「ラーメン店」の倒産動向(2025年)
株式会社帝国データバンクのプレスリリース

株式会社帝国データバンクは、「ラーメン店」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
2025年に発生したラーメン店経営業者の倒産件数は59件で、前年の79件から20件・25.3%減少、4年ぶりに前年を下回った。原材料費や人件費の高騰が続くなかで、生き残ったラーメン店では職人技など「個」の勝負から、巨大資本のチェーンの下で効率経営を求める「集団」としての戦い方に変貌しつつある。特徴がありながら経営危機にひんしたラーメン店が「倒産」という形で事業を終えるケースは、今後減少傾向で推移する可能性もある。
集計期間:2000年1月1日~2025年12月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
「ラーメン店」とは、飲食店業態のうち「ラーメン」メニューの提供を行っている事業者が対象
ラーメン店の倒産、2025年は59件 4年ぶりに前年から減少
2025年に発生した「ラーメン店」経営業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は59件となった。年間で過去最多だった前年(79件)と比較すると20件・25.3%減少し、4年ぶりに前年を下回った。個人店の閉業などを含めると、実際はより多くのラーメン店が市場から退出したとみられるものの、倒産増加が続く「飲食店」業界で、ラーメン店は倒産急増の「淘汰の嵐」から転換期を迎えた1年となった。

2025年のラーメン店倒産では、資本金「100万円未満」が占める割合は42.3%に上った。前年からは割合が上昇したものの、半数に迫った2019年に比べると大幅に低下し、「小規模店」の淘汰が一服した。
ラーメン店では、小麦や野菜、油脂類など原材料価格の高止まりが続き、コスト面でも厳しい経営環境は変わらない。ラーメンで使用する原材料のトータルコスト推移を示す「ラーメン原価指数(豚骨ベース、東京都区部)」をみると、2020年平均を100とした場合における2025年の原価指数は141となった。
こうしたなか、小規模店を中心に個人の技量や職人技から生まれる味を競い合い、顧客を獲得する「個」としての戦いから、1杯3000円を超える「プレミアムな体験」の価値提供や、サプライチェーンの管理からDX化など、巨大資本による高効率経営で生き残りを図る「集団」としての戦いへと変貌しつつある。生き残ったラーメン店の経営を分析すると、2025年は売り上げ規模の拡大から転換し、同業他社や他の外食産業との競合を前提とした、客数が少なくても利益が出る体質へ転換する動きがみられた。また、ラーメン原価の多くを占める「スープ」の調理コストを抑えられ、オペレーションも簡略化できる「汁なし麺」業態の拡大や、半完成品から調理可能なセントラルキッチン、キャッシュレス券売機の導入などで、「少ない人数で最高のパフォーマンスを出す」取り組みが進んだ。加えて、ラーメン店経営の厳しさが認知されたことで「値上げ」に対する理解が消費者に広まったことも追い風に、コスト高のふるいにかけられ生き残ったラーメン店が、持続的に利益確保ができる経営ノウハウを獲得したことも、淘汰が一服した要因の一つにあげられる。

足元では、新たな看板ブランドが欲しいラーメン大手や外食チェーン、投資ファンドといった企業が、後継者不足やコスト高で経営に苦しむ中小ラーメン店を吸収し、DX化などのノウハウを注入することで再生させるなど、ラーメン業界の集約も進んでいる。2026年は「味の追求」に専念する各ラーメン店と、スケールメリットを生かした高効率経営を主導する中核企業との「分業」で、規模に応じた最適な経営形態を追求する「ラーメン・コングロマリット」化がより鮮明となりそうだ。そのため、特徴がありながら経営危機にひんしたラーメン店が「倒産」という形で事業を終えるケースは、今後減少傾向で推移する可能性もある。
