雪印メグミルク株式会社のプレスリリース
バターは風味豊かな原料素材として、幅広く食品業界で使用されており、各用途に応じた製品の品質や物性が求められています。そのため、バターの品質を決定する要因の一つである組織(固体脂ネットワーク)を分析することが望まれてきました。
これまでの観察方法では、組織を破壊する溶媒抽出や、バターを液状にして脂肪を除去する処理が必要で、直接バターの組織を分析できないという課題がありました。
今回開発したAFMによる直接観察方法と、従来技術の観察方法(Cryo-TEM法、X線回折法)を比較した結果、バターを構成する油脂結晶の形状がほぼ同等であることが確認され、バター中の乳脂肪の微細結晶が凝集した構造を維持したまま、直接観察が可能であることが示されました。
今後、開発した観察方法を活用し、組織の状態を確認することにより、バターの口どけや、硬さ、軟らかさなどを制御する技術を見出し、用途や調理方法に合わせた商品の開発が期待されます。
当社は、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」のもと、ミルクの新たな価値を創造し、お客様においしい商品を提供するため、日々研究開発に取り組んでいます。これまで培ってきた知見や技術と新規手法を融合し、お客様へおいしく利便性の高いバターを提供し、乳(ミルク)の価値をさらに高め、酪農生産への貢献を目指してまいります。
■発表概要
発表題名:原子間力顕微鏡によるバターの微細結晶凝集体の評価
〇松井幸太郎、神垣隆道、泉井亮太、吉岡孝一郎、塩田誠
雪印メグミルク株式会社ミルクサイエンス研究所