ASTRA FOOD PLAN、「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト2024」を始動。深谷市、久喜市、富士見市と連携。

昨年度までの実績をもとに、産学官連携で地域ごとの「食の循環モデル」の確立を目指す。

ASTRA FOOD PLAN株式会社のプレスリリース

 「サステナブルな社会の実現」をミッションに掲げるフードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN 株式会社(埼玉県富士見市、代表取締役社長:加納 千裕 以下ASTRA FOOD PLAN)は、2024年6月20日付で「令和6年度埼玉県サーキュラーエコノミー型ビジネス創出事業補助金」に採択され、埼玉県内で「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト2024」(以下、本プロジェクト)を始動することをお知らせします。

 本プロジェクトでは、2024年7月から2025年2月までの期間で、昨年度までの実績をもとに、深谷市、久喜市、富士見市の事業者や自治体、埼玉県内の大学と連携し、地域ごとの「かくれフードロス」削減と食の循環モデルの確立を目指します。

昨年度までの取り組み

第一回「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト2023」

 ASTRA FOOD PLANでは、地域の「かくれフードロス」削減と食の循環モデルの構築を目指し、昨年度も「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト」を実施し、地域の規格外農作物などから生まれた『ぐるりこ®』の栄養や香りの分析、『ぐるりこ®(※1)』を使った商品開発をメインに取り組みました。

 女子栄養大学と日本薬科大学の学生が、県内7店舗の飲食店や富士見市学校給食センターと『ぐるりこ®』を使用した新メニューを共同開発したほか、富士見市内の全17小中学校の学校給食として提供され、小学生には「かくれフードロス」削減に向けた食育プログラムも実施しました。

 また、過熱蒸煎機によって製造された『タマネギぐるりこ®』は、従来の熱風乾燥で製造されたものと比べ、最大135倍の香りがあるなど、栄養や香りに関する優位性も実証されました。

(※1)『ぐるりこⓇ』とは 

規格外農作物や野菜の端材等を過熱蒸煎機で乾燥・粉末化した食品パウダーの総称。栄養価が高く、香りやうまみが凝縮さ れているのが特徴です。『ぐるりこⓇ』は特許庁商標登録済み商標です。

富士見市内の小学校に提供された学校給食
学生が考案した「ぐるりこメニュー」の中間試作報告会

▼学生が考案した「ぐるりこメニュー」について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000099210.html

▼『埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト2023』最終成果報告会

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000099210.html

「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト 2024」の概要

 今年度は、昨年度までの実績をもとに、富士見市だけでなく、深谷市、久喜市とも連携し、事業者や埼玉県内の大学を巻き込みながら、地域ごとの「かくれフードロス」削減と食の循環モデルの確立を目指します。

①規格外農作物のルールメイキングと生産者の収益向上

 昨年度のプロジェクトを通して、栽培した農作物のうち40%が規格外品や端材、余剰品として廃棄されている実態が明らかになりました。現在の農作物の規格の下に、新たな粉末化原料のための規格を設定し、『ぐるりこ®』の原料として農協が買い取る仕組みを作り、生産者の収益向上を目指します。従来と同じ商流で、生産した作物を集荷センターに持ち込んで販売する、形を崩さない循環型モデルを構築します。

②「過熱蒸煎機」導入のシミュレーション

 産地で発生する「かくれフードロス」を削減するためには、大手企業に対するスキームとは異なり、地域のロールモデル化が必要です。昨年度は、原材料調達と販路に苦戦し、商品開発がメインの取り組みとなりましたが、今年度は実際に装置導入を検討している株式会社ペリカン(埼玉県久喜市、代表取締役:原田洋志氏)を中心に、リアルなシミュレーションを実施し、課題の原材料調達と販路を確立し、地域モデルの完成を目指します。

③『ぐるりこ®』の出口開拓と循環モデルの社会実装

 強い風味、高い栄養価の『ぐるりこ®』は、フリーズドライや熱風乾燥技術で製造された従来の食品パウダーとは特性が異なるため、新たな用途開発、販路開拓が必要となります。

