― 変わりゆく海と向き合い、地域の漁業に新たな選択肢を ―
株式会社 ふく成のプレスリリース
株式会社 ふく成（本社：熊本県熊本市西区、代表取締役：平尾 優、以下「ふく成」）は、株式会社 Smolt（所在地：宮崎県宮崎市、代表取締役CEO：上野 賢、以下「Smolt」）が研究開発を行う高温耐性サーモン（桜鱒：サクラマス）を熊本県で初めての試験養殖を2025年12月12日より開始することをお知らせします。
天草の海は、古くから人々の暮らしを支え続けてきました。
しかし近年、その姿は静かに、けれど確実に変わりつつあります。海水温の上昇、季節ごとに変動する潮の状態、そして赤潮の脅威——。
これまで当たり前だと思っていた海のリズムが崩れ、地域の漁業者は、大切に育ててきた魚を守ることすら難しくなる場面が増えてきました。
株式会社ふく成は、この現実から目をそらさず「この海で生きる私たちが、まず動かなければならない。」その想いが、今回のSmoltとの協業からの “桜鱒（サクラマス）海面養殖” という新たな挑戦を生みました。
【株式会社 ふく成 公式サイト】 https://fukunari.jp/
【株式会社 Smolt 公式サイト】 https://www.smolt.co.jp/
■サクラマスとの出会いー未来に光を見出した魚
ふく成がサクラマスを新養殖魚種として選んだ理由は、“御所浦の海に新しい可能性をもたらす魚” だと確信できたからです。
その1つとして、12月の水温が下がる時期は、真鯛・とらふぐ共に出荷量も1年の中で最大になります。出荷後の生簀は、翌年の６月～８月頃に次の稚魚を迎えるまでアイドルタイムが発生していました。
サクラマスの養殖期間は、そのアイドルタイムの時期とピッタリと一致したのです。
また、サクラマスは春を象徴するように美しく、力強く育つ魚です。特に冬〜春期に適した魚種であり、環境変動の影響を受けにくい特性を持っています。
このような運命的な一致が、生簀のフル活用を現実化させ、養殖の可能性を更に拡大させることとなると確信しています。
そして、その背中を押してくれたのが、宮崎を拠点に温暖海域でのサーモン養殖を切り拓いてきた株式会社でした Smolt。Smoltが6世代にわたり改良してきた高温耐性サクラマス。
九州という温暖な海域でも育つ——常識を覆すこの魚は、天草の海とも相性が良い。
両社の想いはすぐに重なり、今回の海面試験養殖に向けて走り出しました。
■協業という選択―“挑戦する地域企業”としての覚悟
ふく成は、地域とともに歩み続けるSEAFOODTECH企業。
Smoltは、研究開発型の養殖TECH企業。
異なる強みを持つ２社が手を組むことで、ひとつの可能性が立ち上がりました。
・ふく成が積み重ねてきた養殖技術と独自の鮮度保持技術
・Smoltの持つ育種技術と科学的知見
この両者が揃ってはじめて、天草に新たな生産モデルが生まれます。
でも、私たちはその変化に合わせて、新しい水産業の可能性を創ることができる。
まだまだ、メジャーではないサクラマスの海上養殖。全国でも数少ない事例の1つとなり、天草のサスティナブルな水産業に貢献する。その覚悟が、この協業には込められています。
■2025年12月12日が「天草産サクラマス記念日」
2024年12月12日。
ふく成はSmoltとともに、桜鱒の試験養殖をスタートします。
これは単なる事業開始の日ではありません。
天草の漁業者が未来へ漕ぎ出す、新しい航路の第一歩です。
養殖場所：熊本県天草市御所浦海域 （ふく成養殖場）
初期規模：試験養殖として約2,000尾の稚魚からスタート
出荷予定：2025年春期
販売構想：「天草産サーモン」としてブランディングを行い、現在のお取引先さま優先での販売展開
※春の出荷までには、ブランド名決定の予定
ここから育つ一尾一尾のサクラマスが、天草の海に、そして産業に、新たな物語を刻んでいきます。
■ふく成 平尾社長・Smolt 上野社長のコメント
【写真：右】ふく成 代表取締役 平尾 優 氏
時代の流れとともに変わりゆく海と向き合い続けること。 それが、地域企業としての私たちの使命です。
今回、Smoltさんとの協業によりサクラマス養殖に挑戦できることは、天草にとって大きな意味を持つ一歩だと感じています。
ふく成では、これまで加工技術や独自鮮度保持技術、そして現場に根ざした養殖支援の知見を磨いてきました。 Smoltさんの革新的な育種技術と出会い、この海にもう一度「新しい産業をつくる」という強い可能性を感じています。
天草から、環境変動に強い新たな水産モデルを、 天草から、世界に広がる次世代の魚種を。 そして天草から、子どもたちの未来に誇れる産業を生み出す。 これが、私たちの使命です。
【写真：左】Smolt 代表取締役 CEO 上野 賢 氏
この度、株式会社ふく成様と共に天草でサクラマス養殖をスタートできることを大変嬉しく思います。
今年の夏にふく成様にお会いし、漁場を視察させていただいた際、海と共生しながらこれまでの伝統を守りつつ地域を想い、未来の水産業を拓くために新しいことに積極的に挑戦し、発信していく姿勢に感銘を受けました。
天草は豊かな海洋資源に恵まれた素晴らしい地域です。ふく成様の持つ確かな現場力と地域ネットワーク、そして私たちの高温耐性サクラマスの育種技術とノウハウを組み合わせることで、環境変化に適応した天草の海に新しい可能性を生み出せると確信しています。
今回の試験養殖を通じて、天草産サクラマスが地域の新たな特産品として根付き、環境と調和した持続可能な水産業の発展に貢献できることを心から願っています。九州から日本の養殖業に新しい風を吹かせる——同じ志をもつ、ふく成様と共に踏み出せることを誇りに思います。
■未来へ向けて — すべては、この海で生きる人のために
サクラマスの養殖は、これから始まる未来への新しいチャレンジです。
まだ小さな試験養殖規模。しかし、この挑戦が天草の水産業にもたらす意味は小さくありません。
・季節に応じた新たな魚種の確立
・環境リスクに強い水産モデルの構築
・若者が帰ってくる産業の創出
・海を守りながら育てる“持続可能な漁業”への転換
天草の未来をつくるのは、大きな一歩ではなく、毎日の積み重ねです。
その最初の一つが、今回のサクラマス養殖事業です。
ふく成は「未来のこどもたちに食をつなぐ」ミッションを掲げ、「子どもたちが安心して暮らせる世界」の実現に向けて、これからもこの海とともに、地域とともに歩み続けます。
■株式会社 ふく成について
社名：株式会社 ふく成
本社所在地： 熊本県熊本市西区田崎町３８０－9
代表取締役：平尾 優
事業内容：水産養殖・加工卸・EC事業・SEAFOODTECH事業
設立： ２０１６年７月（創立：１９６０年４月）
TEL：０９６-３２２-３１１２
FAX：０９６-３２２-３１１３
担当：平尾 有希
