーニングとしてフーセンガムに注目した実証実験を学校法人徳山めぐみ幼稚園(山口県周南市/園長:村田 佳奈)のご協力にて実施し、フーセンガムトレーニング前と比較し児童の口腔機能が向上することを確認しました。本研究成果は「薬理と治療 (2023年51巻4号)」に論文掲載されました。

 近年、歯ごたえのある食物を噛めない、上手に飲み込めないといった子どもが増加しており、口の発達の重要性が認識され、口腔機能発達不全症の管理が2018年より保険収載されました。また、口腔機能発達不全の一つである口唇閉鎖不全(お口ポカン)はむし歯や歯周病、鼻閉、アレルギー、歯並びの悪化など様々なトラブルの要因となると言われています。一方、山口県内の保育所、幼稚園、認定こども園等を対象にしたアンケート調査結果

( *1)から子どもたちの口腔機能の低下を懸念する声が多く挙がりました。そのための対策として手軽に楽しく口腔のトレーニングができるフーセンガムの実証実験を行いました。その結果、子どもの口腔機能の健全な発育の一助になる事が分かりました。

*1:健口スマイル推進事業 子どもの口腔衛生に関するアンケート(2021年)

フーセンガムトレーニングの様子       上口唇捕捉テスト        フーセンガムを膨らませる様子フーセンガムトレーニングの様子       上口唇捕捉テスト        フーセンガムを膨らませる様子

  • 研究概要

近年の食の軟食化や、長期にわたるマスク着用の影響などにより、子どもの口腔発達が危惧されています。そこで本研究では「噛む」「舌を動かす」「口をしっかり閉じる」など口腔機能の発達に必要な要素が多く含まれるフーセンガムを用いて、幼稚園や自宅で簡単に楽しくトレーニングを行い、子どもの口腔機能向上検証を目的としました。

【対象】幼稚園年長児56名

【方法】平日毎日幼稚園にて1回2粒10分間のフーセンガムトレーニングを、休日は各家庭にて同様のトレーニングを70日間行ってもらい、咀嚼チェックガムを用いた咀嚼能力測定や、上唇の捕捉を観察する上口唇補足テスト  (タマゴボーロを上唇を使い捕捉)を行いました。

  • 研究結果

フーセンガムトレーニングを行うことで、咀嚼能力および唇の巧緻性の向上が認められました。また、トレーニング前と比較しフーセンガムを膨らませられる園児も大幅に増加しました。

■公益社団法人山口県歯科医師会 小山会長 コメント

 近年、子どもたちの口腔機能の発達不全が問題となっています。咀嚼力が弱い子どもや歯並びが悪い子ども、お口ポカンの子どもが増えており、人生100年時代を健康に生活するために口腔機能発達不全に対応する事が急務です。そのための方法が、まだ幼稚園や保育園において浸透しておらず、どうしたらよいか分からない教育現場が多いという課題があります。

 健口スマイル推進事業がスタートした2021年3月以降、官民が協働で口腔衛生意識の向上を通じ山口県民の健康寿命の延伸を応援する取組を行ってきました。この度、幼稚園の協力を得て、本事業としては初めて、子どもたちの口腔機能発達に関する実証実験を行うことになりました。フーセンガムトレーニングは、「噛む」・「舌を動かす」・「口をしっかり閉じる」など口腔機能の発達に必要な要素が多く含まれるだけではなく、子どもたちが楽しみながら実践できる非常に有意義なものです。今回の実証実験により、有効性が科学的に証明されたこともあり、新しい簡単なトレーニングツールとして、多くの

                                                           教育現場や保護者に浸透させていきたいと考えています。

  • 「健口スマイル推進事業」とは

公的機関(山口県・山口県歯科医師会・山口県歯科衛生士会)と民間事業者(ロッテ・サンスター・ライオン・山口フィナンシャルグループ)、それぞれが持つ特性や知見を連携・融合させ、「健康と笑顔は口元から」を合言葉に、口腔衛生意識の向上を通じ山口県民の健康寿命の延伸を応援する事業です。
(1)学校から家庭、職場における口腔ケア意識を定着化させ健康寿命の延伸を応援します。

(2)かかりつけ医の定着による歯科定期健診の充実を目指します。

ロッテは、ESG中期目標として、健康のために「噛むことを意識し、行動する人」、「キシリトールを生活に取り入れる人」の割合を2028年までにそれぞれ50%とすることを目標として掲げ、事業展開をしております。

ロッテの掲げる目標や達成に向けた課題意識が一致したため、

連携し、取り組みを行う運びとなりました。

                   <研究結果概要>

【掲載紙】

 薬理と治療 (2023年51巻4号、581-586)

 タイトル:フーセンガムトレーニングによる幼稚園児の口腔機能への影響

 著者:松井 美咲、菅野 範、坂ノ下 典正、毛利 彰太、岡林 一登、角 真人、山野 渉、

    南﨑 信樹、實能田 尚、戸井 正樹、小山 茂幸

【研究背景・目的】

 近年、硬く歯ごたえのある食物を噛めない、上手に飲み込めないといった子どもが増加しています1) 2)。加えて、約3割の子どもが「お口ポカン」を有している現在3)、子どもの口腔機能への対応は必要不可欠です。そこで、簡単に楽しく遊べるフーセンガムに着目し、フーセンガムトレーニングによる口腔機能への影響を教育現場でも測定可能な簡便な方法で検証いたしました。

【研究方法】

 ■対象:健常な幼稚園年長児56名

 ■試験サンプル:フーセンガム(キシリトール バブルガム<フルーツミックス>)

 ■内容:平日毎日幼稚園にて1回2粒10分間のフーセンガムトレーニングを、休日は各家庭にて同様の

     トレーニングを70日間行ってもらい、介入前後に咀嚼チェックガムを用いた咀嚼能力測定や、

     上唇の補足を観察する上口唇補足テスト  (タマゴボーロを上唇を使い補足)を行いました。

【結果・考察】

 フーセンガムトレーニングの結果、介入前と比較して咀嚼能力や唇の巧緻性の向上が認められました。

フーセンガムトレーニングは単純な咀嚼だけでなく、舌や頬など口周りの様々な運動が要求されますが、誰でも実施できる簡単なトレーニングであり児童も楽しみながら継続できる口腔トレーニングとして、フーセンガムは最適なツールの一つではないかと考えます。

 参考文献

1)前田隆秀. 小児の摂食機能と行動(食べ方)に関する研究・第一報,咬合力,咀嚼力について.

 小児歯誌 1989 ; 27 : 1002-9.

2)岡崎光子. 幼児における咀嚼訓練の意義. 小児科 2000 ; 41 : 2167-2175.

3)Nogami Y, Saitoh I, Inada E, Murakami D, Iwase Y, Kubota N et al. Prevalence of an incompetent

 lip seal during growth periods throughout Japan: a large-scale, survey-based, cross-sectional

 study. Environ Health Prev Med 2021 ; 26 : 11.

  • あなたのお子さんは大丈夫?口腔機能の発達具合をチェック

ご自身のお子さんに症状があるかどうか、チェックしてみてください。複数当てはまったら要注意かもしれません。

日本歯科医学会

(日本歯科医学会のチェックシートを参考に作成 https://www.jads.jp/basic/pdf/document-200401-3.pdf )

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