脱炭素社会実現を目指す新しい国民運動「デコ活」の下、環境省のナッジ実証事業を受託する株式電力シェアリングは、同プラットフォームを用いて全国の脱炭素商品やサービスを販売する実験を実施
株式会社電力シェアリングのプレスリリース
株式会社電力シェアリング(本社:東京都品川区、代表取締役社長:酒井直樹)は、脱炭素商品の普及を図る「デコ活」ナッジ実証事業を、環境省の委託を受けて実施しています。
この実験では、全国の脱炭素商品やサービスの販売を促す実証実験を実施しますが、その実験用プラットフォームとして、電力シェアリングは、実験ECサイト「つなぐ市場™(略称ツナイチ)」を2024年9月より開設することをお知らせします。
「つなぐ市場™」とは、「地域の生産者と地域や都市部の消費者をつなぐ」「生産・流通・販売事業と消費者をつなぐ」「地域内の市民同士をつなぐ」「地域同士をつなぐ」といった意味を込めて命名しました。
環境省ナッジ実証の内容
当社の受託する環境省ナッジ実証事業では、地産地消や旬産旬消、再エネを利用した栽培等生産時や輸送時におけるエネルギー起源CO2排出量削減に資する農産品や、食品・日用品等の商品や、ツアー・宿泊なども含めたサービスの販売を促進するナッジモデルを構築し、実証実験を実施することとしています。全国の自治体や事業者様のご協力をいただき、既に各地で販売実験を開始してます。(詳しくはこちらのプレスリリースをご覧ください。)
その様々なナッジ手法の効果の検証のための実験を多数・連続的・跛行的に実施できる機能のある「脱炭素地域名産品全国商店街(仮称)」実験ECサイトを構築することにしたものです。(ただし、実証期間中は、当該サイトは実証事業期間中の商用化を企図するものではありません)
このサイトでは、コンテンツ マネジメント システム(CMS)を導入し、小規模な生産・流通・販売事業者が、ナッジやマーケティングの専門知識が十分になくてもノーコードで、上記各種ナッジ手法・効果検証手法・先行実験結果のビッグデータにアクセスして、マーケティング(市場調査と販売促進)実験)を繰り返し実施し、持続可能性を高めるような機能を付加することを目指しています。
参考情報
デコ活とは
「デコ活」とは、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」の愛称であり、二酸化炭素 (CO₂)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む”デコ”と活動・生活を組み合わせた新しい言葉です。
環境省の「デコ活」紹介サイト: https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/
ナッジ実証事業
環境省では、こうした脱炭素への取り組みへの市民の自発的な参画を促すために、ナッジ(英語nudge:そっと後押しする)やブースト(英語boost:ぐっと後押しする)を始めとする行動科学の知見を活用してライフスタイルの自発的な変革を創出する新たな政策手法を検証するナッジ実証事業を進めています。
株式会社電力シェアリングでは、こうした全国的なEC・店舗実売社会実証実験にご協力頂ける自治体や各種団体、出品をご検討いただける一次産業事業者、商品開発・流通・販売(EC・実店舗)事業者を募集しています。詳細はこちらのプレスリリースをご覧ください。
当社ホームページのお問合せページにご連絡いただければ幸いです。(ただし、実験参加には条件があり、全てのお問合せにご返信できない場合があることをご了承ください)。
当社の考える2つの課題(環境省の見解ではありません)
当社が、全国の地産商品の生産販売者が、有効なナッジ手法に関する情報や、他の商品での活用実績に関するデータベースにアクセスし、自社製品の販売実験を簡単・低コストで行える販売実験プラットフォームが必要だと考える2つの問題意識をご共有します(環境省の見解ではないことにご留意ください。)
第一の問題:生産者が全てカリスマ・インフルエンサーとは限らない
農家等の小規模生産者が、商品の写真や商品情報をアップロードし、消費者に直接リーチして販売する直販型ECサイトが増えています。しかし、自身で売れる商品を企画して、消費者に響くコンテンツを作り、大きな商流を作ることのできる、カリスマ性と実行力を持ったインフルエンサー事業者は全体の一握りだと考えます。
