【日本初※1】フレーバリストが育てる国産バニラ、本格始動

宮崎県新富町で栽培から一貫して香りにこだわるバニラ事業/バニラ開花記念式典を5月1日(金)に実施

小川香料株式会社のプレスリリース

 小川香料株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 小川 裕)は、宮崎県新富町において、日本初※1フレーバリスト(調香師)が自ら栽培からキュアリングまで一貫して手掛けるバニラ事業に取り組んでおります。

 この度、試験栽培の成果として圃場全体での開花を迎えたこと、およびこれを記念した「バニラ開花記念式典」を2026年5月1日に実施したことをお知らせいたします。

※1 2026年4月時点。当社が公開情報(学術論文、自治体資料、報道発表等)を調査した範囲において、フレーバリストが自ら栽培およびキュアリング工程に主体的に関与する国産バニラ事業としては日本初。

■取組の背景と目的

 当社は2017年より、「日本の魅力を香りにかえて、世界中のみなさまにお届けしたい」という想いを込めたスローガン「Sense Japan」を掲げています。このスローガンのもと、宮崎県の農林水産物の香りを通じた県産品の知名度やブランド力の向上および地域活性化を図ることを目的に、2021年10月に宮崎県と「香りに関する連携協定」を、新富町と「事業連携協定」を締結。マンゴー、日向夏、へべすなど、宮崎県を代表する農林水産物の魅力的な香りを、日本のみならず海外に向けて発信してまいりました。そして、新富町に子会社・みやざき新富ファーム株式会社(代表取締役 鈴木一厳)を設立し、2022年からバニラの試験栽培を開始。既存の特産品にとどまらず、新たな特産品のブランド確立と6次産業化に貢献すべく、着実に歩みを進めています。

 本取組の目的は、次の2点です。

  1. フレーバリストが香りにこだわって栽培からキュアリングまで一気通貫で手掛けることで、高品質なバニラをサステナブルに供給する体制を確立すること

  2. バニラを宮崎県・新富町における新たな作物として確立し、産業としての可能性を広げること

 本取組を通じて、品質・供給・地域性の三位一体で、宮崎から世界へ誇れる最高品質のバニラブランドを育成し、産官連携による地域活性化のロールモデルを確立します。

 小川香料にとっての農業参入は、香料の原料となる作物の供給を自社で行えることのみならず、植物そのものと向き合いながら天然物が持つ香りを探究できる、という側面で大きな価値があります。バニラに先行して農業参入していた、大分県佐伯市で栽培する「マリンレモン」では、果実の成長過程における香気成分バランスの変化を解明し、熟度ごとの魅力を表現したフレーバーを創出。自社栽培を行うことによって実現できた、レモンの新たな魅力を市場に提案しています。

 本取組においても、栽培を通じてバニラの香りを探求することで、これまでのバニラの枠を超えた「新しい香り」の創出を目指します。

■ 宮崎県でバニラ栽培実証に取り組む理由

 バニラは世界中で使用される最もメジャーな香料原料の1つであり、アイスクリーム、チョコレート、焼菓子など様々な食品に使われる他、オリエンタル調のキー素材としてフレグランス(香粧品)にも使用されます。バニラの供給源として欠かすことのできない重要な産地がマダガスカル共和国であり、世界のバニラ生産の約8割を占める最大の生産国※2です。 一方で、天候や調達環境等の影響を受けやすく、供給不安に陥ることが多々あり、長年、供給の安定性が求められてきました。本取組は、宮崎県を新たなバニラの産地とすることで、バニラ本来の豊かな香りやおいしさを持続可能な形で楽しめる未来を目指しています。

 また、宮崎県はマンゴーをはじめとした亜熱帯作物の栽培実績、知見が豊富にあり、宮崎県の総合農業試験場 亜熱帯作物支場でも、バニラの商業栽培を可能にするための栽培技術が長年研究されていました。当社は香料会社という立場からこの研究に微力ながら協力させていただいており、この縁に加えて当社の想いに強く共感いただいた宮崎県と新富町からの協力を経て、国産バニラ栽培にチャレンジするに至りました。

※2 出典:Export Ready Africa「Importing Vanilla from Madagascar — Sourcing and Compliance」(2026年3月更新)