女子栄養大学の学生と県内外の大手企業を含む事業者と連携して商品開発を実施します。実際に商品化して販売も行い、安定した出口の確立を目指します。


各市の活動詳細について

■深谷市での活動

・ねぎの青い部分の有効活用化

 深谷ねぎの産地として有名な深谷市では、ねぎの青い部分のアップサイクルに取り組みます。従来、ねぎの青い部分は、出荷の際に産地で切り落とされていました。この切り落とされたねぎの回収の仕組みづくりや、大手企業と連携して『ネギぐるりこ®』を使用した商品開発に取り組みます。

また、本プロジェクトを通して深谷市内の「過熱蒸煎機」導入企業の選定も行います。

■久喜市での活動

・青パパイヤの高付加価値化

 近年、生産者が減少し、耕作放棄地が増えている久喜市の菖蒲地域では、遊休農地に青パパイヤを生産する動きが広がっています。しかし青パパイヤは食感が固く、調理方法が限られていることが課題でした。この青パパイヤを過熱蒸煎機で粉末化し、久喜市の給食として提供するほか、健康面に訴求した商品開発を予定しています。

 

・「過熱蒸煎機」導入のシミュレーション

 久喜市で農産物の加工(選別、脱皮、粉砕等)を担う株式会社ペリカンに、「過熱蒸煎機」を導入し、原材料調達・商品開発・販売までのシミュレーションを行います。


■富士見市での活動

・『ぐるりこ®』の出口開拓と「かくれフードロス」を美味しく消費

 昨年に続き、女子栄養大学の学生が『ぐるりこ®』を使用した給食メニューの開発を行います。深谷市のねぎ、久喜市の青パパイヤのほか、県内の食品工場で発生するごぼうの端材や規格外農作物のにんじん、吉野家の玉ねぎの端材など、5種類の『ぐるりこ®』が使用される予定です。


・ふるさと納税への展開

 本社のAFPラボで製造した『ぐるりこ®』を、富士見市のふるさと納税の返礼品にする構想をしており、市役所と連携を図ります。


本プロジェクトの連携事業者

・深谷市役所:市内事業者との連携サポート

・久喜市役所:教育機関等の連携サポート

・JA南彩:規格外・余剰農作物の発生状況調査、集荷と販売

・株式会社ペリカン:「過熱蒸煎機」導入のシミュレーション

・富士見市役所:教育機関等の連携サポート、ふるさと納税返礼品の連携

・女子栄養大学:給食メニューの開発

・ATOMica:全体サポート

関係者コメント

■富士見市 星野光弘市長

 本市では、2030年SDGs達成に向けて、「みんなが活躍できる価値共創型都市~充実した日々の実現に向けて~」をテーマとした地域資源を生かした取り組みを進める提案が認められ、今年度、内閣府より2040年度「SDGs未来都市」に選定され、今後、SDGsを起点とした様々な取組みを推進していくための行政・市民・企業・教育機関等がつながるプラットホーム「SDGsフジミライテラス」を創設いたしました。

 ASTRA FOOD PLAN株式会社の過熱水蒸気技術を活かした食料自給率向上、人々の健康、地球環境負荷の軽減等といった課題解決に対する様々な事業は、本市の推進する持続可能なまちづくりの実現に向けた取り組みとも合致しており、これまでも密接な事業連携を図ってまいりました。

 昨年度に引き続き「埼玉県サーキュラーエコノミー型ビジネス創出に係る補助事業」として採択された、今年度新たに始動したプロジェクトに対しましても、産官学一体の連携サポート体制のもと最大限の支援と協力を図ってまいりたいと考えておりますので、ステークホルダーの皆様方のご支援、ご協力をお願いいたします。

■久喜市 梅田修一市長

 久喜市では、「人が笑顔 街が元気 自然が豊か 久しく喜び合う住みやすいまち 久喜」を将来像とし、SDGsの理念を踏まえたまちづくりに向けて様々な施策を推進しています。この度のASTRA FOOD PLAN株式会社の過熱蒸煎機を活用した規格外農作物等のアップサイクルにより、新たな「食の循環型モデル」を確立することで、地産地消の推進を図るとともに、生産者の収益向上や将来的な農地の保全にもつながるものと期待しております。市といたしましても、このような可能性を秘めたプロジェクトの実現に向け、最大限の協力を行い、持続可能なまちづくりにつなげていきたいと考えております。


