CCCMKホールディングス株式会社のプレスリリース
本レポートは、CCCMKホールディングス株式会社がT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。
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食品ロス対策がマーケット構造を変える
食品ロスは世界的にみても大きな問題になっている。直近の21年度の国内における食品ロスは523万トンと世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量年間440万トンの1.2倍にも上る。国民1人当たりの排出量でみると、お茶碗約1杯分(約114g)が毎日廃棄されている状況にある。政府は2000年度の食品ロス量980万トンを2030年度には489万トンまで削減する目標を打ち出し、全体では削減傾向にあるがまだ目標には遠く、生活者・事業者ともに改善に向けた取り組みが必要だ。
こうした食品ロスの削減に貢献する取り組みとしてメーカー・リテイルの取り組みが加速しているのが食品の賞味期限・消費期限の見直しである。そして、この期限の見直しに伴う商品の変化が食品産業の中でシェアの転換につながる可能性もあり、大いに注目される。
コンビニエンスストアでは、「セブン‐イレブン・ジャパン」が弁当のチルド化を進めている。常温弁当の消費期限が約20時間なのに対し、チルド弁当の消費期限は1.5日~3日と長く、ロスの発生を抑制する上でも有効なアプローチだ。利用についても常温弁当から徐々にチルド弁当への転換が進んでおり、ベンダーの生産体制は今後、さらにチルドシフトが進展してくることは間違いない。
コンビニ業界ではさらに「ローソン」がおにぎりの冷凍販売の実験を開始し注目されている。まだ対象商品は6品、実験店舗は21店舗と少ないが、同社では動向を見ながら販売エリアを拡大し、25年度には全国拡大を目指している。
成長拡大が続くカット野菜市場でもサラダクラブが消費期限を従来の3日から4日に延長し、フードロス削減に向けた取り組みを進めている。カット野菜は生活者のストックニーズが強く1日でも消費期限が延びると利用は大きく変化する可能性がある。食品メーカーについても消費期限延長に向けた取り組みは加速している。「日清食品チルド」では従来の賞味期限である20日から60日まで延ばした商品を今秋から展開するが、この期限延長によりチルド麺は従来とは異なり、冷蔵庫に常備されるアイテムへの転換可能性も含んでいる。
包装技術の発達やメーカー、リテイルの企業努力により食品の賞味期限・消費期限は従来よりも大幅に延びてきている。従来は短日消費だったアイテムもこうした企業努力によりストック型の消費へ転換するなど、生活者の利用形態も変化しつつある。食品は常温・チルド・冷凍は温度帯による違いで市場分化してきたが、今後はアイテムによっては従来の温度帯とは異なる温度帯への拡張・転換可能性もある。企業イメージの転換にもつながり、利用転換も図ることができる食品ロス対策は今後もますます重要性を増す取り組みの一つと言えそうだ。
2023年7月の「産業天気予報」
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CCCマーケティング総合研究所が発信している情報
●社会変容・生活様式などの変化を、生活者視点から捉えた意識調査
●約7,000万人のデータをもとに、世代や地域の特性把握をした調査
●オンラインセミナーによる調査内容の発信
●小売7業界の生活者動向と見通しを月次発信する「産業動向レポート」「産業天気予報」
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CCCマーケティング総合研究所の概要
名称:CCCマーケティング総合研究所(CCCマーケティング総研)
URL:https://thinktank.cccmk.co.jp/
設立:2020年7月21日
所長:新橋実
生活者の消費データ、インサイトや心の変化、さらには社会環境や経済情勢などを踏まえ、生活者のみなさまの「ちょっといいな」を実現するために、2020年に発足しました。我々は『生活者の皆さまと共に歩み、共に考えるシンクタンク』として生活者の意識把握に努め、その声をもとに「データ」×「クリエイティブ」×「コンサルティング」のチカラによって皆さまの未来創造に伴走します。