■香りにこだわるバニラ作り

 香り高いバニラを得るには、非常に多くの時間と労力を要します。バニラの開花が最盛期を迎えるのは4~5月で、この時期に1つずつ全て手作業で授粉を行います。授粉が成功すると緑色の鞘状の果実(緑豆)をつけ、収穫に至るのは翌年の1~2月です。この間、夏の暑さや冬の寒さを乗り越え、約9か月をかけ「香りのもととなる成分」※3を緑豆の中に蓄えます。収穫直後の緑豆には、魅惑的なバニラの香りはほとんどありません。緑豆から香りを引き出すのが、「キュアリング(curing)」と呼ばれる複雑な工程で、約8か月じっくりとバニラ独特の甘い芳香を生成させます。このように、花をつけてから香り高いバニラビーンズが完成するまでには約1年半を要します。

 香りのもとを蓄える栽培の工程と、香りを引き出すキュアリングの工程は、どちらも経験則に頼る部分が大きく、最終的な香りの品質は熟練農家の勘に委ねられてきました。本取組では、栽培とキュアリングをフレーバリストという香りのプロフェッショナルが担うことで、「どうすれば香りのポテンシャルを最大限に引き出せるか」を逆算した栽培・加工設計をコンセプトにしています。

 生育ステージに応じた肥料・潅水など、栽培条件の一つひとつを香りの品質と結びつけて分析し、仮説・検証・改善のサイクルを回す。これは、香りを評価する人間と育てる人間が同一であることで初めて可能になるアプローチです。香料メーカーだからこそ、育てるだけでなく、「最高の香りを引き出すための農業」ができる。それが、小川香料が目指すバニラづくりです。

※3 バニリン前駆体 グルコバニリン、等

図:バニラ栽培の一連の流れ

栽培実証の概要

 本取組では、宮崎県新富町において40アール、約7,000株のバニラを用いた栽培実証を行っております。これは、国内のバニラ栽培においても最大級の規模になります。

 2022年に苗の定植を開始したバニラは、様々な困難を乗り越えながら順調に生育してきました。2025年には第一期定植株が開花を迎え、2026年2月にバニラ豆を初収穫。そして今年2026年4月、圃場全体での開花に至ったことで、本取組は宮崎県におけるバニラの産地形成に向け、大きな進展を迎えております。

バニラ開花記念式典の実施

 圃場全面での開花を迎えた節目として、多くの協力を頂いた宮崎県、新富町の関係者、協力農家の方々への感謝をお伝えするため、バニラ開花記念式典を実施いたしました。

 当日は、宮崎県知事 河野俊嗣様、新富町長 小嶋崇嗣様にもご参加いただき、バニラの花の記念授粉を行って頂きました。授粉はバニラが結実するために欠かせない工程であり、本取組が実を結び、県内におけるバニラの産地形成の礎になってほしい、という想いを込めて実施しました。

日時 : 2026年5月1日(金)9:30~10:45

場所 : みやざき新富ファーム㈱ 栽培ハウス

登壇者:

  • 宮崎県知事 河野俊嗣様

  • 新富町長 小嶋崇嗣様

  • 小川香料株式会社 代表取締役社長 小川裕

  • みやざき新富ファーム株式会社 代表取締役社長 鈴木一厳

以下、登壇者コメント:

■宮崎県知事 河野俊嗣様

 「みやざき新富ファーム バニラ開花記念式典」が開催されますことをお喜び申し上げます。小川香料株式会社におかれましては、令和3年に本県と「香り」に関する連携協定を締結以来、マンゴーや日向夏、へべす等の「香り」を通じた本県の知名度やブランド力向上に御尽力いただいており、心より感謝申し上げます。

 今回開花を迎えるバニラの栽培は、平成28年から本県総合農業試験場亜熱帯作物支場との共同研究に始まり、本日の記念式典に至るまで数々の苦労や困難があったと伺っております。関係者の皆様の御努力に深く敬意を表します。

 今後、県内での産地化はもとより、バニラを活用した新たな商品開発など、本県フードビジネスの更なる推進につながることを期待しております。

■新富町長 小嶋崇嗣様

 この度は「みやざき新富ファーム バニラ開花記念式典」の開催、誠におめでとうございます。令和3年の事業連携協定締結以来、小川香料様とみやざき新富ファーム様が進めてこられた、高付加価値作物の栽培技術の確立に向けた挑戦を、新富町として大変心強く、また大きな期待をもって見守ってまいりました。