■深谷市 小島進市長

 深谷市では、市の農業課題を解決する技術を持つ企業を市内に集積し、農業版シリコンバレーの実現を目指す「DEEP VALLEY」アグリテック集積の取組みを進めております。ASTRA FOOD PLAN株式会社の過熱蒸煎技術を活用し、「深谷ねぎ」の廃棄される部分を活用することができれば、「深谷ねぎ」の更なる価値向上とかくれフードロスの削減を達成することができ、ひいては市の農業を取り巻く課題の解決に繋がるものと期待しております。

 また、この事業は、本市出身で新一万円札の肖像となった渋沢栄一翁の提唱した「道徳経済合一説」にも通じるものです。ビジネスのみならず、社会課題の解決も達成しうるという点で、まさに道徳と経済の両立に繋がる取組みであり、官民一体でこの事業をサポートしてまいります。

■株式会社ペリカン 代表取締役 原田洋志氏

 株式会社ペリカンは「食品業界のお助けマン」として、これまで様々な食品加工に関わって参りました。選別・乾燥・粉砕は弊社の得意とする分野であり、39年間培った技術でそのままでは食べられない農産物を食品に変える取り組みを行っています。

 ASTRA FOOD PLAN社の掲げる循環型フードサイクル構築に賛同し、食品ロス削減、地域における新たなビジネスの創出で地元から世界へ貢献していきたいと考えております。

女子栄養大学 香川明夫学長

 女子栄養大学は、「食により人間の健康の維持・改善を図る」ことを建学の精神とし、数多くの自治体、教育機関、企業等との連携活動を行う中で、地域の健康な生活を支える取り組みを続けています。

 本学の卒業生であるASTRA FOOD PLAN社の加納千裕社長による「過熱蒸煎技術を活用した規格外野菜のアップサイクルによる循環型経済モデル」の推進は、本学が考えるSDGsのあり方と合致し、地域社会に貢献できるものであります。

 前年度の取組みに続き、「過熱蒸煎機」を使用する本プロジェクトは、今後も大いに可能性を広げていけるものであると確信しています。

ASTRA FOOD PLAN株式会社 代表取締役 加納千裕

 昨年に引き続き、「埼玉 食のサーキュラーエコノミープロジェクト」を補助事業として実施する運びとなり、大変嬉しく思っております。

 キックオフミーティングでプロジェクト参画者とディスカッションを行い、地域改題は地域によって様々であることを改めて理解しました。今回久喜市では「耕作放棄地の拡大」、深谷市では「農作物の未利用部位」を課題として、その対策に関わる取り組みを進めていきます。一方で、共通している課題としては「生産者の高齢化および農業資材高騰による収入減、人口減少」が挙げられました。

 「過熱蒸煎機」と『ぐるりこ®』による地域の「かくれフードロス」食材のアップサイクルの事業は、地域に合わせたビジネスモデルを構築することで、個別の課題も、全国共通の課題も、同時に解決できるのではないかと考えています。本事業で仮説検証およびシミュレーションを行い、実装に向けて本格的に取り組みを進めていきたいと思います。

令和6年度埼玉県サーキュラーエコノミー型ビジネス創出事業費補助金の概要 

 埼玉県は、資源の循環利用と県内産業の成長のため、サーキュラーエコノミーを推進しています。令和5年度から、県内中小企業等が連携して取り組むサーキュラーエコノミー型のビジネスの創出に係る経費を助成する補助金が新設されました。本補助金では採択事業1件につき最大750万円の助成が行われます。プロジェクト期間は、2024年7月から2025年2月までの約半年間です。

▼県政ニュース「【採択決定しました】令和6年度埼玉県サーキュラーエコノミー型ビジネス創出支援補助金(一次募集)について」

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0507/circular/hojyo/r6_hojyo1.html

