「ガム咀嚼トレーニング」により高齢者の噛む力が向上することが明らかに

ロッテ・東京医科歯科大学の研究グループによる共同研究

株式会社ロッテのプレスリリース

株式会社ロッテ(代表取締役社長執行役員:牛膓 栄一)はこの度、東京医科歯科大学の水口俊介教授、金澤学教授らのグループとの共同研究により、「ガム咀嚼トレーニングが高齢者の噛む力(最大咬合力)を向上する」ことを確認しました。本研究成果は国際科学誌「Journal of Clinical Medicine (2023年12巻20号)」に掲載されました。
ガム咀嚼トレーニングは、要介護認定や死亡リスク増加につながる口腔機能低下を抑制することが期待できます。ぜひ、口腔機能改善のためにガムを噛んでみてはいかがでしょうか。

■研究概要

先進国、特に超高齢社会を迎えている日本では、歯科分野における予防ケアの必要性が高まっており、健康寿命との関連性が高い口腔機能の維持・向上を図るための簡便かつ効果的なトレーニング法の開発が求められています。そこで本研究では、高齢者のガム咀嚼トレーニングによる口腔機能への影響を検証することを目的として実施しました。

【対象】65~82歳の噛む力の衰えを自覚する高齢者211名(無作為化二重盲検並行群間比較試験)

【方法】ガム咀嚼(ガム群)または顆粒食品摂取(顆粒群)介入を1日3セット、2か月間行ってもらい、

    介入前後に口腔機能測定を行いました。

■研究結果

ガム咀嚼トレーニングにより介入後の噛む力が顆粒群より有意に高いことが確認されました。また、ガム群は介入前後で噛む力が向上することが確認されました。

  • 東京医科歯科大学 水口俊介教授 コメント

健康寿命との関連性が高い口腔機能は、適切な診断、管理、動機付けにより、その低下予防や維持および回復も期待できます。したがって、簡便かつ効果的なトレーニング法の開発が求められています。

ガムは嗜好性が高く、安価で容易に入手できる食品です。さらに、ガムは長期間その弾力性を維持するため、口周囲の筋肉に継続的に負荷をかけることができます。実際に今回の研究からも、2か月間のガム咀嚼トレーニングにより高齢者の噛む力が改善する結果が得られました。

ガム咀嚼は他にもストレスを軽減し、気分を改善することや認知機能の改善効果が示されています。したがって、ガムは非常に効果的なトレーニングツールとして期待できると考えます。皆さんも口腔機能の維持・改善のために是非ガムを噛んでもらえればと思います。

プロフィール:

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 教授 

加齢による高齢者の口腔の変化に関する研究、摂食嚥下リハビリテーション研究、口腔機能と栄養状態に関する研究、噛むことによる咬合・咀嚼機能回復に関する研究など、健康長寿社会の実現に向けた研究を幅広く推進している。

                   <研究結果概要>

【掲載紙】

 Journal of Clinical Medicine (2023年12巻20号6534)

 タイトル:Improvements in Maximum Bite Force with Gum-Chewing Training in Older

      Adults: A Randomized Controlled Trial

      (高齢者におけるガム咀嚼トレーニングによる最大咬合力の改善: ランダム化比較試験)

 著者:柏﨑 健汰、駒ヶ嶺 友梨子、WU SHANGLIN、Xiangyu Ren、林 七夏、中山 魅来、

    NAMANO SAHAPROM、金澤 学、水口 俊介

【研究背景・目的】

 先進国、特に超高齢社会を迎えている日本では、歯科分野における予防ケアの必要性が高まっており(※1)、健康寿命との関連性が高い口腔機能は、適切な診断、管理、動機付けにより、その低下予防や維持および回復も期待できます(※2)。

したがって、簡便かつ効果的なトレーニング法の開発が求められています。

 そこで本研究では、高齢者のガム咀嚼トレーニングによる口腔機能への影響を検証することを目的として実施しました。

【研究方法】

 ■対象:65~82歳の噛む力の衰えを自覚する高齢者211名(無作為化二重盲検並行群間比較試験)

 ■試験サンプル:試験用ガム(ガム群107名)、顆粒食品(顆粒群104名)

 ■内容:ガム群は1セットあたり1枚×2回で、ガムが均一になるまで咀嚼を行った。顆粒群は1セット

     あたり1袋を20ml以上の水で溶かして摂取した。両群とも1日3セットの摂取を2か月間実施し、

     介入前後で口腔機能を測定した。

【結果・考察】

 ガム咀嚼トレーニングにより介入後の噛む力(最大咬合力)が顆粒群より有意に高いことが確認されました。また、ガム群は介入前後で噛む力が向上することが確認されました。したがって、ガム咀嚼トレーニングは口腔機能低下を改善する可能性が高いことが示唆されました。

 参考文献

※1) Minakuchi, S. Philosophy of oral hypofunction. Gerodontology 2022, 39, 1–2.

※2) Matsuo, K. Oral hypofunction: Management and future direction. Jpn. J. Gerodontol. 2018, 33, 304–311.

  • 噛むチカラを、みんなのチカラに。

株式会社ロッテでは、様々な自治体や研究機関・企業と連携し、最適な“噛む”を提供することで、皆さまの力になりたいと考え、『噛むこと研究部』を設立しています。噛むことが、脳や心、身体にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的に活動を行っております。「お口の恋人」として今後も皆さまに寄り添い、噛むことの研究を進め、有効性を広く啓発してまいります。

また今後、その研究成果を本リリースのような形で発信し、噛むことが生きる活力となりえる情報をご提供してまいります。ぜひご期待ください。

▶噛むこと研究室ホームページ https://www.lotte.co.jp/kamukoto/

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