 本来、熱帯地域を原産とするバニラをこの地で開花させるという挑戦は、決して容易なものではありません。幾多の試行錯誤とご努力の積み重ねの上に、本日という節目を迎えられたことは、本町のみならず地域の農業にとっても極めて大きな意義を有するものと考えております。また、ここに至るまで情熱を持って取り組まれてこられた関係者の皆様に、心より敬意を表します。

 この豊かな香りを放つ「国産バニラ」が、新富町の新たな価値創出の象徴として、地域のブランドの向上や農業の可能性拡大につながり、全国へと発信されていくことを大いに期待しております。

■小川香料株式会社 代表取締役社長 小川裕

 本式典に至るまでの4年間、多くのご支援をいただきながら、無事に圃場全面での開花という大きな節目を迎えることができました。これまで携わっていただきました全ての方々に、あらためて心より御礼申し上げます。

 私どもが目指すバニラ栽培は、香料会社だからこそ到達しうる品質の実現にあると考えています。この新富町を起点として、宮崎県が世界水準の高品質なバニラ産地へと発展していくことを目標に、今後も全社一体となって取り組みを進めてまいります。

■みやざき新富ファーム株式会社 代表取締役社長 鈴木一厳

 多くの関係者の皆様をお招きし、本式典を開催できたこと、そしてバニラが青々と生い茂り、とてもたくましく大きく成長している姿をご覧いただけたことを大変嬉しく思っております。

 4月から多くの開花を迎え、社員一同、授粉に追われる日々を過ごしておりますが、この授粉のひとつひとつがみやざき新富ファームの成長、ひいては宮崎県のバニラ産地形成へとつながっていく可能性に、期待が胸いっぱいに広がります。これからもここ新富の地で、確かな品質のバニラを育て、産地形成に貢献できるよう、引き続き一歩一歩、丁寧に取り組んでまいる所存です。

補足情報

・小川香料について

 小川香料株式会社は、創業133年の歴史を持つ香料メーカーで、食品および香粧品メーカー向けに香料製品を企画製造販売しています。天然香料の原料となる農作物の栽培、香料原料(天然香料・合成香料)そして調合香料の研究開発・製造・販売までを一気通貫で行う総合香料メーカーです。

-代表取締役社長: 小川 裕

-本店所在地: 東京都中央区日本橋本町4-1-11

-創業: 1893年

-HP: https://www.ogawa.net/

・ Sense Japanについて

 Sense Japan とは、小川香料が2017年から掲げるスローガンで、「日本の魅力を香りにかえて、世界中のみなさまにお届けしたい」という想いのもと、多様な日本産の農林水産物から抽出した本物の香りをフレーバー、フレグランスの原料として活用し、国内外の幅広いお客様に提案する活動を推進しています。この活動では、旬の香りを熟知する各地の自治体・生産者共同組合・企業など、同じ志をもった多くの皆様との密接な連携・協力により、魅力ある国産農林水産物を調達し、香りを抽出しています。また、日本各地での農業参入を行い、産地形成による地方創生を目指しています。

・ バニラが香りとして届くまで

 バニラはメキシコ原産のラン科バニラ属の蔓性植物で、マダガスカル共和国を主産地として、その他、インドネシア、メキシコ、アフリカ諸国などで生産されています。

開花:4~5月

 効率的な生産のため、人の手で1つずつ授粉を行います。

 授粉が成功すると着果し、約9か月の間、実を大きくしつつ「香りのもととなる成分※」を蓄えます。

※ バニリン前駆体 グルコバニリン、等

収穫:翌1~2月

 緑色の鞘状になった果実(緑豆)を収穫します。この時点では、バニラ特有の甘い香りはほとんどありません。

キュアリング:2月~10月

 約8か月をかけてじっくりと香りを生成させます。緑色だった豆は艶やかな深褐色に変わり、甘く芳醇な香りが濃縮されたビーンズが完成します。

画像はイメージです。

香りの抽出と調香

 バニラビーンズからバニラエキスを製造します。長年培った天然物からの抽出技術を活かし、バニラ本来の魅力を余すことなく抽出します。製造したバニラエキスは、冷菓やチョコレートをはじめとする食品、そしてシャンプーや芳香剤といった香粧品など、各種用途に合った嗜好性と形態になるよう調香師が様々な香料原料と調合し、緻密な香りのバランスを作り上げます。

 出来上がった調合香料は製品として、国内外様々なお客様に販売されます。

画像はイメージです。

【リリースに関するお問い合わせ先】

小川香料株式会社 経営企画部

〒103-0023 東京都中央区日本橋本町4-1-11

 03-3270-1563

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