多くの農家や生産者は、真っ当な商品を作ることはできても、マーケティング(市場調査やプロモーション)に関する能力や、事業コストとリスクを客観的に判断できる経営力と、営業努力を惜しまない不屈の忍耐力を持ち合わせているとは限らないとうことです。
D2Cの商流一本に舵を切るということは、これまでの農協・市場経由の流通ルートを断ち切ることを意味し、コミュニティの中で独立する決断をするのは覚悟が必要です。
例えば、全国D2Cサイトのトップランカーである長野県のカリスマ農家に当社がインタビューしたところ、毎日100件以上の注文があるのですが、その1つ1つに手書きのお礼状を書いて発送している。それは毎日数時間の労力がかかるが、ある意味ファンサービスなので、苦にならないということです。なじみ客一人ひとりの顔を浮かべて手紙を書き続ける、普通の人にはなかなかできないことです。こういった努力があってトップランキングを維持することができるという現実を垣間見ました。
そこで、トップランカーのカリスマ生産者でなくても、地域の中で真っ当な商品を作っている人が、営業活動にそれほどの力を注がなくても、簡単に販売訴求ができるようなツール、例えば、過去の他者の事例のリストから有望な事例(ナッジを用いた販売促進手法)を選択(あるいはAIによりレコメンデーション)し、それをノーコードで自身の商品に落とし込むような、簡便で低コストな仕組み(実店舗とECの両方で適用可能な仕組み)が必要であると考えています。
第二の問題:個人事業者には、プラットフォーマーの手数料が高い
かつて、飲食店検索プラットフォームにおいて、所定の金額を支払わないと、評価(星の数)が低く抑えられたり、検索上位に掲示されないなどのケースが社会問題化し、法的論争にまで発展しました。飲食店は個人経営が多いため、大手に比べると広告宣伝に多額の出費をする余裕がないことが多いです。
地産品のD2Cやクラウドファンディング、あるいは小規模自治体のふるさと納税等についても同様に、EC出品に関する大手プラットフォーマーへの費用が払えないケースもあり、そこで自身でECやふるさと納税サイトを立ち上げたとしても、大規模な消費者へのリーチが圧倒的に劣るため、コスト負けしてしまうとの声も聞かれます。
解決の方向性
一方で、変化の兆しもあります。
例えば、外食産業においてはGoogle検索の影響力が拡大し、飲食店からの広告収入や、予約時の手数料収入で成り立つ飲食店検索プラットフォーマーに頼らないでも、個人店舗が地域の顧客に直接リーチできるようになっています。
ポストCOVID-19以降のインフレ基調の下での最近の傾向として、都市部の駅に近い全国チェーンの店舗では、時給を上げてもバイトが集まらず、かといって客単価は上げられないので、店舗運用や収益確保に苦労されている話をよく聞きます。その一方で、多少不便でも、オーナーがこだわりの料理を提供する小規模な飲食店が増えていると感じます。外食業界では、「材料原価3割、人件費・店舗等費用が3割で粗利が4割」という「相場観」があります。
オーナーシェフの経営する飲食店では、儲け一辺倒ではなく、「美味しい料理をお客さんに食べてもらいたい」という気持ちでできるだけ原価率を上げることで、Googleマップで評判になり、高評価やコメントが付き、地図アプリでさらにお客さんが集まってくるので結果として安定した利益を確保できるという好循環が実現できているケースが増えているように感じられます。
Web3.0が喧伝されていますが、農産物の地産地消などにも、この飲食店でのモデルの適用が可能ではないかと当社では考えています。そこでは、全国ECプラットフォーマーに頼らずとも、野菜でも肉でも商品でも、真っ当な商品情報を真っ当にウエブアップロードし、それを継続して行けば、ECや実店舗で購買した顧客が、感想や星という評価情報を自発的に付けて、それが他の顧客にも口コミで伝わっていくという可能性があると考えます。そこで、いかに労力を最小化して「真っ当な商品情報を真っ当にアップロードし商品できるか」、そのハードルを下げていくためのプラットフォームとして「つなぐ市場」を構築するものです。
もちろん、「つなぐ市場」に来なければ販売も購入もできないというクローズド・モデルを指向しているわけではありません。むしろ、そういう真っ当な情報が、webの他のサイトに引用されていくためのデータの置き場所という役割が大きくなるものと思います。その上で、できるだけ、オープン・低コストで、ナッジ手法や活動実績がシェアされていくようなマッチング・サイト(固く言えばナレッジシェアプラットフォーム)としての役割も追加できればよいと考えています。