~カカオ産地の生産性向上に期待~カカオ関連企業4社が共同でカカオポッド由来バイオ炭を用いた再生農業の有効性評価試験を実施

株式会社ロッテのプレスリリース

株式会社ロッテ(代表取締役社長執行役員:中島英樹)、不二製油株式会社(代表取締役社長:大森達司)、株式会社MCアグリアライアンス(代表取締役社長:浦野正義)、Olam Food Ingredients(Executive Director & CEO:A. Shekhar)の4社は共同で、カカオポッド(*1)由来バイオ炭(*2)のカカオ農園散布による再生農業(*3)の実用化に向けた有効性評価試験(以下、本評価試験)をガーナ共和国で実施します。

*1 カカオの実の外殻で、厚さ約1cmの硬い殻。 

*2 生物資源を材料とした炭化物。木炭や竹炭など。

*3 農地の土壌の健全性と肥沃度を高め、農作物の生産持続性を高める農法。

カカオポッド(カカオの実の外殻)
カカオポッド由来バイオ炭

世界の主要なカカオ生産国であるコートジボワール共和国とガーナ共和国では、農家の貧困や児童労働、森林破壊などカカオ産業における構造的な課題が指摘されています。また、直近の収穫期において、同国ではカカオの収穫量が大きく減少しており、その要因は、天候不順や病虫害、カカオの木の高樹齢化、農薬や化学肥料の高騰などが複合的に関連していると考えられています。このような状況において、カカオ農家の生産性向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを目指し、4社が共同で本評価試験を実施します。

■概要

本評価試験はガーナ共和国-セントラル州ダンクワ郡の農家コミュニティにおいて実施します。カカオ農家で発生する未利用副産物であるカカオポッドを焼成し、バイオ炭を製造した後、カカオ農園に散布し、土壌改良効果および脱炭素効果を評価します。一連の生産と評価に際しては、小型バイオ炭製造設備の製造・導入ならびにバイオ炭の農業への活用実績を持つ株式会社トロムソ(代表取締役社長:上杉正章)が技術支援を担います。また、株式会社ロッテ 中央研究所がパプアニューギニアの研究農園で培った知見を土壌改良効果の評価に活用します。

バイオ炭の農地施用は、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」において、地球温暖化対策の手法として推進されています。4社は本評価試験を通じてカカオ栽培における再生農業手法を確立し、持続可能なカカオ産業の実現を目指してまいります。

■期待される効果

①土壌改良効果

バイオ炭には様々な土壌改良効果(透水性、保水性、保肥性、通気性など)があることが知られており、これらによって土壌中の生物多様性が再生されることで土壌が肥沃になり、化学肥料や農薬使用量の削減、生産性向上などの効果が期待されます。また、アフリカ大陸の土壌は酸性の赤土であることが知られており、アルカリ性であるバイオ炭の散布により土壌のpHがカカオの生育に適した中性付近に矯正される効果も期待されます。

②脱炭素効果

カカオポッドは未利用副産物であり、カカオ豆収穫後は農園などに放置されることが一般的で、時間とともに微生物に分解されます。この過程で、温室効果ガスであるメタンが発生したり、腐敗したカカオポッドが病虫害の温床となっているという指摘もあります。本評価試験では、カカオポッドを乾燥・焼成し、難分解性の炭素を含むバイオ炭にした後、土壌に散布します。長期間炭素が土壌に固定されることで、脱炭素効果が期待されます。これにより、カカオサプライチェーンにおけるカーボンインセット(*4)が期待されます。

*4 バリューチェーン内でCO2の排出量を削減する取り組みのこと。 他社から購入した炭素クレジットと相殺するカーボンオフセットに対して、カーボンインセットはバリューチェーン内で生み出したCO2吸収・削減量によって相殺します。

■本評価試験のスケジュール

フェーズ1 2024/25収穫年度(*5)

・簡易的な手法でバイオ炭を小規模生産

・効率的なカカオポッドの集荷・炭化・散布方法を検証

・有効な散布方法および土壌改良効果の検証

フェーズ2 2025/26収穫年度以降(フェーズ1で良好な結果が得られた場合)

・小型バイオ炭製造設備を導入し均質なバイオ炭を生産

・カカオ農家による自律的な集荷・炭化・散布手法の検証 

・脱炭素効果の検証

尚、生産地が抱える課題に対して業界横断で取り組むべく、フェーズ2に向けては、上述カカオ関連企業4社以外にも本取組に賛同するカカオ関連企業と連携する予定です。

*5 カカオ生産地である西アフリカ地域では、カカオ豆の収穫に合わせて10月から翌年の9月末までを収穫年度としています。  

  2024/25と記載した場合は、2024年10月から2025年9月末までを指します。

■当社の持続可能なサプライチェーンに向けた取り組み

チョコレートが主力製品である当社にとって、カカオ豆の持続可能なサプライチェーンの実現は重要な課題です。カカオ豆の生産地が抱える課題を改善して、チョコレートに携わるすべての人の幸せに貢献しながら、カカオ豆の持続可能なサプライチェーンを実現することが当社の使命であると考えています。持続可能なサプライチェーンの実現に向けて、調達するカカオ豆生産地のトレーサビリティ確立とその生産地が抱える課題への支援を行っています。このように調達したカカオ豆をロッテサステナブルカカオと名付けて調達割合を拡大しており、2025年度までにガーナ共和国から調達するすべてのカカオ豆で、2028年度までに調達するすべてのカカオ豆で実現する目標を掲げています。

ロッテサステナブルカカオの具体的な取り組み内容

  • トレーサビリティ:調達先農家の把握 

  • 児童労働の撤廃:CLMRS(*6)(もしくは同等のシステム)による児童労働のモニタリングと継続的な改善 

  • 森林減少防止:農園のマッピングを進め、森林減少へ関与していないことを確認 

  • 農法トレーニング:調達先農家に対して肥料・農薬の適切な使用法や収量増につながる農法指導を実施

*6 児童労働監視改善システム(Child Labor Monitoring and Remediation System)の略。カカオ産地で児童労働撤廃のための活動を推進するNPO団体のInternational Cocoa Initiative(ICI)が開発したシステムで、農家コミュニティ単位で児童労働リスクを把握し、改善を行います。

株式会社ロッテ

https://www.lotte.co.jp/

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