【実証|ワンプレート冷食】冷凍食品の勢力図に超新星「ワンプレート冷食」登場!売上成長率110%超に引き上げたのはいったい誰!?火を使わない手軽さがシニア層の需要押し上げに一役買ったか

今後ワンプレート食品市場で勝ち抜くには若者の取り込みもカギになる可能性も

カタリナ マーケティング ジャパン株式会社のプレスリリース

話題の消費行動をカタリナマーケティングジャパンの集積する実購買データ*1で“市場で何が起きているのか”をひもとく当企画。ジェンダーレス消費レポートに続く第二弾は、物価高においても盛り上がりを見せる冷凍食品カテゴリの新勢力を紹介します。いま大注目なのが、昨年秋に主要な冷食メーカーから出揃ったワンプレート型冷凍食品です。主食と主菜などがひとつのプレートになっていることが特徴のこちら、市場にどう受け入れられているのか、消費の中心にいるのは誰なのか、2023年5月~2024年5月の間でスーパー/総合スーパー/ドラッグストアにおける消費の実態をまとめました。(*1カタリナネットワーク内年間11兆円規模のID-POSデータ)

金額、数量、購買回数 すべての指標で圧倒的な成長率の冷凍食品界におけるニュースター

※図1:売上成長率(半期比較)※図1:売上成長率(半期比較)

直近半年間とその前の半年間のPOSデータで売上成長率を比べてみると、ワンプレート冷凍食品は金額、数量、回数、すべての指標で10%以上成長の状況。冷凍食品市場における売上トップの冷凍パスタの成長が横ばいに対し、ワンプレート冷凍食品に勢いがあることがうかがえる。市場規模を調べると、冷凍パスタに次ぐ売上規模を誇る冷凍餃子の約半分にまで拡大しており、すでに冷凍食品におけるいちカテゴリーとして成立していることがわかる。

※図2:売上構成(PB商品を除く)※図2:売上構成(PB商品を除く)

売れ筋シリーズがワンプレート市場の2/3を占有

ワンプレート冷凍食品の売上内訳(図2)は、ニップン「よくばり」シリーズが2/3近い売上で市場を席巻。後発ながら成長著しいニチレイ「三ツ星プレート」に注目すると、半期ごとの売上増減率(図3)における1回当たりの購入数や金額は変わらないものの、全体の購買数や金額が3倍近く伸長しており今後に要注目。カテゴリ全体的には1回あたりの購入に大きな変化が見られないことから、コロナ禍で見られた買い溜めよりも都度購入が目立つ結果に

※図3:売上増減率(半期比較)※図3:売上増減率(半期比較)

購買層は40代以上が大半を占める。今後はシニア定着か、若年層取り込みによる市場拡大か

購買者数 年代構成比(図4)を取り上げてみると40~70代が80%を占めており、若年層以上に中高年~シニア層が支持していることがわかる。この層の拡大か、若年層の取り込みか、各社の戦略が注目されるところである。

※図4:購買者数 年代構成比 提供:ONE※図4:購買者数 年代構成比 提供:ONE

冷凍パスタよりも高齢者向け商品との関連性が高め。

※図5:ワンプレート冷凍食品と冷凍パスタの関連指数の比較※図5:ワンプレート冷凍食品と冷凍パスタの関連指数の比較

冷凍食品カテゴリでもっとも売れている冷凍パスタ購買者との比較を行った。比較の軸は「併買されやすい商品カテゴリ」。右表のように、ワンプレート冷食の方が強く指数が現れた順にカテゴリーを並べてみた。すると、ワンプレート冷食の購買者は冷凍パスタ購買者よりも「冷凍カレーシチュー、どんぶり御飯の素」との関連が高いことが分かった。一方で冷凍パスタ購買者の特性として、簡便調理の素やしょうが焼きの素などと関連が強いことがわかっている。このことから、しょうが焼きを炒めるなどのワンステップを受容する冷凍パスタ購買者に対して、ワンプレート冷食の購買者は料理の工程を少しでも省きたい/省く必要があるという需要・姿がうかがえる。

また特徴的なのは、おかゆや介護食品など高齢者向け商品との関連性の高さだ。料理には握力や腕の力、注意力が必要になる場面があり、高齢者にとっては重労働になりえる。温めるだけで主食もおかずも食べられるワンプレート冷凍食品は高齢世帯の救世主なのかもしれない。

総括:手軽なワンプレート冷凍食品の勢い増。シニア層と若年層の囲い込み競争激化の兆し。

近年のライフスタイルの変化を通して群雄割拠の冷凍食品群。なかでも料理の手間を省くことができるワンプレート冷凍食品のカテゴリが盛り上がっていることが明らかとなった。各社が9月以降に値上げに踏み切るなかで、シニアの定着と若年層の取り込みでどう差別化を図っていくかに注目したい。

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