「ぐんま Agri×NETSUGEN 共創」実証事業について

 群馬県の「かくれフードロス」削減を目指して、オリーブの栽培を行う農業スタートアップ「株式会社ジャングルデリバリー」などと連携し、年間数万トンの群馬県の未利用農作物を過熱蒸煎技術でアップサイクルする実証実験を開始しています。

地域ごとのスキームを確立して横展開を広げ、日本全国の「かくれフードロス」削減を目指します。

▼群馬県での実証実験について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000099210.html

循環型フードサイクル構築を目指す「ASTRA FOOD PLAN」

 ASTRA FOOD PLANは、過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置「過熱蒸煎機」を開発・販売しているフードテックベンチャーです。

「過熱蒸煎機」は、高い生産効率とコストパフォーマンスを実現したことから、従来コストの問題で有効活用できなかった食品工場で発生する野菜類の端材や、規格外品などの未利用農作物、飲料ざんさ等を、付加価値の高い食材にアップサイクルすることができます。食品ざんさ廃棄の課題を抱える事業者に「過熱蒸煎機」を販売すると同時に、本装置で作られる新たな食品原料『ぐるりこⓇ』の用途開発を食品メーカーと協力して行うことで、フードロス問題の解決を目指しています。

一般的な食品ロスの約4倍。年間2000万トンにおよぶ「かくれフードロス」の実態

 現在コンビニエンスストアや量販店の売れ残りなど、本来食べられるのにも関わらず廃棄される「食品ロス」が問題となっています。しかし、一般的に認知されている「食品ロス」の量には野菜の芯や皮、ヘタなどの食品ざんさや産地で発生した規格外農作物や余剰農作物などの未利用農作物が含まれていません。

環境省の「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)」(※2)によると、2022年における日本国内の食品ロスは、約472万トンと推計されていますが、農林水産省がまとめた「食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)」(※3)では、食品ざんさや未利用農作物などの不可食部分も含めた「食品由来の廃棄物等」の食品ロスが2531万トンにおよぶことがわかっており、大きな社会課題となっています。
ASTRA FOOD PLANは、この一般的な食品ロスの約4倍となる年間2000万トン(※4)の食品廃棄を「かくれフードロス」と呼び、その削減とアップサイクルに取り組んでいます。

(※2)「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)」

https://www.env.go.jp/press/press_03332.html

(※3)

消費者庁『食品ロスについて知る・学ぶ』

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/

(※4)

「年間2000万トンのかくれフードロス」=「2531万トン(食品由来の廃棄物等)」-「約570万トン(本来食べられるのにも関わらず廃棄される食品ロス)」

過熱蒸煎機について

『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可能な装置です。以下の3つの特徴により、野菜の不可食部分や、米ぬか、果物の搾りかす、飲料ざんさにいたるまで、高付加価値化した食材にアップサイクルすることが可能です。

1.食材の風味の劣化と酸化を防止

数百度の高温スチーム 過熱水蒸気を用いることで食材の酸化を抑え、栄養価の損失と風味の劣化を防ぎます。食材によっては旨味成分が増加し、ビタミンE、β-カロテンや葉酸などの栄養価が、熱風乾燥を用いた場合と比較して高いことも分かっています。

2.低コスト、高い生産効率を実現

ボイラーレスの過熱水蒸気発生装置を開発し、熱風と併用することでエネルギー効率が極めて高い乾燥・殺菌技術を実現。連続式で生産効率が高く、従来型乾燥技術のコストの課題をクリアしました。

3.スピード殺菌乾燥

過熱蒸煎機での食材への加熱時間はわずか5~10秒。短時間加熱で食材の劣化を抑えながらも、過熱水蒸気の効果でしっかりと殺菌ができるので安全に加工できます。

製品名:過熱蒸煎機

発売日:2022年4月4日

※『過熱蒸煎機』カタログダウンロード https://www.astra-fp.com/download/


会社概要

ASTRA FOOD PLAN株式会社

URL:https://www.astra-fp.com/

本社所在地:埼玉県富士見市鶴瀬東1-10-26

代表取締役:加納千裕

設立:2020年8月



Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。