企業の取組に関する認知度や、消費者の食品ロス削減の取り組み状況が明らかに
公益財団法人流通経済研究所のプレスリリース

公益財団法人流通経済研究所(東京都千代田区:理事長 加藤 弘貴)は、1218人の消費者に対し、企業の食品ロス削減の取組に関する認知度や、自身の食品ロス削減の取り組み状況に関するアンケート調査を実施しました。
今年度の調査で特徴的だった点は、値引き販売、賞味期限当日販売、賞味期限の年月表示といった企業の食品ロス削減に向けた取り組みに対し、消費者は概ね肯定的に受け止めていることが明らかになったことです。また、食品ロス削減に取り組む企業の商品を購入する際に重視する要素として、特に、「品質の安全性」「食品ロス削減効果」「価格が下がる/お得に購入できる」の3点を重視していることがわかりました。
調査背景
近年、食品ロス削減をめぐっては、国において削減目標の再設定が行われ、あわせて基本方針も見直されるなど、取り組みの強化が進められています。事業系・家庭系の双方において、国・企業・消費者が一体となって食品ロス削減に取り組むことが求められている状況にあります。
こうした流れの中で、企業においては、小売店での値引きシールの活用や「てまえどり」の推進、メーカーによるリサイクルグループの構築など、具体的な取り組みが広がりつつある。また消費者の間でも、フードドライブへの参加呼びかけや食品シェアリングアプリの登場などを通じて、食品ロス削減が以前より身近な行動として認識されるようになってきています。
一方で、企業や社会全体で取り組みが進む中、消費者がこれらの企業の動きや食品ロス削減の呼びかけをどのように受け止めているのか、また今後さらなる取り組みの拡大に向けてどのような課題が存在するのかについて、十分に明らかになっていません。
こうした点を踏まえ、公益財団法人流通経済研究所は、「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」取組の一環として、消費者に対して食品ロス削減に関する意識調査を実施しました。
結果概要
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「食品ロス」の言葉を知っている人は9割、意味まで知っている人は7割を占めていた。
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「てまえどり」の意識については「いつも行っている」「ときどき行っている」人は合わせて6割強であった。
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値引きシールが貼られた商品に「あまり抵抗はない」「抵抗はない」と回答した人が合わせて7割を占めていた。
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消費期限当日販売を「良いと思う」「やや良いと思う」の割合が合わせて6割強と過半数であった。
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賞味期限年月表示については、賞味期限で「日にち」が書かれていない場合であっても、「ためらわない」「ややためらわない」を合わせて5割強と過半数であった。
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食品ロス削減に取り組む企業の商品を購入する際に重視する要素として「商品の品質・安全性に問題がないこと」が最も多く、次に「食品ロスがどの程度削減されているか」「取り組みによって価格が下がる/お得に購入できること」であった。
調査結果
■「食品ロス」の認知度(N=1218)

「食品ロス」については、「言葉と意味を知っている」が約7割、「言葉だけ知っている」が2割強となり、「食品ロス」という言葉自体を認知している人は9割を超えました。一方で、意味まで理解していない・知らない層も一定程度存在しています。このことから、今後は、意味理解を促す分かりやすい情報提供や、理解していても行動に結びついていない層に対しては、実践を促す施策が必要といえます。
■「てまえどり」の意識(N=1218)

てまえどりを「いつも行っている」が2割強、「ときどき行っている」が4割弱であり、合わせて62.0%と過半数を占めています。
■値引きシールが貼られた商品への抵抗感(N=1218)

値引きシールが貼られた商品の購入に対する抵抗感について、 「抵抗はない」(5割弱)、 「あまり抵抗はない」(2割強)で、合わせて71.7%と高いと言えます。
■消費期限当日販売への意識(N=1218)

「消費期限当日販売」に対して、「良いと思う」「やや良いと思う」の割合は、合わせて64.9%と過半数を超えており、「やや良くない」「良くないと思う」の割合が8.6%であることから、消費者にとって「消費期限当日」販売は比較的プラスなイメージを持つ人が多いと言えます。
■賞味期限年月表示への意識(N=1218)

賞味期限で「日にち」が書かれていない場合であっても、「ためらわない」「ややためらわない」を合わせて51.3%であり、過半数が大括り化された賞味期限表示を受け入れていると言えます。一方、「ためらう」「ややためらう」は合わせて2割弱と低いです。
■企業の食品ロス削減取組に関する情報ニーズ(N=1218)

食品ロス削減に取り組む企業の商品を購入する際の情報ニーズとして、「商品の品質・安全性に問題がないこと」(49.0%)が最も多く、次いで「食品ロスがどの程度削減されているか」(33.3%)、「取り組みによって価格が下がる/お得に購入できること」(30.3%)、「消費/賞味期限の長短に関する説明」(29.3%)が多く上がっています。消費者は、食品ロス削減の取り組みにおいて、品質や安全性、食品ロス削減効果、消費者にとってのメリットなどを重視していることがうかがえます。
担当者総括コメント
本調査から、消費者の「食品ロス」に対する認知や関心は広く浸透している一方で、調査結果の詳細にあるとおり、家庭における食品ロス削減行動の実践や、企業のサプライチェーン上での取り組みに対する認知は、必ずしも十分とはいえないことが明らかになっています。
その中で、「てまえどり」や値引きシール、消費期限当日販売、賞味期限の年月表示といった企業の取り組みに対しては、肯定的に受け止める消費者が多いことが確認されました。
また、企業の食品ロス削減の取り組みに対して消費者が重視している要素として、「商品の品質・安全性に問題がないこと」「どの程度食品ロスが削減されるのか」「価格が下がる/お得に購入できること」の3点が挙げられ、消費者は「安全性・食品ロス削減効果・お得感」を特に重視していることが明確になりました。
これらの結果を踏まえると、今後は、企業には消費者のこうした意識を踏まえながら、取り組みの内容や効果を分かりやすく伝え、コミュニケーションを通じて行動変容を促す施策を展開していくことが求められます。あわせて、食品ロス削減の取り組みを自社の本業における利益や企業価値向上につなげていく好事例の創出が期待されます。
本調査の結果詳細はこちらからご確認ください。
https://www.dei.or.jp/research/foodloss_consumer_survey_report/register
調査概要
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調査対象者 |
全国の男女 |
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調査期間 |
2025年9月13日~ 2025年9月15日 |
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配布方法 |
Webモニター調査 |
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回収方法 |
Web回答フォーム |
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回収数 |
1218人 |
「N=1218」などの表記は、当該設問への回答者数を示している。
本調査報告書構成
Ⅰ 食品ロス削減への取り組み状況(2問)
Ⅱ 食品廃棄実態・食品保存状況(5問)
Ⅲ 賞味期限が購買行動に与える影響(8問)
Ⅳ 消費者の企業の食品ロス削減の取り組みに対する意識(5問)
食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチームとは
農林水産省の補助事業として、公益財団法人流通経済研究所が主催する取組で、フードチェーン全体で発生する食品ロスの削減を目的に、製造業・卸売業・小売業が業界の垣根を越えて参画し、食品ロスの発生要因となり得る商慣習について議論を行い、その見直しや改善を目指しています。
令和7年度食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム詳細
https://www.dei.or.jp/foodloss/2025/index.html

公益財団法人流通経済研究所
公益財団法人流通経済研究所は、流通・マーケティング分野を専門とするシンクタンクです。設立以来、流通・マーケティング分野において広く社会に貢献することを目的に研究調査活動を展開しております。

