2026年節分シーズン「恵方巻」価格調査
株式会社帝国データバンクのプレスリリース

株式会社帝国データバンクは、2026年節分シーズンに発売される「恵方巻」価格の動向について調査・分析を行った。
SUMMARY
2026年節分シーズンの恵方巻の平均価格は、一般的な五目・七目の恵方巻で1173円と、前年より11.7%値上がりした。他方で、海鮮恵方巻は平均1875円、前年比0.3%の値上がりにとどまり、過去4シーズンで最も値上げ幅が小さかった。原材料価格の高騰が続くなか、特に海鮮系では「節約志向」を強く意識した値付けが目立つ。
[注1]全国の大手コンビニエンスストア・外食チェーン・スーパー・日本料理店などのうち、前年の価格と比較可能な「恵方巻(五目・七目)・海鮮恵方巻」を対象とした。比較対象は合計104社。一般的な1本・18cm前後(ハーフを除く)の商品が対象(2026年時点で前年から「ハーフサイズ」のみの取り扱いとなる場合、セット商品のみの場合はそれぞれ1本あたりの金額に換算した)
[注2]前年と比較できない恵方巻があるため、一部前年調査から対象が変更となっている。なお、入れ替え対象の恵方巻については2022年まで遡って価格データを再集計した(調査期間内[2022-26年]に販売等が終了したケースを除く)
今年の恵方巻、平均価格は2年連続「10%超」の値上げ
全国の大手コンビニエンスストアや外食チェーン、スーパー、著名な日本料理店など計104社を対象とした「2026年節分シーズン」の恵方巻価格を調査した結果、一般的な五目・七目の恵方巻(田舎巻、太巻1本あたり)における平均価格は1173円(税込、1月15日判明時点)だった。1年前(25年節分シーズン)の1050円に比べて123円、率にして11.7%の大幅な値上がりとなった。2年連続で前年比10%超の値上げとなり、金額ベースでも比較可能な2023年以降の4シーズンで、最も引き上げ幅が大きかった。

他方、豪華で高級志向な品が多い海鮮恵方巻では平均1875円となり、前年(1870円)から5円・0.3%の上昇と、ほぼ横ばいとなった。恵方巻に比べて大幅に抑制された価格設定で、値上げ幅は過去4シーズンで最少だった。この結果、恵方巻と海鮮恵方巻の平均価格差は702円/本となり、引き続き海鮮恵方巻の価格が大幅に上回っているものの、2025年に比べて価格差は118円縮小し、2年ぶりに700円台となった。総じて、恵方巻の値上げが顕著となるなか、相対的に海鮮恵方巻の「お買い得感」が強まるシーズンとなった。
2026年に恵方巻を販売する59社の値上げ幅をみると、最も割合が高いのは、値上げ幅が「100円未満」で、全体の約3割を占めた。また、150円以上値上げした恵方巻の割合は2022年以降で初めて2割を超えた。他方で「据え置き(値下げ)」も32.2%と約3分の1を占め、「値上げ」と「価格維持」の判断が分かれる結果となった。回転すしチェーンや食品スーパーなど量販店を中心に、前年の単価400~700円台だった恵方巻での大幅な値上げが、全体の平均価格を大きく押し上げた。
他方で、海鮮恵方巻を販売する80社の値上げ幅をみると、「据え置き(値下げ)」の割合が27.8%となり、前年(25.6%)を2年ぶりに上回った。値上げ幅でも「100円未満」が30.4%と最も多く、大幅な価格引き上げが目立った前年に比べ、値上げは小幅にとどまった。

今シーズンは、恵方巻を構成する「コメ」「海苔」の二大材料で価格高騰が著しいほか、使用頻度の高い国産・輸入かんぴょう、鶏卵などで価格上昇が続いている。海鮮恵方巻で使用される水産品でも、さけの不漁でいくらの価格高騰が著しいほか、えび類やまぐろ類も値上がり傾向となるなど、前年に比べると価格が上昇した原材料が目立った。
節約志向で「値上げ抑制」鮮明 海鮮系は「お買い得」に
恵方巻の平均価格は1本あたりで前年から100円超上昇し、前年に続き大幅な値上がりトレンドが続いた。他方で、原材料の品質が問われ、価格帯も一般の恵方巻に比べて高い海鮮系の恵方巻では値上げ幅が抑制され、両者の価格トレンドは相反する結果となった。
2025年節分シーズンの恵方巻では、原材料価格の高騰を背景に田舎巻・海鮮恵方巻ともに10%を超える大幅な値上げとなった。ただ、節約志向の高まりに加え、慣れない2月2日節分というカレンダー上の不利を受けた中での価格アップとなり、「(日曜日にもかかわらず)売れ行きの勢いが鈍かった」ケースも少なくなかったと聞かれる。こうしたなか、2026年節分では、もともとの価格設定が安価なため、原材料の価格高騰を吸収しきれない五目・七目を中心とした恵方巻で価格転嫁せざるを得ないケースがある一方、単価が高い海鮮恵方巻では数量面を優先し、原材料を見直しながら価格据え置きやトップラインの価格引き下げを行う傾向もみられた。また、恵方巻ラインアップの縮小や整理、例年の1本サイズからハーフサイズへの種別変更、米国産カルローズ米を使用するなど原材料を見直すことで価格を大幅に引き下げたもの、複数種類をまとめたアソート・セット商品の強化で1本あたりの単価を抑えるなど、例年以上に物価高による節約志向を意識した商品構成や値付けが多かった。
そのため、2026年の恵方巻商戦は、正月の「おせち商戦」の流れを引き継いで「高価格帯」と「低価格帯」の二極化がさらに進行するとみられるものの、高価格帯商品を中心に大幅な値上げ傾向にはブレーキがかかる見通しで、上質な恵方巻を楽しみたい消費者にとっては「お買い得」なシーズンとなる。
また、今シーズンも前年に引き続き、ほぼすべての企業で予約制が導入された。足元では食材の価格高騰が続き、食材廃棄コストの抑制を図る目的で、生産本数やメニュー数の絞り込み、完全予約制を導入する動きも聞かれる。近時は、原材料価格の高騰を背景に、食品ロスを極力抑制する目的で1本1000円以下の価格帯を扱う量販店でも事前予約を推奨する動きが目立ってきた。「フードロス削減」という社会的要請への対応と、長期化する原材料などのコスト高を背景に、売れ残りリスクの回避による収益効率化というメリットに押される形で、今後恵方巻の予約比率はさらに高まるものとみられる。


